ファクタリングでのオフバランス化の要件とは?仕組みやメリットを解説
近年、ファクタリングを利用することによって「オフバランス化」を図る企業が増えています。「オフバランス化」とは、簡単に言うとバランスシート(貸借対照表)のスリム化を指し、企業評価アップや資産効率の改善など、取り組むメリットは様々です。
そこで本記事では、ファクタリングにおけるオフバランス化の要件や仕組みのほか、メリット・デメリットなどを紹介していきます。ファクタリングを活用したオフバランス化に興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
ファクタリングでのオフバランス化の仕組み
ファクタリングの活用によってオフバランス化を図りたい方に向けて、まずはその仕組みについて説明していきます。
「オフバランス」とは
オフバランスとは、事業における資産や取り引きなどがバランスシート(貸借対照表)に計上されない状態のことです。オフバランス化を図ることによって資産や負債、自己資本の金額などが変わってきます。結果として経営効率を良く見せることができ、企業評価のアップにつながります。
ファクタリングにおけるオフバランス化の要件
ファクタリングは、売掛債権を売却することによって資金調達する方法です。そのため、ファクタリングにおいてオフバランス化を図る場合、大前提として支払い待ちの売掛債権を保有していることが要件に挙げられます。
そして、契約によって売掛債権がファクタリングを行う業者に譲渡されることで、その売掛金をバランスシート(貸借対照表)から除外することが可能です。これによりオフバランス化がない、後ほど紹介するメリットが得られます。
ただし、ファクタリングが「ノンリコース契約」であることを必ず確認してください。「ノンリコース」とは、売掛金が回収不能になった場合でも申込者に買い戻しが要求されない契約です。
もし「リコース契約」だった場合、契約完了後も申込者が買い戻ししなければいけない可能性が残ります。これにより、売掛金をバランスシート(貸借対照表)から除外できずにオフバランス化が実現しないので注意しましょう。
ファクタリングでオフバランス化を図る場合のメリット
ファクタリングによってオフバランス化を図ると、さまざまなメリットがあります。詳しく解説していくので、申し込む前に押さえておきましょう。
資金調達に時間がかからない
迅速に資金を調達できる点が、ファクタリングのメリットの一つです。中には、申し込みから入金まで即日で行う業者も存在します。スピーディーに資金調達できるファクタリングを活用することで、オフバランス化もスムーズに行えるでしょう。
このように、ファクタリングは資金繰りの早期改善に向いていると言えます。
売掛金の未回収リスクを抑えられる
ファクタリングには、売掛金の未回収リスクに備えながら資金調達できるメリットもあります。
ファクタリングは、ノンリコース契約(買い戻しが要求されない契約)が原則です。そのため、ファクタリングの利用後に売掛先が倒産したとしても、申込者に対して弁済の責任は発生しません。これにより損失のリスクを未然に防ぐことができ、オフバランス化につながります。
負債を増やすことなく取り組める
ファクタリングは、企業が保有している売掛金を利用して資金調達を行います。売掛金は申込者の資産なので、借り入れする場合とは異なり負債として計上されません。さらに、ファクタリングで得られた資金を借入金の返済に充てることで、よりバランスシート(貸借対照表)のスリム化を促進できます。
このように、ファクタリングによる資金調達はオフバランス化や資金繰り改善に効果的なので、借り入れから徐々に切り替えていくのがおすすめです。
自己資本比率アップにつながる
ファクタリングを有効活用することで、自己資本比率のアップを目指せます。
自己資本比率とは、資本全体における自己資本の割合のことです。先ほども紹介したとおり、ファクタリングは申込者の資産である売掛金を利用した契約のため、活用することで自己資本の比率を上げられます。そして、ファクタリングの活用によってオフバランス化が進むと、他人資本に頼らない健全な経営ができていると金融機関などから評価されやすいです。
ROA(純資産利益率)の改善が期待できる
ROA(純資産利益率)とは、企業が保有している資産に対して利益がどれくらい出ているかを示す指標です。このROA(純資産利益率)が高いほど、効率的に経営が行われていると評価できます。
ROA(純資産利益率)は資産に対する利益の割合のため、保有する資産が少ないほど高くなります。ファクタリングによって得た資金を負債の返済にあてることで総資産を減らせるため、オフバランス化が実現しROA(純資産利益率)の向上が期待できるでしょう。
現金比率がアップする
ファクタリング契約によって売掛債権を売却することで、売掛金の項目が現金(普通預金)に変わります。これにより、現金比率が高まります。
現金比率が上がると、短期的な支払いに対応できる企業(キャッシュリッチ企業)と判断され、良い評価を受けやすいです。経営が安定しているというアピールにもつながるでしょう。
融資などが受けやすくなる
ファクタリングを活用することでオフバランス化が叶うと、企業価値が上がって融資などを受けやすくなります。
