ファクタリングによるオフバランスとは?オフバランス化のメリットやデメリット、注意点を解説
ファクタリングには支払期日の前に資金調達ができるメリットがあります。
ただ、オフバランス化によるメリットはあまり注目されていません。
ここでオフバランス化といわれても、どのような内容なのか分からないとイメージができません。
そこで、この記事ではファクタリングによるオフバランスや、オフバランス化のメリットについて解説していきます。
目次
ファクタリングによるオフバランスとは
ファクタリングのオフバランス化について解説する前に、オフバランスの内容を把握してください。
ファクタリングによるオフバランスについては、下記の2つの内容をもとに解説していきます。
1. オフバランスの意味
2. ファクタリングでオフバランス化をする仕組み
1.オフバランスの意味
オフバランスとはバランスシートの資産をオフにすることです。
バランスシートとは貸借対照表のことで資産、負債、純資産の3つに分かれています。
オフバランスをすると貸借対照表(バランス)に記載されている資産を消して(オフ)、すっきりとさせる効果があります。
さらに貸借対照表がスリム化され、企業価値の向上や融資を受けやすくなるなどの恩恵が受けられる点もメリットです。
2.ファクタリングでオフバランス化をする仕組み
ファクタリングは売掛債権を買い取ってもらう方法です。
ファクタリングを利用すれば貸借対照表の売掛金が減ります。
ファクタリングによる資金を借入金の返済に充てると、貸借対照表がスリム化される仕組みです。
また、負債にも計上されません。
ファクタリングによるオフバランス化のメリット5選
ファクタリングを活用すれば資産のオフバランス化が期待できます。
ファクタリングによるオフバランス化のメリットは下記の5点です。
1. ROAの向上につながる
2. 経営状態が良好に見える
3. 自己資本比率が改善する
4. 融資を受けやすくなる
5. 貸し倒れの防止につながる
順番に解説していきます。
1.ROAの向上につながる
ROAとは総資産利益率のことで、保有している資産に対してどれくらいの利益が出ているのかを表しています。
ROAが高ければ健全な経営がおこなわれていることが分かり、企業の評価も向上します。
ROAを算出するには、下記の計算式を利用してください。
ROA(純資産利益率)=当期純利益÷(純資産×100)
ROAを向上させるには資産の減少が有効です。
先述したように、ファクタリングによるオフバランス化によって資産を減らせます。
2.経営状態が良好に見える
ファクタリングによるオフバランス化は資産額を小さく見せられ、負債が増えないメリットがあります。
そのため、会計がすっきりして経営状態がよく見えます。
経営状態がよく見えると、のちほど解説する融資の受けやすさにつながり、資金調達に有利に働くケースが多いです。
3.自己資本比率が改善する
自己資本比率とは、返済の必要がない純資産をどれくらい保有しているのかを表す割合のことです。
自己資本比率が高ければ安定した経営ができていると判断され、倒産しにくい安全な企業だとみなされます。
反対に自己資本比率が低ければ他人資本の影響を受けやすく、不安定な企業だとみなされる可能性があります。
自己資本比率の計算式はこちらです。
自己資本比率=自己資本÷総資本(他人資本+自己資本)×100
資金調達をおこなう際、銀行の融資や借入を利用すると他人資本が増えます。
結果的に自己資本比率の低下につながります。
しかし、ファクタリングは売掛債権を現金にするだけなので、総資本に影響はありません。
さらにファクタリングによる現金を借入金の返済に充てれば資産と負債が減り、ROAの向上にも期待できます。
4.融資を受けやすくなる
ファクタリングによるオフバランス化は企業評価の向上につながります。
スリム化された貸借対照表を見れば、効率よく経営がおこなわれていると評価され、融資を受けやすくなります。
融資をおこなう立場としては、返済能力の低い企業と積極的に取引をしようとは考えません。
高いリスクを冒してまで融資をするメリットがないからです。
しかし、返済能力の高さが証明できれば、積極的に融資をしてもらえるでしょう。
交渉の際も有利に話を進められます。
5.貸し倒れの防止につながる
ファクタリングを利用してオフバランス化をおこなうと、売掛金の未回収リスクから解放されます。
貸し倒れとは売掛金が回収できない状態のことです。
貸し倒れによる売掛金の回収ができなくなれば資金繰りの悪化が懸念され、経営が厳しくなるケースも考えられます。
しかし、ファクタリングを活用して売掛債権を譲渡しておくと、発生した損失はファクタリング会社が負担します。
ファクタリングによる売掛債権の現金化はリスク対策にも役に立つのです。
ファクタリングによるオフバランス化のデメリット
ファクタリングによるオフバランス化のデメリットは手数料が必要な点です。
利用するファクタリングサービスや契約内容などにもよりますが、2社間ファクタリングで10%から20%、3社間ファクタリングは2%から10%が目安とされています。
3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも手数料をおさえられる点がメリットです。
しかし、売掛先に知られてしまったり、2社間ファクタリングよりも資金調達に時間がかかったりすることがデメリットといえます。
一方で2社間ファクタリングは3社間ファクタリングよりもスピード感に優れており、最短即日で振込が可能なケースがあります。
また、売掛先にファクタリングを利用する事実が知られる心配はありません。
ただし、手数料が割高になることが多く、手元に残る資金が少なくなる点がデメリットです。
手数料がかかることを念頭に入れて置き、どれくらいの資金が使えるのかを計算したうえでファクタリングを利用するとよいでしょう。
ファクタリングによるオフバランス化をする際の注意点2つ
ファクタリングによるオフバランス化には注意点があります。
下記の2つの注意点を確認しておいてください。
1. ROAが悪化する可能性がある
2. 相見積もりをとってから判断する
1.ROAが悪化する可能性がある
ファクタリングを利用する際は手数料がかかると説明しました。
この手数料が高いとROAが悪化する可能性があります。
なぜなら手数料がかかった分、利益の目減りにつながるからです。
ROAの悪化を防ぐためにも、手数料が低いファクタリングサービスを利用することはとても重要です。
2.相見積もりをとってから判断する
ファクタリングサービスの数は多く、それぞれ条件が異なります。
一社のみの見積もりでは、提示された条件が妥当なのかが判断できません。
複数社に見積もりを依頼して、手数料や取引時間を比較してから利用するファクタリングサービスを決めるとよいでしょう。
「相見積もりは失礼ではないか」と考え、躊躇してしまう方がいるかもしれません。
しかし、相見積もりは失礼な行為ではなく、ビジネス上では当たり前のようにおこなわれています。
ただ、見積もりを作成するのにも手間や時間がかかっています。
見積もりを比較した結果、今回は利用しないと判断しても、感謝の気持ちを伝えて丁重にお断りをすれば問題ありません。
ファクタリングのオフバランスに関するまとめ
オフバランスとはバランスシートの資産をオフにすることです。
ファクタリングを利用してオフバランス化をおこなうと、貸借対照表がスリムになり企業評価の向上が期待できます。
またROAの改善や貸し倒れの防止につながる点もメリットです。
ただし、手数料によってはROAが悪化する可能性がある点に注意してください。
ファクタリングによるオフバランス化のメリットやデメリットを把握したうえで、利用を検討してみてはいかがでしょうか。