ファクタリングと受取手形の7つの違いとは?それぞれのメリットとデメリットを解説
ファクタリングと受取手形は、売掛債権を支払期日前に現金化できる資金調達方法として知られています。
ただ、売掛債権の早期現金化という点では同じですが、いくつかの違いがあります。
自社に合った資金調達方法を利用するためにも、ファクタリングと受取手形の違いを理解しておくとよいでしょう。
そこでこの記事では、ファクタリングと受取手形の7つの違いについて解説していきます。
また、ファクタリングと受取手形のメリットとデメリットも紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
目次
ファクタリングと受取手形の基本
まずは、ファクタリングと受取手形の基本について見ていきましょう。
1. ファクタリングとは
2. 受取手形とは
1.ファクタリングとは
ファクタリングとは、事業者が保有している支払期日前の売掛債権を、ファクタリング会社が買い取るサービスを指します。
支払期日が長く設定されていると、資金繰りが苦しくなるケースが考えられます。
そこでファクタリングを利用すれば、最短即日での資金調達が可能です。
2.受取手形とは
受取手形とは、企業間の取引で現金の代わりに受け取る手形のことです。
受取手形には為替手形と約束手形があり、どちらも債権として分類されます。
受取手形は金融機関に現金化を依頼すると、預金としての受け取りが可能です。
また、支払期日前の現金化もできます。
ファクタリングと受取手形の7つの違い
ファクタリングと受取手形には、下記の7つの違いがあります。
1. 現金化の対象
2. 貸金業法の適用の範囲
3. 資金調達のスピード
4. 手数料と金利
5. 償還請求権の有無
6. 審査で重視するポイント
7. 売掛先への通知
どのような違いがあるのか、ひとつずつ解説していきます。
1.現金化の対象
ファクタリングで資金化の対象となるのが売掛金です。
売掛金は、支払期日までに支払うことを約束されたお金のことです。
ただ、売掛金の支払いが必ずおこなわれるという保証はありません。
売掛先の倒産によって、売掛金が支払われないリスクがあります。
受取手形で資金化の対象となるのは、有価証券である受取手形です。
受取手形はファクタリングと比べると、回収できる可能性が高い特性があります。
受取手形は不渡りを2回起こした場合、金融機関との取引が制限されてしまいます。
支払いの強制力が強いことから、受取手形は現金化しやすいといわれているのです。
2.貸金業法の適用の範囲
貸金業法とは、貸金業者に関する規制を定めた法律のことです。
ファクタリングは貸金業に該当しないので、貸金業法が適用されません。
ファクタリング会社は貸金業登録をせずに、売掛債権の買取が可能です。
また、貸金業法が適用されないことから、手数料に制限はありません。
一方で、受取手形は貸金業法が適用されます。
受取手形を取り扱う業者は、貸金業の登録が必要です。
また、金利の上限は20%に設定されています。
3.資金調達のスピード
2社間ファクタリングの場合、早ければ即日での入金が可能です。
3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも時間がかかるものの、最短2日程度での資金調達ができます。
受取手形は銀行の場合が1週間、受取手形を取り扱う業者で最短即日が目安です。
どちらも最短即日での資金調達ができますが、手続きはファクタリングのほうが簡単です。
手続きに時間をかけたくないのであれば、ファクタリングの利用を検討してみるとよいでしょう。
4.手数料と金利
どちらも現金化の際は、手数料や金利が発生します。
ファクタリングで支払うのは手数料です。
手数料はファクタリング会社や契約形態などによって違いがあります。
こちらが契約形態別の手数料の目安です。
・2社間ファクタリング:10%~20%
・3社間ファクタリング:2%~10%
受取手形は取引先によって金利が異なります。
金利の目安はこちらです。
・銀行:1%~5%
・受取手形を取り扱う業者:5%~20%
ファクタリングは1回ごとに手数料を支払います。
一方で、受取手形は年利での計算となる点に注意しましょう。
