ファクタリングに金利は無い?手数料を利率換算した結果と他の資金調達を比較して解説
ファクタリングを利用するにあたって意識してもらいたい要素として「実質的な金利はどの程度のものなのか」ということがあげられます。
基本的にファクタリングは金融商品ではなく売掛債券の売買であるため、金利という考え方は存在しません。
ただ、手数料が発生するため、これを金利と見立てて実質的な利率を算出することはあります。
今回は、ファクタリングを利用した場合、実質的にどの程度の金利であるのか考え方を解説します。
目次
厳密には金利が存在しない
最初に誤解がないように解説しておくと、ファクタリングには金利の設定はありません。
この部分の理解を誤っていると、後続の説明が理解できなくなるため、まずはファクタリングに関連するお金の動きについて理解しておきましょう。
ファクタリングは手数料が生じる
誤解している人が一定数見受けられますが、ファクタリングでは金利が発生しません。
金融機関が貸し付ける取引ではないため、発生するのは金利ではなく手数料です。
利用者からすると同じような意味合いかもしれませんが、法律的には大きな違いがあるため、キーワードは正しく理解しましょう。
手数料と金利の違いが重要になる背景には「利息制限法」が適用されるかどうかということがあります。
金融機関のように貸付の場合は、利息制限法に従って金利を設定しなければなりません。
しかし、ファクタリングで発生するのは手数料であるため、利息制限法の適用対象外となるのです。
ファクタリングの手数料を金利と理解していると「利息制限法を守っていないのではないか」と誤った理解につながるため、必ず正確な認識を持ちましょう。
手数料を金利に換算することがある
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ファクタリングで発生する経費は手数料ですが、これを金利と見立てて換算することは可能です。
金融機関と同じ金利に換算することによって、ファクタリングの手数料がどの程度のものであるのか評価できるのです。
ファクタリングの手数料を金利に換算する場合は、入金までの期間とファクタリング手数料を考慮しなければなりません。
例えば、1ヶ月後に入金する売掛債権の手数料が10%であれば、実質的な金利(年利)は12倍して120%と計算できます。
厳密に複利などを考慮すると、細かな計算になってしまうため、大まかにこのような計算で算出できると認識してください。
ファクタリングの手数料に含まれる要素
ファクタリングには金利が存在しませんが、手数料として支払いを求められるようになっています。
ただ、この手数料を可能な限り少なくできれば、実質的にファクタリングの金利も下げることが可能です。
ファクタリングの手数料にはどのようなものが含まれ、実質的な金利に影響しているのかを確認していきましょう。
ファクタリング会社の取り分
手数料の主な要素と考えられるのは、ファクタリング会社の取り分です。
例えば、ファクタリングの契約にあたっては、ファクタリング会社がいくつもの手続きを済ませなければなりません。
これらの手続きにあたって、ファクタリング会社は人件費を支払っているため、これらを手数料として請求されます。
また、人件費を支払うだけではファクタリング会社として儲けが発生しません。
そのため、実際に発生している経費に加えて、ファクタリング会社の利益も含まれていると考えましょう。
なお、経費が発生する分はやむを得ないとして、ファクタリング会社の利益については交渉次第で調節してもらえるかもしれません。
ファクタリングの手数料が下がる場合は、ファクタリング会社が利益を最小限に抑えて契約してくれていると考えて良いでしょう。
印紙などの購入
ファクタリングの契約にあたって、紙の書類を利用する場合は、印紙などの貼り付けが必要です。
最近は、デジタル書面で契約することが多く印紙が不要になってきましたが、ファクタリング会社によっては印紙を貼り付けています。
そのため、印紙の購入が必要なファクタリング会社の場合は、こちらの購入費用も手数料として請求されると考えましょう。
なお、どの程度の印紙を購入しなければならないかは、ファクタリング会社に譲渡する売掛債権の額によって変化します。
高額な売掛債権を譲渡する場合は、契約書に貼り付ける印紙の額も高額になるため、手数料が高額になってしまうのです。
なお、全てのファクタリング会社で印紙などの購入が求められるわけではありません。
もし、手数料を削減し実質的な金利を低くしたいならば、印紙が不要のファクタリング会社を選ぶと良いでしょう。
債権譲渡登記の利用
契約にあたって「債権譲渡登記」が必要となる場合は、こちらの費用も負担しなければなりません。
債権譲渡登記とは、売掛債権などの所有者が変更されたことを示す登記です。
事前に法的な手続きを済ませておくことによって、売掛金の所有者が明確になり、後からトラブルが発生することを防げます。
債権譲渡登記は法務局での登記作業になるため、登録免許税の支払いが必要です。
こちらも同時に登記する売掛債権の額や数によって登録免許税が変化するため、支払う手数料もこれに左右されます。
また、債権譲渡登記にあたっては専門的な書類を作成して提出しなければなりません。
こちらの種類を自分で作成できない場合、司法書士などに依頼して書類を作成してもらうことが求められます。
