売掛債権とは？確実な回収と早期現金化の方法を徹底解説
売掛債権とは、商品やサービスを提供した際に発生する「まだ受け取っていない代金を請求する権利」です。企業の資産として重要である一方、未回収や遅延が発生すると資金繰りが悪化し、経営に大きな影響を与えるリスクもあります。
そのため、近年では売掛債権を早期に資金化できる「ファクタリング」が注目されています。ファクタリングを利用すれば通常よりも早めに現金化できるため、資金繰りを改善する手段となるかもしれません。
この記事では、売掛債権の基本知識や管理方法について解説します。売掛債権を素早く確実に現金化できるファクタリングについてもわかるようになっているため、資金繰りに悩んでいる事業主の方は参考にしてください。
目次
売掛債権とは
売掛債権とは、商品やサービスの提供後に発生する「未回収の代金を請求する権利」です。
取引先に請求書を発行した時点で発生し、一定期間後に入金されるのが一般的です。企業にとっては重要な資産ですが、未回収のまま放置すると資金繰りの悪化につながります。
そのため、安定した経営をするためには売掛債権を正しく管理し、回収リスクを抑えることが重要です。
売掛債権は大きく分けて3種類
売掛債権は内容により、主に以下の3種類に分けられます。
- 売掛金
- 受取手形
- 電子記録債権
ひとつずつ見ていきましょう。
1.売掛金
売掛金とは、企業が商品やサービスを提供した後、代金を後日受け取る約束で発生する債権です。主に取引先との掛取引で発生し、請求書を発行した時点で会計上は「売掛金」として資産に計上されます。
売掛金は企業の資産ではあるものの、現金化までに時間がかかるため、回収が遅れると資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。そのため売掛金は適切に管理して、可能な限り早めに回収することが重要です。
2.受取手形
受取手形とは、取引先が支払いを約束する手形を企業が受け取り、期日に現金化できる売掛債権のひとつです。一定期間後に銀行で現金を受け取れる仕組みで、かつては広く利用されていました。
しかし、印紙税の負担や不渡りのリスク、事務手続きの煩雑さといった理由から、利用は年々減少しており、2026年を目処に手形の全面廃止が予定されています。
受取手形の代替として、近年では電子記録債権やファクタリングが注目されています。
3.電子記録債権
電子記録債権とは紙の手形に代わる新しい債権で、電子的に管理される「支払期日付きの金銭債権」です。取引内容や支払期日などは電子記録機関に登録されるため、オンライン上で発行や譲渡、消込が可能です。
電子記録債権には、手形と比べて以下のメリットがあります。
- 紛失や盗難のリスクが低く管理が容易
- 紙に印刷するコストや印紙税が不要
- 分割払いも可能
電子記録債権は中小企業でも導入しやすいため、受取手形の代替手段として今後の普及が期待される制度です。
売掛債権の管理で押さえておきたい2つの指標
売掛債権の管理状況を数値で把握するには、以下2つの指標が重要です。
- 売掛債権回転率
- 売掛債権回転期間
ここでは、それぞれの意味と活用方法を解説します。
1.売掛債権回転率
売掛債権回転率とは、売掛金が年間で何回現金化されているかを示す指標で以下の式で算出します。
- 年間売上高 ÷ 売掛債権残高
この数値が高いほど回収がスムーズで、資金の流れが良好と判断が可能です。一方、回転率が低い場合は回収の遅れや未回収の増加が疑われます。
定期的に回転率を確認し、異常が見られた際は入金サイトの見直しや督促の強化など早めに対応しましょう。
2.売掛債権回転期間
売掛債権回転期間とは、売掛金が現金化されるまでに平均で何日かかっているかを示す指標で、以下の式で算出されます。
- 365日 ÷ 売掛債権回転率
この指標は期間が短いほど早期に資金を回収できていることを指し、改善すると資金繰りも安定しやすくなります。一方、期間が長くなると回収遅れや未回収リスクの増加につながるため、早めに改善を図りましょう。
回転期間は月次で管理し、異常が見られた場合は取引条件の見直しや与信管理の強化を検討してください。
売掛債権の回収リスクを低減する3つの方法
