ABLとは?仕組みやファクタリングとの違いをわかりやすく解説
ABL(動産・債権担保融資)を利用することで、不動産担保に頼らない柔軟な融資を受けられます。とくに資金繰りに悩む企業には、一時的な運転資金を確保する選択肢のひとつとして利用されています。
本記事では、ABLの仕組みやメリット・デメリット、ファクタリングとの違いまでわかりやすく解説します。
目次
ABLとは
ABLとは、企業の売掛金や在庫などの流動資産を担保に融資を受ける方法です。不動産担保融資とは特徴が異なるため、事前に融資を受ける仕組みや担保資産の内容を把握しておきましょう。
概要
ABLとは、企業が保有する流動資産を担保に資金を調達する手法のことです。担保の対象となるのは、以下の動産や流動資産です。
- 売掛金
- 在庫
- 機械設備など
不動産を必要としない点が、ABLの大きな特徴です。
金融機関は企業の信用力ではなく、これらの資産価値を重視して審査を行います。資金使途に制限は少なく、運転資金や成長に向けた投資など、柔軟な活用が可能です。
とくに、新興企業などは不動産などの資産を持っていないケースも多く、ABLを活用して資金を調達することもあります。
仕組み
ABLは、企業が保有する売掛金や在庫などの流動資産を担保に、その資産価値に応じた融資枠を設定する仕組みです。金融機関が担保資産の価値を評価し、適正な融資額を決定するため、企業が保有する流動資産額によって借り入れ可能額が決まります。
また、流動資産は評価額が変動しやすいため、金融機関が担保資産の変動を継続的にモニタリングし、必要に応じて借入枠を見直すことになります。返済が滞った場合には金融機関が担保資産を回収し、換価することで貸し倒れリスクを抑える仕組みです。
担保の対象となる資産
ABLの主な担保対象は売掛金や在庫などで、資産流動性が低い不動産は対象外となっています。担保化にあたっては「動産・債権譲渡登記」が行われ、対象資産に対する権利が明確化されます。担保資産の対象となるものは、以下のとおりです。
区分 | 具体例 |
---|---|
動産 | 機械設備、車両、原材料、在庫商品など |
売掛債権 | 企業間取引の売掛金、診療報酬債権、介護報酬債権など |
ABLを活用する際は必要な調達額に応じて、担保にする資産を決めましょう。
ABLを利用するメリット3つ
企業が資金を調達するにあたり、ABLを利用するメリットは以下の3つです。
- 資金繰りの改善につながる
- 債務超過の企業も融資対象になる
- 不動産がなくても資金調達できる
ひとつずつ見ていきましょう。
資金繰りの改善につながる
ABLは売上の増加と連動して借入枠も拡大する仕組みのため、成長段階にある企業の資金繰り改善に有効です。
事業へ投資した分だけ売上の増加が見込める成長企業では、売掛債権や在庫商品などの流動資産を担保に資金調達を迅速に行うことで、企業の成長スピードを早められます。
また、不動産を担保として設定せずに資金を調達できるため、追加借入の余力を確保したい企業にとっても有効な資金繰りの改善策です。
債務超過の企業も融資対象になる
債務超過の状態にある企業は、一般的に融資を受けにくくなるため、資金調達ができずに倒産してしまう企業も少なくありません。
東京商工リサーチが実施した調査「倒産企業の財務データ分析」によると、2024年に全国で倒産した企業のうち71.7% が、倒産直前に債務超過だったことがわかっています。
ABLは、企業の財務状況はもちろん保有資産の価値も重視するため、債務超過の状態でも融資を受けられる可能性があります。債務超過で融資を受けられずに困っている企業は、ABLを活用した資金調達を検討するのも良いでしょう。
不動産がなくても資金調達できる
ABLは不動産を担保とせず、売掛金や在庫、設備・機械といった流動資産や動産を担保に融資を受けられる仕組みです。そのため、不動産を保有していない中小企業や新興企業でも利用しやすいことが大きな特徴です。
例えば、賃貸で物件を借りて介護事業を行っている企業は、担保となる不動産がないため大規模な融資を受けにくいでしょう。しかし、利用者数が多ければ介護報酬債権を担保に、融資を受けられる可能性があります。
ABLは不動産以外の保有資産を柔軟に活用できるため、不動産を持っていない企業が資金を調達する方法として、有効な手段のひとつです。
ABLを利用するデメリット3つ
ABLを利用する際はメリットとともに、デメリットも理解しておきましょう。とくに押さえておきたいデメリットは、以下の3つです。
- 資金調達までに時間がかかる
- 過剰担保となる可能性もある
- 定期的な報告義務がある
ひとつずつ見ていきましょう。
資金調達までに時間がかかる
ABLで担保に設定する売掛金や在庫など流動資産の価値は変動しやすく、金融機関も慎重に調査を行います。そのため、担保資産の査定や契約手続きなどの審査工程が多くなり、資金調達までに2週間から1カ月程度の時間が必要な場合もあります。
さらに、担保設定の手続きが複雑になる場合があり、迅速な資金確保を目的とする企業には不向きでしょう。
すぐに資金を調達したい場合は、売掛金をすぐに現金化できるファクタリングを活用する方法も検討してください。売掛債権の譲渡によって資金を調達できるファクタリングなら、迅速に資金を調達して資金繰りの改善が図れる可能性があります。
