ファクタリングでも契約書が重要!記載される主な事項や評価ポイントを解説
ファクタリングを契約する際は、契約書に注目しなければなりません。
どのような取引においても、契約書の存在は非常に重要です。
書面として残しておかなければ、トラブルの原因となりかねません。
今回は、ファクタリングの契約においても重要となる、契約書について解説します。
目次
ファクタリングで意識したい契約形態
ファクタリングの契約書を確認する際には、どのような契約形態であるのかを意識することが大切です。
一般的に、ファクタリングは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分類できるため、それぞれについて理解を深めましょう。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングは、ファクタリング会社と利用者で契約するファクタリングを指します。
利用者の申し込み内容に問題がなければ、売掛債権が譲渡され、すぐに入金してもらえる契約です。
契約書もファクタリング会社と利用者で完結するものであるため、シンプルで理解しやすい内容になります。
また、実際にファクタリングの契約を結ぶ際も、契約書の内容に問題がなければスムーズに進められるのです。
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングは、ファクタリング会社と利用者に加えて、売掛先も含めて契約するファクタリングを指します。
事前に売掛先も含めるため、契約の内容や契約書の記載事項が変化する点に注意しましょう。
債権譲渡や売掛金を入金する流れが2社間ファクタリングとは異なるため、契約書の内容が大きく変化します。
また、ファクタリング会社は利用者と売掛先の両方と手続きする必要があるため、それに伴って契約書も変化する点を抑えておきましょう。
ファクタリングの契約書に記載される主な事項
ファクタリングの契約書に決まったフォーマットはなく、ファクタリング会社などが独自に作成しています。
ただ、記載される事項については、どこのファクタリング会社で契約しても大きな差はありません。
国税庁の「売掛債権譲渡契約書」を参考にすると以下のとおりです。
● ファクタリング(取引)の定義
● 契約の関係者(主に利用者・ファクタリング会社・売掛先)
● 契約の期間
● 譲渡の対象となる債権の種類や範囲
● 債権譲渡通知の有無
● 債権譲渡登記の有無
● 償還請求権の有無
● 契約に際して発生する費用や手数料
● 契約の解除条件
● 損害賠償や違約金の有無
参考:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/18/06.htm
もちろん、これらが基本的な事項であり、これら以外にも必要な内容が含まれている場合があります。
また、契約に関係ない内容については、契約書に記載されていないこともあるため注意しましょう。
ただ、一般的には「必要ない」ということも記載したほうがトラブルが少ないため、できるだけ細かく記載されている契約書のほうが安心です。
ファクタリングの契約書で確認したい6つのこと
ファクタリングでは多くのことを意識する必要があり、それに伴って契約書で確認したいことも増えています。
皆さんが契約書を確認する際、どの部分に注目すれば良いのか理解を深めましょう。
ファクタリング手数料
ファクタリングの契約にあたっては、必ず手数料が発生するため、これについての記載があるはずです。
事前に想定していたとおりの手数料になっているかどうかを確認しましょう。
この点を確認せずに契約してしまうと、後から手数料の高さなどを主張しても受け入れてもらえない可能性があります。
また、手数料と同時に意識したいのは、経費などの請求があるかどうかです。
例えば、債権譲渡登記が必要となる場合には、登記のために納める登録免許税などが請求されると考えられます。
どのような名目でいくらの手数料が請求されるのかが、契約書に明記されているかの確認が重要です。
担保や保証人
ファクタリングは売掛債権を譲渡する契約であるため、担保や保証人を用意する必要がありません。
もし、契約書の中にこれらを必要とする記載があるならば、違法行為であるため注意しましょう。
悪徳業者であることが考えられるため、別のファクタリング会社を利用することをおすすめします。
担保や保証人が必要ないことから、契約書に記載されていないこともありますが、必要ないことが記載されているとより安心です。
債権譲渡通知
債権譲渡通知は、ファクタリングの契約にあたって、売掛先へとその事実を通知するかどうかの事項です。
通知することになっているならば、売掛先はファクタリングしたことを把握できます。
もし、契約形態が3社間ファクタリングであれば、必然的に債権譲渡通知が発生するため契約書にも記載があるでしょう。
ただ、契約形態が2社間ファクタリングであれば、基本的には債権譲渡通知の必要はありません。
もし、2社間ファクタリングの契約書で、債権譲渡通知することになっているならば、通知する目的を確認したほうが良いでしょう。
債権譲渡登記
契約にあたって債権譲渡登記が必要となるならば、その旨が契約書に記載されているはずです。
債権の譲渡について、法務局にて登記しなければならないため、それらの作業や費用の負担について明記されます。