ファクタリングのほうが高いコストとなる傾向がありますが、3社間ファクタリングを利用することで、手数料をおさえられます。
5.償還請求権の有無
償還請求権とは、売掛債権が回収できなくなった際、かかった費用の弁済を求める権利のことです。
ファクタリングは原則として、償還請求権のない契約を結びます。
売掛先が倒産しても、事業者が弁済する必要はありません。
売掛債権の未回収リスクは、ファクタリング会社が負うこととなります。
受取手形は償還請求権があります。
もし手形振出人が倒産してしまうと、事業者が弁済しなければなりません。
6.審査で重視するポイント
ファクタリングの審査で重視するのは、売掛債権の信用度の高さです。
売掛先の経営が安定している、上場企業であるなどの条件に該当すれば、信用度が高いとみなされます。
たとえ事業者が赤字決算だとしても、審査に通過する可能性があります。
受取手形は融資の扱いです。
そのため、売掛先と事業者の信用度の高さを厳しくチェックされます。
審査難易度を判定するのであれば、受取手形よりもファクタリングのほうが審査に通りやすいと判断できるでしょう。
7.売掛先への通知
ファクタリングは契約形態によって、売掛金の通知の有無が異なります。
2社間ファクタリングは、事業者とファクタリング会社の2社間で契約する仕組みです。
売掛先はファクタリング契約に関与することはないため、ファクタリング利用の通知は届きません。
3社間ファクタリングは、事業者とファクタリング会社に売掛先を加えた3社間で契約をします。
ファクタリングを利用するためには、売掛先の承諾が必要です。
そのため、3社間ファクタリングは売掛先に知られる仕組みとなっています。
受取手形は事業者と受取手形を取り扱う業者との間で取引をします。
売掛先に知られる心配はありません。
ファクタリングのメリットとデメリット
ファクタリングには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ファクタリングを効率よく活用するためにも、それぞれの特徴について理解しておきましょう。
1. ファクタリングのメリット
2. ファクタリングのデメリット
1.ファクタリングのメリット
ファクタリングは資金調達のスピードが早い点が魅力的です。
最短即日での入金に対応しているファクタリング会社を利用すれば、申込をした当日に売掛債権の現金化が可能です。
また、ノンリコース契約を結べば、売掛金の未回収リスクを負う必要はありません。
売掛先が倒産しても弁済しなくて済むので、事業に集中できるでしょう。
2.ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットは、手数料が高額である点です。
2社間ファクタリングは迅速な資金調達が可能ですが、20%近くの手数料が発生する可能性があります。
この手数料は取引ごとに発生するため、ファクタリングの利用回数が増えれば増えるほど、負担となるのです。
また、ファクタリングは事業者の売掛債権を買い取る仕組みなので、売掛債権額以上の資金調達はできません。
売掛債権額から手数料が引かれるため、手元に残るお金が少ないケースが考えられます。
受取手形のメリットとデメリット
続いて、受取手形のメリットとデメリットを見ていきましょう。
1. 受取手形のメリット
2. 受取手形のデメリット
順番に解説していきます。
1.受取手形のメリット
受取手形は現金化に必要なコストをおさえやすいです。
銀行の場合、金利は1%から5%程度で利用できるため、ファクタリングよりも多くのお金を手元に残せるでしょう。
また、資金調達のスピードが早い点もメリットです。
最短即日での現金化ができるので、受取手形は手元資金をすぐに用意したいときに役立ちます。
2.受取手形のデメリット
受取手形には貸し倒れのリスクがあります。
手形振出人の支払能力がなくなった際、事業者が支払う義務が発生します。
また、ファクタリングよりも審査が厳しめにおこなわれるケースが多いです。
現金化できないことも想定しておくと安心です。
ファクタリングと受取手形の違いに関するまとめ
ファクタリングと受取手形は、売掛債権を現金化する点は同じです。
ただ、現金化の対象や貸金業法の適用の範囲などの違いがあります。
それぞれの違いを把握して、自社に適した資金調達方法を選択してみてはいかがでしょうか。