売掛債権には未回収や貸し倒れといったリスクがつきものです。ここでは、回収リスクを減らすために有効な方法を3つ紹介します。
- 与信管理の徹底
- 取引信用保険の活用
- ファクタリングによる早期現金化
売掛債権を確実に回収して、キャッシュフロー改善に努めましょう。
1.与信管理の徹底
売掛債権の回収リスクを減らすには、取引先の信用状態を把握する「与信管理」が重要です。取引開始時はもちろん、継続中も決算書や信用調査レポートを定期的に確認し、財務状況や支払い履歴に異常がないかをチェックしてください。
取引先ごとに与信限度額を設定し、超過する場合は前金や分割払いに切り替えるとリスクを抑えられます。また、業界ニュースや人事異動などの情報にも注意を払い、兆候を早期に察知することも大切です。
継続的にモニタリングを行うことで、貸し倒れのリスクを抑えられるでしょう。
2.取引信用保険の活用
取引信用保険とは、取引先が倒産や支払い不能になった場合に、未回収の売掛債権の一部または全額を補償する制度になります。与信管理を徹底して行っても、予期せぬ経営悪化やトラブルは避けられないため、保険でリスクを分散することが重要です。
補償の範囲や保険料は、取引金額や取引先の信用状況によって異なるものの、高額取引や長期契約の場合はとくに効果的です。
取引信用保険の導入により万が一の損失リスクを軽減できれば、取引を継続しやすくなるでしょう。
3.ファクタリングによる早期現金化
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却することで、入金期日前に現金を受け取れる資金調達手段です。回収までのタイムラグを解消することで、キャッシュフローを安定化させられます。
また、ファクタリングを利用することで、未回収や貸し倒れリスクの回避もできます。資金繰りが不安定な中小企業や、急な支払いが発生した際にはとくに有効です。
ただし、ファクタリングは手数料が発生するため、資金計画を立てたうえでの利用が重要です。
ファクタリングによる売掛債権の現金化プロセス
ファクタリングの特徴は、申請から入金までがスピーディに進められることです。ファクタリングで入金されるまでの流れは、以下のとおりです。
- ファクタリング会社への申し込み
- 売掛債権や取引先の審査
- 契約の締結
- 売掛金の売却
- 現金の入金
2社間ファクタリングであれば取引先に知られることなく進められ、最短で即日入金も可能です。必要書類は請求書や取引内容の確認資料などで済むことも多く、銀行融資と比べて手続きが容易であることも大きなメリットになります。
売掛債権の回収でファクタリングが効果的な3つの理由
売掛債権の回収において、ファクタリングはスピードと柔軟性に優れた手段です。ここでは、ファクタリングが効果的な理由を3つ解説します。
- 最短で即日入金が可能
- 取引先に知られずに進められる
- 請求書を即時に現金化ができる
資金繰りの改善を図りたい企業やフリーランスは、利用を検討してみてください。
1.最短で即日入金が可能
ファクタリングの大きなメリットは、売掛債権を最短即日で現金化できることです。売掛債権の回収は、通常請求から入金までに数週間〜数カ月かかることがあります。しかし、ファクタリングを利用すれば申込みから最短当日で入金してもらえます。
入金までの期日が短いことで、急な仕入れや外注費の支払いにも柔軟に対応可能です。銀行融資のように時間をかけられない場面では、有効な資金調達手段として資金繰りの安定に大きく役立ちます。
ファクタリングの最短即日入金については、以下の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
【2025年最新】ファクタリング即日対応は可能？おすすめ5社比較と最短入金を実現する5つのポイント
2.取引先に知られずに進められる
「2社間ファクタリング」という形式でファクタリングを利用すれば、取引先に知られずに資金調達が可能です。
3社間ファクタリングでは取引先とのやり取りが必要になるため、債権譲渡にともない知られてしまいます。しかし、2社間ファクタリングでは取引先に知られることなく、関係を維持したまま利用可能です。そのため、資金繰りの事情を知られたくない企業や、取引継続への影響を避けたい場合に適しています。
