介護報酬ファクタリングとは?サービスの仕組みやメリット、手数料について解説
ファクタリングはさまざまな業界で利用されている資金調達方法です。
介護事業者に適しているファクタリングには介護報酬ファクタリングがあります。
ただ、介護報酬ファクタリングは一般的なファクタリングとは仕組みが異なるため、利用する前に特徴を把握しておくとよいでしょう。
そこで、この記事では介護報酬ファクタリングの仕組みやメリット、手数料について解説していきます。
介護報酬ファクタリングに興味を持っている介護事業者は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
介護報酬ファクタリングとは
介護報酬ファクタリングとは、介護事業者が保有している介護報酬債権をファクタリング会社に買い取ってもらうサービスのことです。
一般的に、介護事業者は国民健康保険団体連合会(国保連)に対して介護報酬や診療報酬を請求します。
しかし、請求から入金まで2か月ほどかかる点がデメリットです。
介護業界では設備が高額であるケースは珍しくありません。
また人件費や光熱費などの支払いも継続して発生するため、資金繰りに苦しむ介護事業者は多くいます。
このような資金繰りの問題を解決できるのが介護報酬ファクタリングです。
介護報酬ファクタリングの仕組み
介護報酬ファクタリングは介護事業者とファクタリング会社、売掛先と契約を結びます。
3社間ファクタリングと同じ仕組みなので、イメージがしやすいかもしれません。
介護報酬ファクタリングを利用するためには、売掛先の承諾を得る必要があります。
そのため、最短即日での資金調達はできません。
介護報酬ファクタリングのメリット6選
介護報酬ファクタリングのメリットは下記の6つがあります。
1. 迅速な資金調達が可能
2. 審査に通過しやすい
3. 一般的な3社間ファクタリングよりも低い手数料
4. 初回利用時は2か月分の報酬を受け取れる
5. 開業時に利用できる
6. 負債ではない
介護報酬ファクタリングのメリットを最大限に活かすためにも、これから紹介する内容について知っておきましょう。
1.迅速な資金調達が可能
介護報酬ファクタリングは一般的なファクタリングと同様に、迅速な資金調達が可能です。
介護事業者は介護報酬や診療報酬を受け取るために、およそ2か月待たなければなりません。
この2か月の間は手元資金でやり繰りをする必要があるため、資金繰りに頭を抱える介護事業者は多くいます。
上記の悩みを解決できるのが介護報酬ファクタリングです。
2週間程度で入金が完了するケースが多いので、いざというときの頼りとなるでしょう。
2.審査に通過しやすい
資金調達の手段を考えたとき、銀行の融資を申し込む介護事業者は多くいます。
しかし、銀行の融資は厳しい審査基準で知られています。
せっかく申込をしても、審査に通過しなければ資金調達はできません。
介護報酬ファクタリングは審査基準が易しめに設定されており、利用できる可能性が高いです。
介護報酬ファクタリングでは売掛先も契約に関わるため、ファクタリング会社はリスクの軽減につながります。
また、売掛先となる国民健康保険団体連合会は各都道府県に1団体ずつ存在しています。
規模が大きく倒産リスクも低いことから、ファクタリング会社は安心して契約を締結できるのです。
3.一般的な3社間ファクタリングよりも低い手数料
介護報酬ファクタリングも利用時は手数料がかかります。
ただ、介護報酬ファクタリングの手数料は0.25%から1%程度が相場です。
一般的な3社間ファクタリングの手数料は2%から10%程度といわれており、比較すると低いことが分かります。
介護報酬ファクタリングの売掛先である国民健康保険団体連合会は信用度が高い機関なので、貸し倒れリスクが低いとみなされます。
また、契約形態が3社間ファクタリングであるため、ファクタリング会社としても安全性の高い取引が可能です。
以上の理由から、介護報酬ファクタリングの手数料は一般的な3社間ファクタリングよりも低めに設定ができるのです。
4.初回利用時は2か月分の報酬を受け取れる
一般的に介護報酬の受取には2か月ほど待つケースが多いです。
しかし、介護報酬ファクタリングをはじめて利用する際、2か月分の報酬を受け取れるケースがあります。
たとえば、8月に介護報酬ファクタリングをはじめて利用したと仮定します。
この場合、介護報酬ファクタリングによって6月分と7月分の2か月分の報酬が受け取れる仕組みです。
手元資金が少ないときも、介護報酬ファクタリングを利用すればさまざまなケースに対応できるでしょう。
5.開業時に利用できる
介護事業の開業時には何かと費用がかかります。
そのため、開業時の資金繰りに悩む事業者は多くいます。
開業時の資金繰りに悩む介護事業者には介護報酬ファクタリングがおすすめです。
開業してから間もない介護事業者でも利用可能としているファクタリング会社があり、資金繰りの助けとなるでしょう。
6.負債ではない