融資の審査が行われる際、バランスシート(貸借対照表)や決算書類などで資金繰りについて確認した上で利用可否が判断されます。ファクタリングによるオフバランス化に取り組んでいた場合、バランスシート(貸借対照表)のスリム化や財務の改善が評価されて金融機関に良い印象を与えやすいでしょう。
このように、ファクタリングでオフバランス化に取り組むことで、企業の評価アップや信用力の向上が目指せます。
ファクタリングでオフバランス化を図る場合のデメリット
ファクタリングでオフバランス化を図る場合、デメリットも少なからず存在します。こちらも、ファクタリングの利用前に必ずチェックしておきましょう。
本来受け取れる売掛金の金額から目減りする
ファクタリングを利用すると、2〜20%の手数料がかかります。そのため、通常通りに売掛金を受け取る場合よりも金額が減ってしまうことに注意してください。
たとえば、1000万円の契約金に対して5%の手数料がかかってしまうと、50万円もの金額が損失となってしまいます。オフバランス化に有効だからといって、必要以上にファクタリングを利用するのはおすすめしません。
ROA(純資産利益率)や自己資本の比率が低くなる場合がある
先ほどメリットとして紹介した通り、ファクタリングを活用してオフバランス化を図ることでROA(純資産利益率)や自己資本比率の向上が期待できます。しかし、これらの数値が逆に低減するケースもあるので注意しましょう。
具体的には、手数料が高いファクタリングサービスを利用した場合や、債権譲渡登記によって費用が発生するケースなどが挙げられます。このような場合、利益を圧迫してしまうため、ROA(純資産利益率)や自己資本比率が下がってしまう可能性が高いです。
結果として、金融機関から融資を受けるのが難しくなる可能性があります。
ファクタリングでオフバランス化を図るときのポイント
ファクタリングによってオフバランス化を図る際は、いくつか押さえるべきポイントがあります。詳しく紹介していくので、ぜひ実践してみてください。
複数社に見積もりを依頼して比較する
先ほど紹介した通り、ファクタリングで発生する費用がかさむと自己資本比率などの低下に繋がります。そのため、オフバランス化を効率的に行うには、複数のファクタリング業者に対して見積もりを依頼した上でコストを比較しましょう。
ファクタリングにかかる手数料は、サービスによって大きく異なるケースも珍しくありません。また、申込者が費用を負担する債権譲渡登記の有無も契約前に確認することをおすすめします。
3者間ファクタリングを選択する
ファクタリングの契約形態には「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」があります。よりオフバランス化を促進したい場合は、3者間ファクタリングを活用するのがおすすめです。
2者間ファクタリングと比較した場合の3者間ファクタリングの特徴は、以下を参照してください。
• 手数料が低めに設定されている(2〜9%程度)
• 信用リスクが低いため審査に通りやすい
• 資金調達に時間がかかる場合がある
• 申し込みには売掛先の承諾を得る必要がある
資金調達を急いでいないときや、ファクタリングについて売掛先に知られても問題ない場合は、3者間ファクタリングによるオフバランス化を検討してみましょう。
信頼できる業者と契約する
ファクタリングに申し込む際は、信頼できる業者を探してみてください。
ファクタリングを扱っている業者の中には、悪質な取り引きを持ちかける業者も少なくありません。そのため、ホームページの情報やファクタリングの実績などをチェックする必要があります。
信頼できるファクタリング業者と契約することで、安全にオフバランス化を図りましょう。
なるべく金額の大きい売掛債権で申し込む
売掛債権の金額についても、ファクタリングでオフバランス化を図る際の重要なポイントです。
売掛金の金額が少ないとファクタリング業者が得られる利益も少なくなるため、高い手数料を設定されやすいです。そのため、できるだけ金額が大きい売掛債権で申し込むことによって、ファクタリングの手数料を抑えられます。結果として、ファクタリングを通じてオフバランス化がしやすくなります。
売掛債権の支払いサイトを確認する
ファクタリングに申し込む前に、売掛債権の支払いサイトについてチェックしましょう。
支払いサイトとは、支払い期日までの期間のことです。支払いサイトが長いほど、その間に売掛先が倒産するなどして売掛金が回収できなくなる可能性が高まるため、ファクタリング業者が負担するリスクが上昇します。これにより、手数料が高く設定されてしまいオフバランス化がスムーズに進められないことが考えられます。
売掛金の支払いサイトは1〜2か月程度が一般的です。これを目安として、売掛金の支払いサイトを確認してみましょう。
ファクタリングにおけるオフバランス化の要件のまとめ
ファクタリングを活用したオフバランス化に取り組む場合、「売掛債権を保有していること」や「ノンリコース契約であること」が要件として挙げられます。ファクタリングの活用によるオフバランス化には企業評価や財務状況を改善するメリットがあるので、ぜひ実践してみましょう。ただし、ファクタリングには手数料がかかるため、手数料の高いファクタリングサービスや利用のしすぎは、オフバランス化に向かないため注意が必要です。
今回紹介したポイントを参考にして、ファクタリングを活用したオフバランス化を検討してみてください。