ファクタリングの手数料が定額ではなく変動するのはなぜ?ファクタリング手数料の変動に影響する要素を説明
ファクタリングは急に資金が必要になったときに利用できる資金調達手段として急激に利用者の数を増やしています。
ファクタリングについてある程度知っている方なら、ファクタリング手数料は定額、つまり固定された手数料率ではなく変動することもすでにご存じでしょう。
しかし、なぜファクタリングの手数料が変動制を採用しているのかその理由については知らないという方がいらっしゃいます。
そこで、この記事ではファクタリング手数料の多くが定額制ではなく変動制である理由、手数料の変動に影響する5つの要素、ファクタリング手数料定額制のサービスを利用するメリットとデメリットを紹介します。
目次
ファクタリング手数料の内訳と手数料の計算方法
一般的にファクタリング手数料には以下のものが含まれます。
事務手続きのための各種費用
ファクタリング事業者の利益
ファクタリング手数料には、売掛債権買取にまつわる手続きに必要な各種費用が含まれています。
たとえば、審査に必要な費用、申込者と契約をするため申込者の会社を訪問した際の交通費、紙ベースの契約なら収入印紙、債権譲渡登記をする場合にはその費用などです。
ファクタリング手数料にはサービス提供事業者の利益つまり儲けに当たる部分が含まれています。
ファクタリング手数料の計算
変動制のサービスにおいて手数料の金額は、以下の方法で計算します。
(手数料の金額)=(売掛債権の額面)×(事業者の設定した手数料率)
たとえば、500万円の売掛債権で事業者の設定した手数料率が10%なら手数料の金額は50万円の計算になります。
したがって、利用者が最終的に受け取れる金額は、500万円-50万円=450万円です。
手数料率が高い事業者を選べば手にする資金の額は少なくなり、手数料率が低い事業者を選べば手に入る資金の額が大きくなります。
ファクタリング手数料が変動制を採用している理由
ファクタリング手数料が定額制ではなく変動制を採用しているのは、買取の対象となる売掛債権の金額、売掛先の状況などにより、売掛金回収不能となるリスクのレベルがそれぞれ違うからです。
ファクタリング事業者は、売掛金回収不能となるリスクが高い案件については手数料率を上げ、一方で売掛金回収不能になるリスクが低い案件については手数料率を下げます。
ファクタリング手数料の変動に影響する要素
ファクタリング手数料を定額制ではなく変動制にしている事業者を利用する場合、以下の要素が手数料率の上下に影響します。
売掛先の信用力
売掛債権の金額
入金期日までの残りの日数
契約形態
継続利用
これら5つの要素が手数料率の変動にどのように影響するのかを説明します。
売掛先の信用力
手数料率に影響する最も大きな要素は、売掛先の信用力つまり売掛金の支払い能力です。
ファクタリング事業者は審査において、売掛先の業績が順調である、毎回入金期日までに売掛金を入金しているという状況を見るなら、売掛先の信用評価は高く債務不履行のリスクは低いと判断します。
ファクタリング事業者はその判断に基づき手数料率を低くできます。
一方、売掛先の信用評価が低いなら売掛金回収不能のリスクが高まります。そうした売掛先の売掛債権を買取する場合、ファクタリング事業者はリスクヘッジのために手数料率を上げるわけです。
売掛債権の金額
手数料率の上下に影響する別の要素は売掛債権の額面です。
先ほど説明したように手数料にはファクタリング事業者の儲けの部分が含まれています。したがって、高額債権の買取は、ファクタリング事業者にとっては高い収益が見込める案件です。
そして、ファクタリング事業者は、高額債権を保有している利用者については、次回も自社でファクタリングの依頼をしてほしいと願います。
こうした理由から、ファクタリング事業者は、高額債権の買取については顧客満足度を高めるために手数料率を下げて対応してくれるケースがあります。
入金期日までの残りの日数
売掛債権の入金期日までの残りの日数も手数料率の変動に影響する要素です。
買取依頼のあった売掛債権の入金期日がかなり先であれば、ファクタリング事業者は売掛金回収を長く待ちます。回収までの期間が長いなら、その間に倒産などの理由で売掛金回収不能になるリスクも高まります。
こうした理由から、入金期日までの期間が長い売掛債権を買取する場合、リスクを負うことを考え通常よりも手数料率を上げるのが一般的です。
契約形態
どのスタイルで契約するのかも手数料率の変動に影響します。
ファクタリング事業者と直に接触し審査や契約をおこなうスタイルの場合、3社間・2社間方式のどちらかで契約することになります。
3社間方式は、売掛先に債権譲渡通知を送り、売掛金の振込を申込者の会社からファクタリング事業者の口座に変更することを承諾してもらうので、2社間方式より、売掛金未回収となるリスクが低いです。
