3社間ファクタリングのメリットとは!?具体例と考慮したいデメリットについても解説
ファクタリングで一般的に利用されているものは2社間で契約するものです。
それに対して、少し知名度は下がってしまいますが3社間で契約する3社間ファクタリングもあります。
この記事では、これらのサービスのうち3社間ファクタリングの概要について触れ、利用時のフローやメリット・デメリットも解説します。
目次
3社間ファクタリングはどのようなサービスか
最初に3社間ファクタリングが、どのようなサービスであるか 解説していきます。
3社間ファクタリングの概要
3社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社に加えて、取引先も含める方法です。
事前に取引先へ債権譲渡することを伝えておき、同意を得てから最終的に契約します。
また、事前に先方間で契約などの事務手続きを済ませてもらい、取引先から弁済してもらう流れです。
契約に時間が必要ですが、手数料が低くなりやすいなどの魅力を持っています。
ただ、近年はファクタリング会社が増えているものの、このような契約方法に対応している会社は一部です。
そのため、もし3社間ファクタリングで契約したいならば、サービスを提供している適切な事業者を探さなければなりません。
2社間ファクタリングとの違い
一般的なファクタリングといえば、2社間ファクタリングを思い浮かべる人が多いでしょう。
こちらは、利用者とサービス提供会社だけで契約するものです。
3社間ファクタリングなら、取引先も含めて手続きする必要がありますが、2社間ファクタリングでは相手側を含めません。
そのため、利用者がスムーズに手続きを進めれば、最短即日で契約が完了し、入金まで進めてもらうことが可能です。
関係者の数と契約のスムーズさが、これらの契約方法の大きな違いであると理解すれば差し支えありません。
また、契約に際しては手数料が発生しますが、一般的に手数料は3社間のほうが2社間よりも低いと考えましょう。
近年はオンラインで契約できる会社が増えたことで、2社間ファクタリングでも手数料は下がってきています。
とはいえども、3社間ファクタリングもオンライン契約に対応していることがあり、手数料は低くなりやすいのです。
3社間ファクタリングを活用するフロー
実際にファクタリングを活用する場合、どのようなフローで進めるか解説します。
依頼先の決定
最初に、依頼先の会社をWebなどで検索して探し出しましょう。
ファクタリング会社は数多くありますが、すべてが3社間ファクタリングに対応しているわけではありません。
そのため、まずはメリットを活かすためにも3社間ファクタリングに対応している会社を探しましょう。
Webなどで検索するといくつもの会社がヒットするため、それらの中から選択することをおすすめします。
ただ、銀行が提供するサービスについては、「銀行系」と呼ばれ審査が厳しい傾向にあるため注意すべきです。
審査の申し込み
どの会社へと申し込みするか決定したならば、まずは申し込みを進めましょう。
申し込みに際しては、各社が定めている必要書類を準備しなければなりません。
提出する書類の内容は、会社によって異なるため、事前の確認が重要です。
例えば、3種類で済む場合もあれば、7種類程度を求められる場合もあります。
また、認められる身分証明書などにも違いがあるため、詳細に確認して準備しておきましょう。
事前審査
申し込みすると、利用者や売掛債権に対しての事前審査があります。
今までにその会社と契約したか、初回であるかどうかや、売掛債権が実在するかなどを確認されるのです。
また、売掛先についても審査して、支払い能力に問題がないかなどが評価されます。
ここで「事前」と明記する理由は、この後に売掛先との手続きがあり、ここで拒否されてしまう可能性があるからです。
仮に事前の審査には問題がなくとも、売掛先が同意しないと契約できないため、その点を考慮しています。
利用者の契約
審査で問題ないと判断されたならば、利用者が最初にファクタリング会社との契約を締結します。
この段階で、利用者からは売掛債権が譲渡できる状態になっていると理解すれば良いでしょう。
契約方法は電子契約もあれば、対面で紙によることも考えられます。
