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差押で売掛金を回収する方法とは?ファクタリングは差押より効果的な売掛金回収不能の回避手段!

掛取引で売掛先が売掛金の支払いに応じなければ、商品やサービスをすでに納品した納入企業は売上があっても代金が支払われないので資金が不足することになり、事業の継続や拡大に悪影響が及びます。

売掛金が支払われない場合、経営者が売掛金を回収する方法の1つとして考えるのが差押です。

この記事では差押で売掛金を回収する際の流れ、差押で売掛金を回収する際の注意点、差押より効果的に売掛金回収不能を回避できる方法としてファクタリングを紹介します。

差押で売掛金を回収する際の流れ

売掛先が売掛金の支払いに非協力的で全く応じない場合、以下の流れで売掛金の回収ができます。

 内容証明の送付
 仮差押
 訴訟もしくは支払督促
 強制執行

それぞれの工程について具体的な内容を解説します。

内容証明の送付

売掛先が売掛金の支払いに応じない場合、法的措置を取ることを考えます。法的措置を取るためには売掛金の支払いを請求した事実を目に見える形で残さなければなりません。

そのために、売掛先に内容証明(正式名称は内容証明郵便)を送付すれば売掛金を請求した事実の証拠とすることが可能です。

内容証明郵便の記載事項は以下の通りです。

 文書の表題
 通知内容(このケースでは売掛金の請求)
 日付
 相手方の住所・氏名(相手方が法人の場合は住所・社名・代表取締役名)
 自社の住所・社名・代表取締役名

内容証明郵便は売掛先に送付用、自社の保管用、郵便局の保管用の3通用意します。

内容証明郵便を送っていいのか悩んでいる、書き方にルールがあり作成が難しいというケースでは弁護士に相談する、内容証明郵便の作成を依頼することが可能です。

弁護士事務所や弁護士の名前で内容証明郵便を送付すれば相手方にプレッシャーを与えることができる、訴訟になった場合は物事をスムーズに進めることができるという点がメリットになります。

仮差押

仮差押とは債権回収のために裁判所の命令により債務者(このケースでは売掛先)の財産を一時的に凍結する手続きです。

売掛先の財産を凍結しなければ、裁判により強制執行が可能になる前に、売掛先が資産を移動させる、隠す可能性があります。仮差押は債権者の財産を一時的に凍結することで、債権回収の可能性を高めることが目的です。

裁判所からの仮差押命令を得るには、「保全の必要性」と「被保全権利」を疎明する必要があります。

保全の必要性とは仮差押が必要であることを意味します。このケースでは債務者が財産を隠匿する、処分する可能性があり、強制執行が難しくなる可能性があるので仮差押えが必要ということです。

被保全権利は、民事保全法に基づく仮差押において保全されるべき権利を指します。売掛金の支払いに応じないというこのケースでは債権者が持つ債権を回収する権利のことです。

裁判所から仮差押えの命令を取り付けるためには、「保全の必要性」と「被保全権利」について疎明、つまり裁判官に確信とまではいかないが、一応確からしいという推測を得させる程度の証拠を挙げることが求められます。

訴訟もしくは支払督促

仮差押えの次は訴訟です。訴訟では裁判所から売掛先に売掛金の支払いを命じる判決を出してもらいます。

訴訟より簡便で迅速な手続きとして支払督促 を選ぶこともできます。支払督促は債権者からの申し立てに基づき簡易裁判所の書記官が相手方に支払いを命じる略式の手続きです。

訴訟は判決が出るまで数ヶ月かかるケースがあります。さらに、弁護士に依頼をすれば弁護士費用が発生します。

強制執行

訴訟で裁判所から債務者に支払いの命令が出た、または支払督促が確定したのに債務者である売掛先が売掛金の支払いに応じないケースがあります。

こうしたケースでは、債務名義(債務者に支払い義務を強制的に履行させる手続きの前提として必要となる公的機関が作成した文書)に基づいて裁判所に強制執行の申立てをすることが可能です。強制執行の種類 は以下の通りです。