一方で、2社間方式は利用者の会社がファクタリングによる買取金額を受け取った後で、売掛金を回収しそれをファクタリング事業者に引き渡すという手順を踏みます。したがって、ファクタリング事業者から見れば3社間方式より2社間方式の方が売掛金回収不能となるリスクは高いです。
こうした理由から、基本的に3社間方式の方が2社間方式より手数料率は低く設定されています。ちなみに3社間・2社間における手数料の相場は以下の通りです。
3社間方式:1%~10%
2社間方式:5%~20%
手数料コストを抑えたいのであれば、3社間方式での契約を選んでください。
継続利用
同じファクタリング事業者を継続利用すれば、手数料率が下がる可能性があります。
ファクタリング事業者は売掛金回収不能となるリスクが低い売掛債権を持ち込む利用者がいれば、継続的に取引したいと考えます。優良顧客と良い関係を維持できれば自社の収益を確保できるからです。
さらに、利用者が持ち込む売掛債権の売掛先がいつも同じであれば、売掛先の信用力は調査済みなので、手数料を下げても必要以上にリスクを負うことにはなりません。
同じファクタリング事業者を継続利用すれば手数料コストの削減につながります。
一方で、ファクタリング事業者の手数料に満足できないなら他社への乗り換えも検討できます。ファクタリング事業者の中にはキャンペーンで他社からの乗り換え利用については手数料率を下げるというサービスを提供していることがあるからです。
ファクタリング手数料の定額サービスとは?
これまで説明してきたようにファクタリング手数料は基本的に定額制ではなく変動制です。しかし、中小企業やフリーランス向けにファクタリングサービスを提供している事業者の中には、手数料の定額制を採用しています。
スマホ代金の場合、定額制は通話時間やデータ通信量に関係なく利用料金は一定という意味です。
ファクタリングの場合、定額制とは売掛債権の額面に関係なく手数料率は一定という意味です。したがって、手数料率は設定された割合で変動しませんが、買取依頼する売掛債権の額面により手数料の金額は上下します。
ファクタリング手数料の定額サービスを利用するメリット
手数料定額制のファクタリングを利用するメリットは次の通りです。
手に入る資金の額がすぐにわかる
手数料変動制を利用した場合より手数料が安くなる可能性がある
手に入る資金の額がすぐにわかる
手数料が定額つまり手数料率が固定なら、買取を希望する売掛債権の額に手数料率をかけるだけで手に入る資金の額が計算できます。
定額制のサービスを提供している事業者の手数料率の相場は、10%前後 です。手数料の金額が明瞭かつリーズナブルなので、高い手数料率で高額な手数料を請求されるのが心配という方は定額制サービスを選んでください。
変動制サービスを利用した場合より手数料が安くなる可能性がある
定額制サービスの特徴は決められた売掛債権の額面や入金期日までの残り日数などに関係なく手数料率が一定という点です。
したがって、定額制サービスの手数料率が10%なら、手数料率がそれ以上アップすることはありません。
変動制の手数料を採用している事業者に見積もりを依頼したら手数料率15%で買取といわれた売掛債権も、定額制サービスの事業者に持ち込めば10%の手数料率で買取してくれる可能性があります。
手数料定額制サービスを利用する際のデメリット
手数料定額制サービスを利用するデメリットは、他社よりも手数料率が高くなり手数料コストがかかる可能性があるという点です。
たとえば、定額制サービスの事業者なら10%の手数料率で買取する売掛債権を他社に持ち込めば、それ以下の手数料率で買取してくれるかもしれません。
定額制サービスは売掛債権の額面や売掛先の信用評価の影響を受けずにファクタリングが利用できるというのが長所です。
一方で変動制サービスの長所は売掛先の信用評価などを基準に可能であれば低い手数料率で売掛債権を買取してくれる点が長所になります。
したがって、それほど急な資金調達でなければ、手数料変動制の事業者で見積もりを取り手数料定額制の事業者と手数料や受取金額を比較してください。それから手数料コストを節約しお得に契約できる事業者を選ぶことができるでしょう。
ファクタリング手数料の定額についてのまとめ
ファクタリング手数料は基本的に変動制が採用されており、定額制つまり手数料率一定のサービスを提供している事業者はごくわずかです。
ファクタリング事業者は売掛債権買取のために売掛債権回収不能のリスクを負わなければなりません。
したがって、売掛債権の額面、入金期日までの期間、売掛先の信用評価のレベルなどに応じて売掛金回収不能となるリスクを判断し、リスクが高ければ手数料率を上げ、リスクが低ければ手数料率を下げます。
手数料率定額制は、手数料の金額が明快で手にする資金の額がすぐに計算できるのがメリットです。
変動制・定額制それぞれの長所・短所を理解して、自社の状況にふさわしいサービスを選んでください。