契約から入金まですべて自社とファクタリング会社のみで完結するため、スムーズで秘密性の高い資金調達手段として注目されています。
3.請求書を即時に現金化ができる
ファクタリングを活用すれば、請求書を発行した時点で売掛金の現金化が可能です。入金を数週間〜数カ月待つ必要がなくなるため、資金繰りの不安を軽減できます。
フリーランスや中小企業はとくに、支払いサイトの長い取引先を抱えることも多いため、請求書を即座に資金に変えられるメリットは大きいです。仕入れや外注費の支払い、運転資金の補填などに対応できるため、安定した事業運営が期待できるでしょう。
個人事業主・フリーランス向け請求書買取のポイント
個人事業主やフリーランスにとって、請求書買取サービスは資金繰りを安定させる有効な手段です。通常、取引先からの入金には時間がかかるものの、請求書を買取会社に売却すれば支払期日前でも早期に現金化できます。
近年では、小口の案件や単発取引が多いフリーランスでも利用できるサービスが増えています。審査は売掛先の信用力が重視されるため、比較的利用しやすい仕組みと言えるでしょう。
契約書や請求書を整えておけば手続きもスムーズに進むため、急に現金が必要になったときでも支払いができます。
ファクタリング会社を選ぶポイント
ファクタリング会社を選ぶ際は、以下のポイントを比較および検討してみてください。
- 手数料
- 入金スピード
- 二社間か三社間か
- オンラインで完結するか
手数料は表面的な料率のみでなく、事務手数料や追加費用の有無も確認しましょう。
入金スピードを重視する際は、最短即日で対応できるかどうか確認してみてください。急な資金調達時に大きな差になります。
また、ファクタリングは契約形態によって手数料や入金スピードが異なる点も、選ぶ際に考慮しましょう。重視するポイントが手数料率であれば三社間、入金までのスピードなら二社間から選ぶのがおすすめです。
信頼できる会社を選ぶには複数社から見積もりを取り、比較検討をしましょう。
おすすめのファクタリング会社については、以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
優良ファクタリング会社比較ランキング6選！おすすめの選び方も解説
ファクタリングで売掛債権を回収する際の注意点
ファクタリングを利用して売掛債権を回収する際は、以下の2点に注意しましょう。
- 手数料をはじめ利用する際のコスト
- 債権譲渡登記の有無
ファクタリング会社によっては、手数料以外にも諸費用が発生するケースがあります。手数料率が低かったとしても、利用する際の総コストが高いというケースもあるため、契約前にあらかじめ計算しておきましょう。
債権譲渡登記とは、売掛債権譲渡を第三者へ公的に証明する制度です。登記がある場合は売掛先に知られる可能性もあるため、契約前に確認しておきましょう。
契約前には書面をしっかり確認し、不明点は必ず事前に聞いておくことが大切です。
まとめ
売掛債権には主に以下の3種類があり、それぞれに応じた管理が求められます。
- 売掛金
- 受取手形
- 電子記録債権
売掛債権を確実に回収するためには、日ごろから取引先の与信管理を徹底し、リスクの兆候を早期に察知することが重要です。
資金繰りが厳しい場合や早期の現金化が必要な場合は、ファクタリングの活用を検討してみてください。利用時は手数料や入金スピードを比較し、自社に合ったファクタリング会社を選びましょう。
「Easy factor」では手数料は2%から、最短60分で売掛債権の現金化が可能です。売掛債権を確実に回収したい、早期に現金化してキャッシュフローを改善したい事業主の方は、利用をご検討ください。
東京大学法学部卒業後、三菱銀行（現三菱UFJ銀行）に入行。ニューヨーク支店での非日系企業向けコーポレートファイナンス担当を経て独立。企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
【保有資格】
・FP2級
・簿記2級
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