現金払いの売掛債権でファクタリングはできる?利用するための方法について解説
日本において、ビジネス取引は掛け取引が一般的です。現金取引とは違い、売掛債権を発行し、後日代金が入金される形になります。そのため、近年は売掛債権を利用した資金調達が注目されており、ファクタリングもその1つです。では、現金払いの売掛債権でも、ファクタリングを利用できるのか気になります。また、現金払いの売掛債権でファクタリングを利用するポイントも、知っておきたいところです。本記事では、現金払いの売掛債権でファクタリングは利用できるかや、利用するための方法について解説します。
現金払いの売掛債権でファクタリングはできる?向いていない理由
現金払いの売掛債権でも、ファクタリングは可能です。しかし、ファクタリングにはあまり向いていないといえます。現金払いの売掛債権がファクタリングに向いていない理由は、次の通りです。
●現金払いでは債権の存在を確認できない
●現金払いは継続的な支払いを確認できない
●現金払いは仕組み的に3社間ファクタリングができない
●現金払いは少額取引が多くファクタリング業者にメリットがない
では、それぞれの理由について詳しく解説しましょう。
現金払いでは債権の存在を確認できない
現金払いが向いていない理由は、売掛債権の存在を確認できないからです。売掛債権が存在するかどうかは、請求書で確認します。しかし、現金払いの売掛債権はいわゆるツケ払いで、振り込みのように請求書はありません。
請求書があっても、月末締めで20万円など、明確な支払い期日や細目が記載されていません。「12月注文品一式」のような信憑性のない請求書となるため、ファクタリング業者に敬遠されてしまいがちです。売掛債権の存在が確認できないとして、審査に通らない可能性もあります。
現金払いは継続的な支払いを確認できない
現金払いが向いていない理由は、継続的な支払いを確認できないことです。ファクタリングの審査では、売掛先と継続的な取引のある方が信用力は高くなり、通りやすくなります。請求書が存在しても、現金払いでは期日に支払われたことを証明できません。口座振り込みの履歴がないと、架空債権だと疑われる可能性があるのです。また、架空債権を疑われなくても、支払い能力を証明できなければ、ファクタリング業者はリスクが大きいと判断します。
現金払いは仕組み的に3社間ファクタリングができない
現金払いが向いていない理由は、仕組み的に3社間ファクタリングができないことです。ファクタリングの契約は、2社間と3社間の2種類があります。3社間は、利用者と業者、売掛先の3社で契約し、売掛金は売掛先から業者へ直接支払われる仕組みです。しかし、現金払いの場合、業者が売掛先へ現金を回収に行くことになるため、違法な取り立てになりかねません。
2社間であれば、現金払いされた売掛金を利用者が業者へ振り込めるため、ファクタリングとして成立します。ただし、現金払いの売掛債権は支払い期日が明確に決められていないことが多く、期日通りに業者へ支払われる保証はありません。そこまでのリスクを取って、ファクタリング契約をする業者は少ないでしょう。
現金払いは少額取引が多くファクタリング業者にメリットがない
現金払いが向いていない理由は、少額取引が多くファクタリング業者にメリットがないことです。売掛債権の金額は、取引の規模によって異なります。数万円~数千万円以上と、業種によっても異なるでしょう。しかし、数百万円もの支払いとなると、振り込みで支払うのが現実的です。そのため、現金払いの売掛債権は、少額の場合がほとんどです。
数万円~数十万円程度の少額の売掛債権では、ファクタリング業者も手数料として受け取れる金額が少なく、メリットがありません。少額のファクタリングを数多くこなすよりも、100万円単位のファクタリングを1回行う方が、手間も少なく見入りも多くなります。ファクタリング業者の審査に、落ちる可能性が高いでしょう。
現金払いの売掛債権でファクタリングを利用するには?
