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売掛金の売却は非課税?ファクタリングが非課税の理由と課税対象

売掛金を売却する際に「消費税はかかるのか」「経理処理はどうすれば良いのか」と悩む方は少なくありません。

売掛金の売却は「有価証券等の譲渡」に該当し、原則として非課税取引となります。一方、ファクタリング会社へ支払う手数料など、サービス提供に対する費用には消費税が発生するため忘れずに計上しなければなりません。

売却代金そのものは非課税である一方、付随費用は課税となるケースがあることを理解しておくことで、誤った仕訳処理を避けられます。本記事では、国税庁の定義をもとに、売掛金の売却が非課税となる理由や費用ごとの税区分を解説します。

売掛金の売却やファクタリングが課税対象になるのか気になっている方は、参考にしてください。

売掛債権(売掛金)の売却は課税対象?消費税の基本から解説

売掛金の売却には、消費税が課されません。消費税が課されない理由を理解するために、消費税の基本を以下2つの観点から解説します。

  • 消費税が課される4つの条件
  • 消費税が非課税になる3つのケース

順番に確認していきましょう。

消費税が課される4つの条件

消費税はすべての取引に一律で課されるわけではなく、取引の内容によって課税の可否が決まります。国税庁の定義によれば、次の4つの条件をすべて満たす取引が「課税取引」に該当します。

  1. 国内で行われる取引であること(国内取引)
  2. 事業者が事業として行うものであること(反復・継続・独立して遂行)
  3. 対価を得て行うものであること(無償や寄附は除外)
  4. 資産の譲渡、資産の貸付け、または役務の提供であること
    出典:国税庁「消費税のあらまし 2.どんな取引が課税対象? P9」

例えば、国内の事業者が商品を販売し、代金を受け取る場合は「国内取引」「事業としての活動」「対価性」「資産の譲渡」のすべてを満たすため課税されます。一方で、無償の寄附の場合は「対価を得て行う」要件を満たさないため、課税の対象にはなりません。

このように、消費税は取引の形態や性質によって判断されますが、4要件を基準に整理すると理解しやすくなります。

消費税が非課税になる3つのケース

消費税がかからない取引は「非課税」「不課税」「免税」の3つに分類されます。

区分定義
非課税取引本来は課税対象に当たるものの、社会政策的配慮などにより法律で課税が免除されている取引・土地や有価証券の譲渡
・社会保険医療など
不課税取引消費税の課税対象となる4つの条件をそもそも満たさない取引・給与
・寄附
・贈与
・国外取引など
免税取引国際取引など政策的な目的により、課税対象とされつつも税が免除される取引・輸出
・国際輸送
・免税店での販売など

非課税は「本来は課税の対象であるものが、政策上の理由で非課税となるケース」、「不課税は「課税取引の4条件そのものを満たしていないケース」です。また、免税は「輸出など政策目的で税負担を軽減するために課税を免除されているもの」として扱われます。

売掛金の売却が非課税になる2つの理由

売掛金の売却が非課税になる理由は、以下の2つです。

  • 債権譲渡が「有価証券等の譲渡」に該当するため
  • 売却対価は役務の提供ではないため

ひとつずつ解説します。

債権譲渡が「有価証券等の譲渡」に該当するため

債権譲渡(売掛金の譲渡)は、有価証券と同様に金融資産として扱われるため、消費税法上の「非課税取引」に該当します。

消費税法では、有価証券や預貯金などの譲渡は、社会政策的な配慮や制度上の理由から課税の対象外とされています。売掛債権の譲渡もこれらと同様に「金融資産の移転」として位置づけられており、「資産の譲渡」には該当しません。

したがって、売掛金を第三者へ譲渡して現金化する行為は「有価証券等の譲渡」とみなされ、消費税は課されないと判断されます。

売却対価は役務の提供ではないため

売掛金(債権)の売却代金はサービスの対価ではないため、消費税の課税対象になりません。ファクタリングにおける売却側は、債権そのものを譲渡しているのみで、相手にサービスを提供しているわけではないためです。

例えば商品販売や業務委託のように、相手に労務や便益を提供して対価を得る場合は「役務の提供」に該当し、課税対象となります。一方で、売掛金の譲渡は単なる金融資産の移転であり、サービスの提供には当たりません。

そのため、売却代金は「役務の対価」ではなく「債権(資産)の譲渡に伴う対価」と判断され、非課税取引として扱われます。債権の譲渡自体が非課税である以上、その受け渡しで得た金銭にも消費税は課されません。