3社間ファクタリングを利用すると、オンラインでは契約を締結できないことがあるため、その点は注意しておくべきです。
債権譲渡通知や承諾
利用者からファクタリング会社へと、売掛債権を譲渡する契約が完了したならば、債権譲渡通知が発生します。
これは、簡単に述べると相手側に対して「売掛債権の所有者が変更になった」と連絡することです。
ただ、3社間ファクタリングは売掛先が同意しないと契約できないため、事前に仮の情報として通知することもあります。
連絡を受けた売掛先は、その詳細を確認し、内容に問題が無いと判断したならば債権譲渡を承諾するという流れです。
売掛先の契約
3社間ファクタリングでは、売掛先によるファクタリング会社への弁済が必須です。
そのため、弁済に向けて売掛先と契約を締結しておかなければなりません。
具体的には、売掛金の支払先を変更したり、支払いタイミングを再確認したりするのです。
この契約が完了しなければ、利用者側が待機していても、契約は前に進みません。
契約内容や売掛先のリソース状況によっては、契約までの時間が長くなってしまうため、余裕を持って手続きすることが重要です。
入金
売掛先の契約作業が完了すれば、ファクタリング会社から利用者に対して入金があります。
事前に振込先口座を連絡してあるため、そこへと入金されるのを待ちましょう。
基本的に、売掛先による対応が完了した段階で即日の入金ですが、時間によっては翌営業日になってしまいます。
弁済
2社間ファクタリングならば、利用者が売掛金を受け取り弁済する流れです。
しかし、3社間ファクタリングは利用者ではなく売掛先が弁済しなければなりません。
利用者は入金された段階で一連の契約が完了するため、特に対応すべきことはないのです。
ただ、弁済は発生しないものの、帳簿への記録などが2社間ファクタリングと異なるため、税理士などに確認しておくと良いでしょう。
3社間ファクタリングを選択するメリット
2つの契約方法があるなかで、3社間ファクタリングを選択するメリットは以下の通りです。
手数料が低くなりやすい
ファクタリングの中でも3社間ファクタリングは、手数料が低くなりやすいことがメリットです。
上記でも述べたとおり、現在はファクタリング手数料の相場が下がりつつありますが、それでも3社間ファクタリングは低く設定されています。
例えば以下の違いがあります。
● 2社間:10%前後
● 3社間:5%前後
手数料の違いは、手元に残るお金の違いにつながるため、低いほど魅力的といえるでしょう。
依頼先や契約方法を選択できる状況ならば、3社間で契約することによって手数料を節約できるのです。
ただ、実際に設定される手数料などは各社で異なるため、契約時によく確認しなければなりません。
審査の通過率が高い
一般的な資金調達方法の中では、審査に通過しやすい傾向があることがメリットです。
これは、3社間ファクタリングならば事前に取引先へと連絡して契約しているため、リスクが低い取引だからでしょう。
事前に実施される審査は、会社側がリスクを回避するためのものであるため、リスクが低ければスムーズに契約できます。
基本的に、取引先の財務状況に大きな問題がなければ、契約できると考えて良いでしょう。
もちろん、審査がある以上は落ちてしまう可能性もありますが、比較すると通過率は高くなっているのです。
売掛先から弁済してもらえる
利用者ではなく売掛先が事前に事務手続きを済ませ、利用者を介さずに弁済してもらえます。
一般的には利用者がファクタリング会社へと弁済するのに対して、3社間ファクタリングではこの手間がありません。
社内の事務手続きが少なくなどだけではなく、振込手数料などの節約にもつながるため、総合的にメリットでしょう、
ただ、取引先には支払先を変更してもらう必要があるため、場合によっては手間をかけてしまうことについて一言添えるべきです。
また、基本的には売掛先から事務作業についての費用を請求されることはないため、金銭的な負担は生じないと考えられます。
大規模なファクタリング会社が多い
ファクタリング業界では、3社間ファクタリングを扱う会社は大規模な会社が多くなっています。
昔から存在する有名な会社や資本金の多い会社が含まれていて、安心して利用できることがメリットです。