 不動産・自動車:債務者の土地・建物などの不動産や自動車を差押して売却し、その代金を債権(このケースでは売掛金)の回収に充てる
 給料・預貯金など:債務者の給料・預貯金などを差押し、それを雇用主・賃借人・銀行などから取り立てて債権回収に充てる
 家財道具など:債務者の家財道具・商品類・貴金属などを差押して売却し、その代金を債権回収に充てる
 建物明け渡しなど:執行官が強制的に建物の明け渡しや物の引き渡しなどをおこなう

仮差押え・訴訟・差押で売掛金を回収する際の注意点

仮差押えや訴訟、差押を含む強制執行で売掛金を回収する際の注意点は以下の通りです。

 債務者の財産は自分で探す必要がある
 仮差押には担保金が必要
 専門知識が必要

債務者の財産は自分で探す必要がある

差押をおこなう債務者の財産は債権者が自分で探す必要があります。

また財産が見つかったとしても、価値が低ければ売却で得た代金よりも費用の方が高くなるケースがあるので、強制執行の申立てには綿密な調査と検討が必要です。

仮差押には担保金が必要

仮差押を利用するには担保金が必要です。

仮差押の手続きをしても、もし債権者の主張する債権が存在しなければ、仮差押により債務者に不当な損害が生じる可能性があります。そこで、債務者が被る損害の担保として、申立人である債権者は、原則として担保金を支払う必要があります。

担保金の相場は差押する目的物の価格の10%から30%前後とされています。

仮差押えのために支払った担保金は確定判決、和解調書、相手方の同意書を得たなら還付されますが、確定判決が出るまで長い期間がかかればその間担保金は拘束されたままです。

専門知識が必要

内容証明の送付や訴訟手続きには専門的な知識が必要です。差押の手続きを踏むために必要な債務名義の取得や、財産調査にも専門的な知識や経験が求められます。

こうした仕事は個人でおこなうには限界があるので、一般的には弁護士に依頼します。弁護士に仕事を依頼すれば迅速に未払いの売掛金を回収することを期待できますが、一方で弁護士費用が発生するのでその点には注意が必要です。

ファクタリングは売掛金回収不能を回避するための効果的な手段

仮差押や差押による売掛金回収は有効な手段ですが、回収までに時間と費用がかかります。

したがって、経営者の中には売掛金回収不能のリスクを軽減する効果的な手段を探しているという方がいらっしゃいます。そうした方におすすめの手段がファクタリングです。

売掛金回収不能のリスクを軽減できるファクタリングサービスには次の2つがあります。

 保証型ファクタリング
 買取型ファクタリング

売掛金回収不能のリスクヘッジができるこれら2つのサービスについて具体的な内容を紹介します。

保証型ファクタリングは売掛金未回収への保険

保証ファクタリングは、売掛債権に保険を掛けることで売掛金回収不能に備えができるサービスです。売掛金回収不能となった場合は、保証会社が保証限度額の範囲内で保証金を支払います。

保証型ファクタリングは、保険を掛ける売掛先を選択することが可能です。

たとえば、取引先の中に以下のような売掛先があれば、保証型ファクタリングで売掛金未回収のリスクを軽減することができます。

 1回の取引での売掛金が高額な売掛先
 売掛金回収に不安がある売掛先

さらに、サービスを提供する事業者ごとに保険を掛ける売掛先の範囲や保証限度額について以下のルールを設けています。

 対象とする売掛先が1社だけでも利用可能
 対象とする売掛先の追加ができる
 売掛先1社ごとに保証限度額を設定できる

保証型ファクタリングと似たサービスに取引信用保険があります。取引信用保険は原則として「全取引先に保険を掛ける」「売掛債権が高額な取引先上位〇〇社」に保険を掛けるといった指定が入ります。保証型ファクタリングにはそうした指定はなく、保険を掛ける売掛先や売掛金を選べます。