一般的には、ファクタリングの利用者が債権譲渡登記の費用を負担するため、それらについて示されているでしょう。
なお、債権譲渡登記が完了すると、第三者でも自由に登記事項を閲覧することが可能です。
つまり、売掛先など売掛債権について参照すると、債権が譲渡されていることが知られてしまいます。
ただ、自社の売掛債権が譲渡されているか確認する企業は少ないと考えられるため、契約書では費用の負担を軸に確認することが大切です。
償還請求権
現在のファクタリングは、償還請求権が設定されていない「ノンリコース契約」と呼ばれるものが大半です。
償還請求権とは、売掛先が倒産するなどして売掛金を回収できない場合に、ファクタリング会社が利用者へ請求する権利を指します。
昔は償還請求権が設定されている契約もありましたが、現在は多くの契約で償還請求権が設定されていません。
設定していないことを契約書に明記していることは多いため、記載があるかどうかは確認が必要です。
もし、償還請求権について触れている事項がないならば、どのような扱いになっているのか確認しましょう。
なお、基本的に償還請求権が設定されているファクタリング契約は利用者が不利であるため、特段の理由がなければ設定されない会社を利用すべきです。
契約の解除や損害賠償など
多用することはありませんが、何かしらの理由で契約を解除することが考えられます。
そのため、どのような条件下で、契約の解除が発生するのか念のために確認しておきましょう。
例えば、ファクタリング会社が期日までに入金できないと、利用者側からファクタリング契約を解除できることがあります。
また、連続してファクタリングを利用することを前提に割引されていると、継続理由が義務であることが明記されているかもしれません。
また、契約を解除するとなると、損害賠償や違約金などが発生することが考えられます。
どのような条件でいくらの支払いが必要なのか確認し、利用者が圧倒的に不利であれば、契約しないことも重要です。
特に、悪徳業者は利用者に不利な条件を付加していることがあるため、契約書の内容は吟味する必要があります。
ファクタリングで契約書が必要とされる2つの理由
ファクタリングで契約書が必要とされる理由はいくつか考えられます。
それらの中でも、重要な観点を挙げると以下のとおりです。
後から契約内容を確認できる
契約書を発行してもらうことで、後から契約内容を確認しやすくなります。
ファクタリングのように、金銭関連の契約は、認識の食い違いからトラブルが生じやすいものです。
そのような時に、契約書がなければ水掛け論が発生する可能性があります。
例えば、ファクタリング会社への弁済期日についてトラブルが発生するかもしれません。
事前に約束していた期日よりも前に、ファクタリング会社が弁済を求めてくることが考えられます。
しかし、契約書に弁済の期日が記載されていれば、ファクタリング会社が誤っていることを証明できるのです。
これは一例であり、ファクタリングの利用者側が契約内容を正しく認識できていないこともあります。
そのような状況においても、契約書が正しく作成され提供もされているならば、ファクタリング会社から契約書に基づいた説明を受けることが可能です。
悪徳業者を見抜きやすい
契約書を提供してもらうことによって、悪徳業者を見抜きやすいという利点があります。
ファクタリング会社の中には、非常に高い手数料を取るなど悪徳業者があるため、これを契約書から見抜くのです。
例えば、ファクタリングの手数料について明記してもらえば、手数料が高いかどうか判断できます。
もし、想定を大幅に超えるような手数料が提示されたならば、契約書の内容を踏まえて契約しない選択肢もあるのです。
また、ファクタリングの契約を結んでから追加で手数料を請求してきても、契約書に記載されていなければ突き返すことができます。
他にも、上記で示したような基本的な事項が記載されていないならば、契約書すら作成できないファクタリング会社として避けても良いでしょう。
どのような取引においても契約書は非常に重要であり、適切な書面を提供してくれるかどうかは注目したい部分です。
自分たちに都合の悪い内容を削除するなど、悪質な契約書を提供してくるファクタリング会社とは、契約を結ばないようにしましょう。
ファクタリング取引では契約書を必ず受け取ることが重要
ファクタリングの契約を締結する際は、契約書を受け取ることが重要です。
契約書を提供してくれないファクタリング会社があるかもしれませんが、提供を求めなければなりません。
手元に確認できる資料がないと、万が一トラブルが発生した際に、どのような契約であったか主張できなくなってしまいます。
ファクタリングにおいて、契約書は自分の身を守る非常に重要な書類です。
お金に関する取引は、何かしらの問題が発生する可能性があるため、万が一に備えて必ず契約書を受け取っておきましょう。
ファクタリングの契約書についてのまとめ
ファクタリングでは契約書が作成されますが、決まったフォーマットが存在するのではなく、ファクタリング会社が作成します。
ただ、概ねどこのファクタリング会社でも同じような事項が記載されているため、解説した内容を参考に記載されているか確認しましょう。
また、記載されている場合には、自分が意図する内容であるかどうか評価することが大切です。
ファクタリングにおいて、契約書は契約内容の証拠となる重要な書類であるため、必ず手元に残しておかなければなりません。