近年はファクタリング会社が増え、小規模な会社がいくつもありますが、それらより信用力は高いといえるでしょう。
大規模なファクタリング会社が多い背景には、契約の手続きに手間がかかることなどが考えられます。
利用者だけではなく取引先ともやり取りが必要となるため、スタッフなども多く必要となり、必然的に大規模なファクタリング会社でないと参入できなくなるのです。
もちろん、中規模の会社が存在しないわけではなく、そのような会社のサービスが悪いと断言できるわけでもありません。
全体として中小企業が増えている中で、大規模な会社へと依頼しやすいことが、メリットだと考えてください。
3社間ファクタリングを選択するデメリット
メリットではなくデメリットもあるため、続いてはこの点について解説します。
契約に時間を要してしまう
3社間ファクタリングは、取引先も含めた契約が必須であり、すべての作業が完了するまでに時間を要することがデメリットです。
2社間ファクタリングならば、最短で即日のうちに契約が完了しますが、このようなスピード感のある契約は無理だと考えましょう。
取引先を含めて契約する必要があるため、どうしても時間が必要となってしまいます。
もし、短時間で現金が必要となる理由が存在するならば、契約方法は迷わず2社間ファクタリングを選択すべきです。
契約完了までの時間には大きな違いがあり、これがデメリットになってしまうと認識しておきましょう。
取引先にファクタリングが伝わる
取引先に連絡してから利用しなければならず、必然的にファクタリングの事実が伝わります。
場合によっては、マイナスの印象を与えることになってしまうため、ここは抑えておくべきです。
例えば、取引先に伝わることで「資金繰りに余裕がない会社」だと判断されてしまうかもしれません。
このような印象を与えたならば、「この会社は信頼できない」などと、後の取引に影響が出てしまうことが考えられます。
また、事前に売掛金を現金化するという行為には「リスクヘッジ」という意味合いもあり「取引先を信用していない」と捉えられてしまうこともあるでしょう。
これも信頼関係に影響する可能性があるため、特に注意しておかなければなりません。
3社間ファクタリングが適したケースとは
3社間ファクタリングにはメリットもデメリットもあるため、適しているか見極めることが重要です。
続いては、契約方法を選べる状況で、この方法が適しているのはどのようなケースであるか解説します。
取引先と良好な関係である
取引先と良好な関係が築けていれば、基本的には大きな問題にはならないでしょう。
短期的な理由で資金繰りに問題が生じているならば、事前に伝えることで理解してもらえると考えられます。
ファクタリングの手続きでは、取引先に依頼して手続きしてもらう部分が含まれるため、その点について連絡しておくと良いでしょう。
良好な関係が築けていない場合は、メリットを活かせずむしろ関係が悪化する可能性があります。
ただ、理解を得られる関係ならばデメリットにはならないはずです。
公共団体など関係性が大きく影響しない
保有している売掛債権が公共団体などの場合、取引における信頼関係などは特に重視されないため、利用しても問題ないでしょう。
例えば、公共事業で発生した売掛債権ならば、関係性などを意識する必要はありません。
取引先は、適切なルールに基づいて発注しているケースが多く、会社間取引のように企業間の信頼性を重視することはほぼないのです。
つまり、3社間ファクタリングで気をつけなければならないデメリットをほとんど考慮する必要がありません。
また、公共団体などでも3社間ファクタリングに対応してもらえることが多く、相手側の担当者が慣れていればスムーズに対応してくれます。
3社間ファクタリングのメリットについてのまとめ
資金調達に関する方法の中でも3社間ファクタリングについて説明し、具体的なメリットについても解説しました。
一般的なファクタリングと比較してみると、手数料が安くなりやすく、審査に通過しやすいことがメリットです。
部分的に気をつけなければならないものの、もし3社間で契約できるならばこちらを選択した方が良いでしょう。
とはいえ、メリットだけではなくデメリットもあるため、両方を理解してどのような資金調達が適しているか判断すべきです。