現金払いでファクタリングを利用するには、次の方法を実践するのが良いでしょう。
●現金払いではなく口座振り込みに変える
●現金授受の証拠を残す
●現金払いに対応しているファクタリング業者を探す
では、それぞれの方法について詳しく解説します。
現金払いではなく口座振り込みに変える
現金払いでファクタリングを利用する方法は、口座振り込みに変えることです。実際のところ、現金払いの売掛債権の買取を敬遠するファクタリング業者がほとんどで、見つけるのは難しいでしょう。そのため、手っ取り早くファクタリングを利用するには、口座振り込みに変えるのが現実的です。
近年は現金払いで取引をする企業の方が少なく、口座振り込みを打診すると、スムーズに変えてくれる売掛先も多いでしょう。しかし、売掛先が個人店やフリーランスなどの場合、口座振り込みは手間がかかると断られる可能性があります。難しいケースもありますが、まずはお願いしてみるのが良いでしょう。
現金授受の証拠を残す
現金払いでファクタリングを利用する方法は、現金授受の証拠を残すことです。口座振り込みの場合は、銀行通帳のコピーで振り込み事実を証明できますが、現金払いは領収書でしか証明できません。しかし、領収書は偽造・捏造を疑われる可能性も高く、売掛金の支払いを証明するのは難しいでしょう。領収書だけでなく、ほかにも支払いの事実が証明できる書類を用意してください。
現金払いに対応しているファクタリング業者を探す
現金払いでファクタリングを利用する方法は、現金払いに対応しているファクタリング業者を探すことです。現金払いの売掛債権に対応しているファクタリング業者は少なく、選択肢は少なくなります。また、現金払いの売掛金に対応するのは、ファクタリング業者にとってメリットが少ないため、契約条件が悪い可能性もあります。手数料が高い、売掛債権の最低買取金額が高いなど、現金払いの売掛債権で利用しにくい条件のケースもあるので注意が必要です。
ファクタリングがおすすめの理由
現金払いの売掛債権でのファクタリングはハードルが高いものの、便利な資金調達方法であることに変わりありません。ファクタリングがおすすめの理由は、次の通りです。
●銀行融資と違って返済負担がない
●急に資金が必要なときも対応可能
●書類の準備に手間がかからない
●保証人や担保は不要
●売掛金の未回収リスクを回避できる
●信用力を低下させない
では、それぞれの理由について詳しく見てみましょう。
銀行融資と違って返済負担がない
ファクタリングがおすすめの理由は、返済負担がないことです。銀行融資は、融資を受けた金額に利息を付けて返済しなければなりません。ファクタリングは、売掛債権を売却して現金化するため、返済負担がありません。売掛債権の売却した代金を、受取るシステムです。
急に資金が必要なときも対応可能
急に資金が必要なときも対応可能なのも、おすすめの理由です。銀行融資は審査に時間がかかるため、申し込んでから資金調達までに1週間~数か月かかります。ファクタリングは審査時間が短く、オンラインファクタリングであれば30分ほどで審査が完了します。即日入金も可能なので、急に資金が必要になっても、スピーディーに調達できるでしょう。
書類の準備に手間がかからない
ファクタリングがおすすめの理由は、書類の準備に手間がかからないことです。銀行融資の場合、審査のためにたくさんの書類を準備する必要があります。しかし、ファクタリングは必要書類が少ないため、準備に手間がかからないのが利点です。
保証人や担保は不要
保証人や担保が不要なのも、ファクタリングがおすすめの理由です。銀行融資を受ける際は、返済不能になったときの保険として、保証人や担保が必要です。不動産を保有していなかったり、保証人を探せなかったりする場合、利用するのは難しくなります。ファクタリングは借入ではないため、保証人や担保はいりません。
売掛金の未回収リスクを回避できる
ファクタリングがおすすめの理由は、売掛金の未回収リスクを回避できることです。売掛債権をファクタリング業者に譲渡すると、売掛金を回収する権利だけでなく、未回収リスクも移行します。ファクタリング契約後に売掛先が倒産し、売掛金が払えない事態に陥っても、利用者に弁済義務は発生しません。
信用力を低下させない
ファクタリングがおすすめの理由は、信用力を低下させないことです。ファクタリングは借入契約ではなく、売買契約を結びます。そのため、決算書における負債も増えません。会計上の見た目が悪化し、企業の新応力を下げる心配もありません。
現金払いのファクタリングについてのまとめ
現金払いの売掛債権を利用している場合、ファクタリングを利用するのは難しくなります。現金払いでは売掛債権の存在を証明するのが難しく、売掛先の信用力が低いと判断されるからです。ファクタリングを利用するには、売掛先に口座振り込みにしてもらえるようお願いしたり、現金受領の証拠をできるだけ多くそろえたりすることが大切です。また、数は少ないものの、現金払いの売掛債権に対応しているファクタリング業者もあります。その中から、条件の良い業者を選ぶと良いでしょう。