売掛金を売却したときに発生する主な費用と税区分

売掛金の売却代金は非課税取引として扱われます。ただし、売却に伴い発生する費用の中には、消費税の課税対象となるものも含まれます。

  • ファクタリング会社の手数料(課税)
  • 債権譲渡登記の費用(不課税)
  • 振込手数料や出張費など付随費用(課税)

それぞれの税区分を確認していきましょう。

ファクタリング会社の手数料(課税)

ファクタリング会社に支払う手数料は、消費税の課税対象です。信用調査や契約書の整備、入金管理など、債権の買取に付随するサービス(役務)を受ける対価とみなされるためです。

債権譲渡登記の費用(不課税)

債権譲渡登記にかかる登録免許税や印紙税は、いずれも国に納付する税金であり、消費税の課税対象外(不課税取引)に該当します。

振込手数料や出張費など付随費用(課税)

ファクタリングの実務では、振込手数料や郵送費、交通費(出張費)などの付随費用が発生することがあります。これらの費用は、銀行や事業者が提供するサービスの対価として支払われるため、原則として消費税の課税対象です。

また、出張費などを実費精算する場合であっても、請求書に消費税が含まれているケースが多く、内容を確認せずに非課税として処理すると誤りとなる可能性があります。

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売掛金の売却と税務に関するよくある質問

売掛金の売却と税務に関するよくある質問に回答します。

  • 売掛金の売却に消費税はかかりますか?
  • 売掛金は課税売上に含まれますか?
  • 売掛金が回収できない場合の仕訳は?
  • ファクタリングを利用した場合の税務上の扱いは?

順番に確認していきましょう。

Q.売掛金の売却に消費税はかかりますか?

売掛金の売却は「有価証券等の譲渡」に準じる非課税取引とされているため、消費税はかかりません。

ただし、売却時に発生するファクタリング手数料や司法書士報酬などの付随費用は、役務の提供に対する対価とみなされ、消費税が課されます。

Q.売掛金は課税売上に含まれますか?

売掛金は商品販売やサービス提供などの課税取引によって発生する「代金を受け取る権利」であり、課税売上には含まれません。

課税売上は商品を販売した時点で計上され、売掛金はその結果として発生します。課税関係は取引時点で確定しており、後から売掛金を回収したり第三者に譲渡したりしても、新たに課税売上が生じることはありません。

Q.売掛金が回収できない場合の仕訳は?

売掛金が回収不能となった場合は「貸倒損失」として処理します。例えば、売掛金10万円が貸倒れた場合、次のような仕訳になります。

借方貸方
貸倒損失 100,000売掛金100,000

上記の仕訳を行うことで、売上計上時に発生した債権を帳簿から除外します。

また、過去にその売上に対して消費税を納付している場合は「貸倒れに係る消費税の控除」が適用できるケースがあります。適用要件や計算式は、国税庁のホームページに詳しく記載されているため、確認しながら進めてください。

参考:No.6367 貸倒れに係る税額の調整|国税庁

Q.ファクタリングを利用した場合の税務上の扱いは?

ファクタリングによる売掛金の売却は「有価証券等の譲渡」に準じる金融取引とされているため、基本的に消費税の非課税取引として扱われます。

ただし、ファクタリング会社に支払う手数料は消費税が課されます。手数料は消費税の課税対象となる「役務の提供」に該当するためです。

ファクタリング取引自体は非課税でも付随する手数料には課税されるため、それぞれの取引区分を正しく理解し、帳簿上も適切に処理しましょう。

まとめ

消費税が課されるのは「国内取引」「事業性」「対価性」「資産の譲渡等」の4条件すべてを満たす場合に限られます。売掛金の売却は「資産の譲渡等」にも該当しないため、非課税取引として扱われます。

一方で、ファクタリング会社へ支払う手数料や司法書士報酬は、サービス提供に対する対価であるため課税対象です。ただし、登録免許税や印紙税は国に納付する税金であり、不課税取引として処理します。このように、売却代金自体は非課税でも、付随費用の税区分が分かれることは決して珍しくありません。

そのため、ファクタリング会社を選ぶ際はどのような費用が発生するのかを公式サイトで確認しましょう。とくに事務手数料や登記費用などの「付随費用」は、消費税の計算や仕訳処理を複雑にする原因になりえます。

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