介護報酬ファクタリングは融資や借入ではありません。
介護事業者が保有している介護報酬債権をファクタリング会社が買い取るサービスです。
負債が多ければ返済能力に問題があるとみなされてしまい、融資を受けられない可能性があります。
負債とならない介護報酬ファクタリングであれば、安心して資金調達ができるでしょう。
介護報酬ファクタリングのデメリット4選
介護報酬ファクタリングのデメリットについても知っておきましょう。
介護報酬ファクタリングのデメリットは下記の4つがあげられます。
1. 受け取る報酬額が減少する
2. ファクタリング依存となるおそれがある
3. 資金調達額には上限が設定されている
4. 悪徳業者が紛れている可能性がある
介護報酬ファクタリングのデメリットについて、ひとつずつ見ていきましょう。
1.受け取る報酬額が減少する
介護報酬ファクタリングも一般的なファクタリングと同様に、数%の手数料がかかります。
介護報酬ファクタリングの手数料は0.25%から1%程度かかり、少ない費用で利用できます。
それでも、報酬額の満額は受けとれません。
報酬額をできるだけ減らさないためにも、適切な場面で介護報酬ファクタリングを利用するようにしましょう。
2.ファクタリング依存となるおそれがある
何度か説明していますが、介護報酬ファクタリングは比較的低コストで利用できる資金調達方法です。
しかし、いくら手数料が低いからといって何度も利用していると、知らず知らずのうちにファクタリング依存となるかもしれません。
介護報酬ファクタリングに頼る理由を考え、資金繰りに関する問題点を根本的に解決していきましょう。
3.資金調達額には上限が設定されている
介護報酬ファクタリングでは介護報酬債権額以上の資金調達はできません。
一般的なファクタリングが売掛債権額以上の資金調達が不可能な理由と同じです。
多額の資金調達が必要な介護事業者は、介護報酬ファクタリング以外の方法も検討してみましょう。
4.悪徳業者が紛れている可能性がある
ファクタリングが注目されている近年では、悪徳業者の存在が確認されています。
ファクタリングを装って貸付をおこなおうとする悪徳業者に注意しましょう。
悪徳業者を見極めるのはむずかしいですが、チェックすべきポイントがあります。
下記のチェック項目に該当した場合、提示された条件がよくても断りましょう。
・債権譲渡契約ではない
・手数料が相場よりも高い
・連絡先が携帯電話
・公式サイトがない
・契約を急かしてくる
・こちらの話を聞かない
介護報酬ファクタリングを利用する流れ
介護報酬ファクタリングを利用する流れはこちらです。
1. 介護報酬ファクタリングを取り扱っているファクタリング会社に申込・問い合わせをする
2. ファクタリング会社から連絡が入り、ヒアリングがおこなわれる
3. 申込をする際は申込書類に記入・捺印して、必要書類とともにファクタリング会社に提出する
4. ファクタリング会社による審査の実施
5. 審査後、ファクタリング会社の担当者から連絡が入る
6. 介護事業者とファクタリング会社の間で介護報酬債権譲渡契約を結ぶ
7. 国民健康保険団体連合会にファクタリングの通知が届く
8. ファクタリング会社は介護事業者に介護報酬債権のおよそ80%(掛け目)を支払う
9. 支払期日が到来したら、国民健康保険団体連合会はファクタリング会社に介護報酬を支払う
10. 掛け目の残りのおよそ20%を介護事業者に返金する
介護報酬ファクタリングの流れは3社間ファクタリングとほとんど変わりません。
介護報酬ファクタリングの必要書類
介護報酬ファクタリングの必要書類の一例はこちらです。
・介護報酬の支払いが記載されている通帳コピー
・介護報酬請求書
・介護報酬の支払決定通知書
・履歴事項全部証明書
・許認可証のコピー
・納税通知書
・印鑑証明書
・本人確認書類のコピー(運転免許証やマイナンバーカードなど)
介護報酬ファクタリングを利用する際の必要書類は、ファクタリング会社によって違いがあります。
迅速な手続きができるように早めに確認しておきましょう。
介護報酬ファクタリングに関するまとめ
介護報酬ファクタリングとは、介護事業者が保有している介護報酬債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、支払期日前に現金化するサービスのことです。
介護報酬ファクタリングは一般的な3社間ファクタリングと同じ仕組みなので、ファクタリング会社としてはリスクの低い取引が可能です。
介護報酬ファクタリングのメリットには迅速な資金調達が可能な点や、審査に通過しやすい点などがあります。
また、介護報酬ファクタリングの手数料の相場は0.25%から1%程度といわれており、一般的な3社間ファクタリングよりも費用をおさえられます。
介護報酬ファクタリングを適切に利用することで、介護事業者の資金繰りが改善する可能性が高まるでしょう。
介護報酬ファクタリングの仕組みやメリットなどを把握したうえで、利用を検討してみてはいかがでしょうか。