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過剰担保となる可能性もある
ABLで担保とする資産の価値は、金融機関ごとに異なる基準で評価されるため、判断にばらつきがあります。金融機関が担保価値を慎重に見積もるあまり、実際の融資額に対して必要以上の資産を提供しなければならない過剰担保の状態になることもあるでしょう。
過剰担保の状態になると、他の融資やファクタリングの利用に制約が生じる可能性もあります。資金調達の選択肢を確保しておきたい企業は、事前に担保の評価方法や条件を確認しておくと良いでしょう。
定期的な報告義務がある
ABLで担保に設定している流動資産は日々変動するため、継続的なモニタリングと管理が義務付けられます。ABLで融資を受けた企業は、担保とする売掛金や在庫などの資産状況を、定期的に金融機関へ報告しなければいけません。
金融機関への報告内容には正確性が重視され、不備や遅延が発生すると信用の低下や契約違反と判断される場合もあります。そのため、報告体制が整っていない企業にとって、資産の報告業務が大きな負担となることも考えられます。このようなタスクが発生するため、ABLを活用する際には、社内の管理体制を構築しておくことも大切です。
ABLで資金調達をするまでの流れ
ABLを利用する手続きは、2週間から1カ月ほどの期間を要します。不動産のように資産価値が明確になっていないため、担保資産の評価には時間がかかることが理由です。また、融資後に流動資産の価値が変動するため、定期的に担保資産の状況を報告しなければいけません。
ABLで資金を調達するまでの流れは、以下のとおりです。
- 申し込みと担保資産の提示
金融機関にABLの利用を申し込み、売掛金や在庫などの担保資産を提出する - 担保資産の評価・審査
金融機関が担保資産の価値やリスクを評価し、借入可能額を審査する - 契約条件の決定と契約締結
借入額、金利、返済条件などが決まり、正式に契約を結ぶ - 担保設定と資金の入金
担保の設定後、借入金が指定口座に入金される - 定期的な担保資産の報告
契約後も担保資産の状況を定期的に金融機関へ報告し、借入枠を維持する
融資までの手順を見てみると、融資額が決定する前の担保資産評価と、融資を受けた後の定期報告が必要となる点が大きな特徴です。
ABLとファクタリングの違い
ABLは、流動資産を担保に融資を受ける方法です。一方、ファクタリングは売掛債権そのものをファクタリング会社に売却し、現金化する仕組みです。売掛金を活用する点では同じであるものの、融資か売却かという本質的な違いがあります。
ABLとファクタリングの仕組みやメリット・デメリットの違いについては、以下の表をご覧ください。
比較項目 | ABL | ファクタリング |
---|---|---|
資金の性質 | 融資 | 売却 |
返済義務 | あり | なし
(一部条件下で返済義務あり) |
担保対象 | 売掛金や在庫商品など | 売掛金のみ |
調達スピード | 2週間〜1ヵ月 | 最短即日 |
資産の所有権 | 企業が持ち続ける | 売掛債権を譲渡する |
ABLが向いている企業
ABLは、売掛債権や在庫などの流動資産が多く、資金需要が高まっている成長企業に適しています。また、保有する資産を活用し、効率的に資金調達したい企業にも有効です。
ただし、審査や担保評価に時間がかかるため、すぐに資金を確保したい企業や、返済義務のない手段を求める場合には不向きです。
ファクタリングが向いている企業
ファクタリングは、売掛債権の譲渡によって資金を調達する方法のため、原則として返済義務がありません。そのため、融資を受けたあとの返済負担を避けたい企業は、ファクタリングを利用すると良いでしょう。
また、スピーディーに現金化できることも、ファクタリングの利点です。資金調達までのスピードはファクタリング会社によって異なりますが、早いところで最短即日に現金化することも可能です。
ただし、リコース契約で売掛金が回収できなかった場合は返済義務が発生するケースがあります。リコース契約で利用する場合は、返済が発生しうるケースについて理解しておきましょう。
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まとめ
ABLは、売掛債権や商品在庫などの流動資産を担保に融資を受ける資金調達手法です。銀行の信用枠を温存できるため、資金需要が高い成長企業や、不動産担保を持たない中小企業でも利用しやすいことが特徴です。
一方で、審査に時間が必要で定期報告の手間が発生することや、過剰担保となるリスクには注意が必要です。自社の状況や資金ニーズに応じて、他の手段と比較検討すると良いでしょう。
売掛金を活用して資金調達したい企業は、ファクタリングを活用する方法もあります。EasyFactorでは、金融機関から融資を受けられない企業でも対応しております。融資を受けられずにお困りの方は一度、EasyFactorをご検討ください。
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