ファクタリングの判例には何がある?調べ方と悪徳業者を見分ける3つのコツについて解説
ファクタリングは便利な資金調達方法として認知されるようになってきました。
しかし、利用者の増加とともに裁判となるケースもあります。
ファクタリングを利用する前に、どのような判例があったのかを知っておくことは重要です。
しかし、判例の調べ方を知っている事業者はほとんどいないでしょう。
この記事ではファクタリングの判例と調べ方、悪徳業者を見分ける3つのコツについて解説していきます。
目次
ファクタリングの2つの判例
ファクタリングの判例といっても、ピンと来ない事業者が多いかもしれません。
ここからは、ファクタリングの2つの判例について見ていきましょう。
1. 貸金業と判断された判例
2. 違法な貸付行為だと認められた判例
1.貸金業と判断された判例
はじめに紹介するのは、貸金業と判断された判例です。
この判例のポイントを箇条書きにしました。
・売主は売掛債権の代金を1部しか受け取っていない
・残りの代金は買主が売掛債権を回収したのちに支払われる
・契約内容は売掛債権の代金の1部のみが売買対象
ファクタリングはファクタリング会社が売掛金の未回収リスクを負うことで、高額の手数料を受け取る仕組みとなっています。
しかし、この取引ではファクタリング会社がリスクを負っていません。
結果としては、ファクタリング会社が高額の手数料を受け取るのは不当だとみなされ、貸金業であると判断されました。
貸付であるため、利息制限法が適用されることとなり、ファクタリング会社は過払い金の返還を命じられました。
2.違法な貸付行為だと認められた判例
違法な闇金業者がファクタリング会社を装い、貸付をおこなった判例があります。
この判例では闇金業者がファクタリング会社を装って利用者を安心させ、金銭の貸付をおこないました。
利用者としては「ファクタリング会社に任せれば大丈夫だろう」と信じてしまいます。
しかし、実際には売掛債権を担保とした違法な貸付行為であったと判断されました。
闇金業者は利用者からお金をだまし取ろうと考えています。
過去の判例を知っておき、同じ手口に引っかからないように注意しましょう。
ファクタリングの判例の調べ方3選
ファクタリングの判例を調べる方法は、下記の3つがあります。
1. 裁判例検索を利用する
2. 新聞社のニュースサイトで調べる
3. 判例検索ソフトで確認する
それぞれの調べ方について見ていきましょう。
1.裁判例検索を利用する
裁判所の公式サイトにある「裁判例検索」は無料で判例を検索できます。
たとえばファクタリングの判例を検索したい場合「全文検索」欄に「ファクタリング」と入力して、検索ボタンをクリックするだけです。
該当する判例をクリックすると、PDFにて全文が確認できます。
裁判年月日や事件番号からの検索も可能なので、特定の判例を検索しやすいです。
2.新聞社のニュースサイトで調べる
新聞社のニュースサイトでは、さまざまなカテゴリーの記事を掲載しています。
検索窓があれば「ファクタリング」と入力すると、関連記事が表示されます。
分かりやすく解説されているので、裁判例検索で分からない点があれば、新聞社のニュースサイトで調べてみましょう。
3.判例検索ソフトで確認する
判例検索ソフトには過去の判例がまとめられています。
法律事務所でも導入されており、信頼性の高さが特徴です。
なお、判例検索ソフトは有料となります。
ただ、トライアル期間は無料で利用できる判例検索ソフトもあるので、本格的な導入前に試してみることをおすすめします。
ファクタリングの判例を調べる際の重要なポイント3選
ファクタリングの判例を調べる際は、下記の3つのポイントを意識しておきましょう。
1. 公的な情報であることを確認する
2. 原文はむずかしく理解できないことも
3. 裁判所名と裁判年月日を確認する
順番に解説していきます。
1.公的な情報であることを確認する
判例を調べるうえで重要なのは、情報の正確性です。
もっとも信頼できるのは一次情報です。
一次情報とは、自らが体験したり調査をしたりして得た情報を指します。
判例の一次情報は裁判所が発表している情報や、判例検索ソフトの情報が該当します。
誤った解釈をしないためにも、公的な情報であることを確認しましょう。
2.原文はむずかしく理解できないことも
裁判所の公式サイトにある裁判例検索は、一次情報として信頼できるものです。
しかし、原文を確認しても分からないというケースは珍しくありません。
もし原文がむずかしくて理解ができないときは、分かりやすく解説されているサイトも参考にするとよいでしょう。
3.裁判所名と裁判年月日を確認する
参考にするサイトの正確性を判断するには、裁判所名と裁判年月日の確認が重要です。
裁判所名とは「大阪地方裁判所」のような裁判所の名称です。
裁判年月日は裁判がおこなわれた日付を指します。
法律の専門家はこの裁判所名と裁判年月日を確認して、判例を特定します。
また、裁判所名と裁判年月日が分かれば、裁判所の公式サイトにある裁判例検索にて検索も可能です。
悪徳業者を見分ける3つのコツ
判例を確認すると、悪徳業者と契約したことでトラブルに発展していることが分かります。
悪徳業者と契約をしなければ、ファクタリングによる資金調達ができるでしょう。
そのため、悪徳業者を見分けることはとても重要です。
しかし、悪徳業者はファクタリング会社を装っており、見分けるのはむずかしいです。
そこでここからは、悪徳業者を見分ける3つのコツについて解説していきます。
1. 手数料が相場よりも高すぎないこと
2. 債権譲渡契約であること
3. 給与ファクタリングは利用しない
1.手数料が相場よりも高すぎないこと
悪徳業者が設定する手数料は、一般的なファクタリングの手数料の相場よりも高めに設定しているケースがあります。
ファクタリングの手数料の相場は、2社間ファクタリングでは10%から20%、3社間ファクタリングでは2%から10%程度です。
つまり、20%以上の手数料を請求するファクタリング会社は、悪徳業者の可能性があります。
20%以上の手数料を提示されたときは、契約をしないとはっきり断りましょう。
2.債権譲渡契約であること
ファクタリングの契約では債権譲渡契約を結びます。
しかし、悪徳業者は融資として貸付を実施しようとたくらんでいます。
債権譲渡契約であることを確認したうえで、契約を結びましょう。
3.給与ファクタリングは利用しない
給与ファクタリングは勤め先から受け取る給与を債権として、給与支給日の前に現金化するサービスのことです。
給与ファクタリングは「ファクタリング」と名称にありますが、貸金業に該当します。
金融庁は給与ファクタリングを利用しないよう、注意喚起をしています。
給与ファクタリングは違法性が高い行為なので、利用しないようにしましょう。
ファクタリングの判例に関するまとめ
ファクタリングの過去の判例を見ると、貸金業と判断されたり、違法な貸付行為だと認められたりしたものがありました。
ファクタリングの判例を調べるには、裁判例検索を利用する、新聞社のニュースサイトで調べる方法を活用するとよいでしょう。
悪徳業者と契約を結ぶと、トラブルに発展する可能性が高くなります。
手数料が相場よりも高すぎないことや、債権譲渡契約であることなどを確認してから、契約を締結しましょう。
ファクタリングを適切に利用すれば、事業者の資金繰りを改善できる可能性が高くなります。
この記事で解説した判例を参考にして、安全な資金調達をしてみてはいかがでしょうか。