さらに、売掛先の信用調査はファクタリング事業者が独自でおこなうので、保証型ファクタリングの利用が売掛先に知られる、それで関係が悪化するという心配はいりません。

保証型ファクタリングでサービス提供事業者に支払う保証料の相場は、売掛先の信用評価のレベルにより違いがありますが、売掛金の1%から8%が相場です。

支払い能力に不安があるという売掛先がいつくかあれば、実際に売掛金回収不能になる前に、保証型ファクタリングに申込をすることをおすすめします。

保証型ファクタリングは売掛金回収不能に備えるための保険であり、保証型ファクタリングで資金調達はできません。

買取型ファクタリングは資金調達と売掛金回収不能の両方の効果が得られる

買取型ファクタリングは、会社が保有する入金期日前の売掛債権をサービス提供事業者に買取してもらうことで、入金期日より前に売掛債権を現金化できるというサービスです。

買取型ファクタリングの審査では、売掛先の売掛金支払い能力が審査され、支払い能力があるとみなされれば審査に通過でき売掛債権を買取してもらえます。

ファクタリングの契約が成立すれば、売掛債権を買取したファクタリング事業者が売掛先から債権を回収する権利を所有します。

ファクタリング事業者は売掛先に自社に直接売掛金を入金してもらう、もしくはファクタリングを申込みした会社に業務委託するという形で売掛先から売掛金を回収してもらい、後日それを受け取るという形をとります。

したがって、複数ある売掛先の中で支払い能力にやや不安が残るというところがあれば、そこを対象とする売掛債権について買取してもらえるかどうかファクタリング事業者に見積もりを取ることをおすすめします。

ファクタリング事業者が買取に同意すれば売掛債権の買取代金が支払われるので、買取済みの売掛債権については、利用した会社が売掛金回収不能を心配する必要はありません。

ファクタリング事業者が売掛金回収不能になっても責任を問われることはない

買取型ファクタリングで利用した会社が買取代金を受け取った後に、売掛先が倒産するなどの理由でファクタリング事業者が売掛金回収不能になることがあります。

ファクタリングで売掛債権を買取してもらった後に、ファクタリング事業者が売掛先から売掛金を回収できなくなったとしても、利用した会社が責任を問われることはありません。

ファクタリングの契約は基本的に償還請求権なしの契約だからです。償還請求権とは債務者が金銭債権の支払いをしない場合、金銭債権をさかのぼり直接請求できる権利を指します。

ファクタリングは償還請求権なしの契約なので、売掛先の倒産などでファクタリング事業者が売掛金未回収能になり損失を被ったとしても、ファクタリング事業者が元の債権者である利用した会社に売掛先の代わりに支払うことを要求することはできません。

支払能力に不安が残る売掛先がある、なおかつ資金不足に悩んでいるという状況であれば、買取型ファクタリングで資金調達と売掛金回収不能のリスクヘッジを同時におこなうのがおすすめです。

差押による売掛金回収とファクタリングについてのまとめ

この記事では売掛先が支払いに応じない場合、仮差押や訴訟、差押を含む強制執行といった方法で売掛金を回収する方法を解説しました。

差押で売掛金を回収する場合、時間と費用がかかる点に注意が必要です。

売掛金回収不能のリスクを未然に防ぎたいなら保証型ファクタリングもしくは買取型ファクタリングの利用がおすすめです。

保証型ファクタリングは支払い能力に不安がある売掛先を対象とし保険をかけることで、売掛金回収不能となったときに保証限度額の範囲内で保証金を受け取れるサービスです。

買取型ファクタリングは、売掛債権をファクタリング事業者に買取してもらうことで資金調達ができます。信用不安がある売掛先の売掛債権を買取してもらえるなら、売掛金回収不能になる心配がなくなります。

ファクタリングには大きく分けると保証型・買取型の2種類のサービスがあるので、売掛金回収不能のリスクを軽減したいというニーズがあれば、自社の意向に調和したサービスを選択してください。