専門家に依頼すると、作業の依頼費用が発生してしまい、これが手数料に転嫁されると実質的な金利が高まる要因となってしまうのです。
なお、債権譲渡登記についても全てのファクタリング会社で求められるわけではないため、実質的な金利を下げたい場合は不要なファクタリング会社を選んでみましょう。
その他交通費などの実費
ファクタリングの契約にあたって、何かしらファクタリング会社が実費を負担しているならば、それも手数料に転嫁されます。
例えば、ファクタリング会社が自社まで出向いて契約してくれる場合は、交通費が請求されるでしょう。
また、3社間ファクタリングで売掛先まで出向いた時も、同様に費用が発生すると考えるべきです。
このような実費も手数料として請求されるため、金利に換算すると非常に高額なものになりかねません。
実費の部分は手数料に含めないというファクタリング会社もありますが、手元からお金が減ることには違いがないのです。
ファクタリングの実質的な金利を下げたい場合は、このようなファクタリング会社が負担する実費を最小限に抑えることも重要です。
ファクタリング手数料とその他方法との比較
ファクタリングで発生する経費は手数料ですが、12倍にすることで金利に換算することが可能です。
これと、一般的な資金調達の方法をまとめると以下のようになります。
● 2社間ファクタリング:約15%~240%
● 3社間ファクタリング:約6%~60%
● 銀行融資:約1%~15%
● 消費者金融:約15%~18%
● 政府系金融機関:約1%~3%
単純な金利で比較すると、ファクタリングの手数料は金融機関などの借り入れよりも非常に高いものです。
そもそも、金融機関に適用される法定金利の上限は18%であるため、どこから借り入れしてもこれより低い金利が適用されます。
ファクタリングは手数料の上限が定められていないため、金利に換算した場合、大きな違いが出ることはやむを得ないでしょう。
ただ、ファクタリングを金利に換算して評価すると損する部分はありますが、金融機関よりも早く資金調達できるなどのメリットがあります。
現金がなければ、支払いができないような状況も考えられ、金利が高くとも現金化できるメリットが上回ることは多々あるでしょう。
とはいえ、無計画にファクタリングを利用すると、実質的な金利が負担になってしまうことは事実です。
他の資金調達方法よりも、実質的な金利が高いことを踏まえて、ファクタリングを利用すべきかどうか考えるようにしましょう。
ファクタリングで金利(手数料)を抑えるポイント
ファクタリングの契約にあたって手数料が発生することはやむを得ません。
ただ、工夫することで手数料を最小限に抑えることはできるため、実質的な金利を下げるためにも以下を意識しましょう。
同じファクタリング会社を利用する
ファクタリング業界の傾向として、同じファクタリング会社を継続的に利用することで手数料が下がります。
初回の手数料は高くとも、継続的に利用して信頼関係を築き上げることで、手数料が下がる仕組みとなっているのです。
そのため、ファクタリングを複数回利用する機会があるならば、可能な限り同じファクタリング会社を利用するようにしましょう。
ただ、現在はファクタリング会社の手数料相場が下がりつつあるため、同じ会社ではなく乗り換えた方が良いこともあります。
常に最新の情報をキャッチすることが大切ですが、できるだけ同じファクタリング会社で、信頼関係を築くようにしましょう。
高額な売掛債権を譲渡する
一般的に、ファクタリングの手数料は、売掛債権の額面によって利率が変化します。
高額な売掛債権をファクタリングするほど、手数料は下がる傾向にあるのです。
ファクタリング会社にも「薄利多売」のような考え方があると理解すると良いでしょう。
そのため、まとまった金額を調達したいと考えているならば、できるだけ高額な売掛債権をファクタリングすることをおすすめします。
ただ、ファクタリングにあたっては「必要以上に多くの現金を調達しない」ということも大切です。
例えば、100万円が必要な状況で300万円の売掛債権をファクタリングすると、無駄に手数料を支払って多くの現金を調達することになりかねません。
オンライン完結型を選択する
近年はオンライン契約が当たり前になってきたため、ファクタリングにおいてもオンライン完結型が増えています。
一般的に、オンライン完結型のファクタリング会社の方が手数料が低いため、支払いを最小限に抑えるためにもこちらがおすすめです。
また、オンライン完結型を選択することによって手数料が下がるだけではなく、最短即日で資金調達ができるようになります。
対面での契約が必要なファクタリング会社は、どうしても手続きに時間を要しますが、オンライン完結型はそうではありません。
いち早く現金が必要な場合も、オンライン完結型を選択するようにしてください。
ファクタリングにおける金利のまとめ
ファクタリングには金利ではなく手数料が発生することについて解説しました。
ただ、手数料のままでは金融機関の融資などと比べにくいため、手数料を金利に換算することは多々あります。
ファクタリング手数料を6倍ないしは12倍することで、大まかな金利を算出できるためそれで見比べると良いでしょう。
解説してきたとおり、ファクタリング手数料を金利に換算すると、金融機関などの融資よりも高額になってしまうケースが大半です。
ただ、金融機関よりも素早く資金調達できるなどのメリットがあるため、実質的な金利とその他のメリットやデメリットをトータルして判断することが求められます。