ファクタリングと請求書買取は同じ?利用するメリットや選び方を解説
「ファクタリング」は、売掛債権を買い取るサービスです。借り入れとは異なる資金調達方法として、利用する事業者が増えてきています。ファクタリングと同じようなサービスには「請求書買取」がありますが、両者の違いが気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ファクタリングと請求書買取についてのほか、利用するメリットや選び方を解説していきます。ファクタリングや請求書買取サービスの申し込みを検討している方は、ぜひ本記事を読んで理解を深めてください。
目次
ファクタリングと請求書買取は同じ?
ファクタリングは、売掛債権を買い取ってもらうサービスです。ファクタリングを申し込む際に必要な書類の一つに、「売掛債権の存在を裏付けるもの」があります。この書類として主に提出を求められるのが「請求書」です。そのため、ファクタリングを「請求書買取」と表現する業者も存在します。
ファクタリングと請求書買取は厳密には違いがありますが、ほぼ同じと捉えても問題ないでしょう。
ファクタリング(請求書買取)を利用するメリット
ファクタリング(請求書買取)にはどのようなメリットがあるか、詳しく紹介していきます。
資金調達に時間がかからない
借り入れと比べて、早く資金を得やすいのがファクタリング(請求書買取)の特長です。
銀行で借り入れする際、審査が終わるまで1〜2週間程度かかることは珍しくありません。しかし、ファクタリング(請求書買取)は審査や手続きがスピーディーで、最短即日で入金してもらえる業者も多いです。
できるだけ早く事業資金を調達したい場合は、ファクタリング(請求書買取)を検討してみましょう。
担保や保証人を用意する必要がない
申し込む際に担保や保証人を用意しなくていいのも、ファクタリング(請求書買取)を利用するメリットの一つです。
ファクタリング(請求書買取)は借り入れと仕組みが異なるため、貸し倒れに備えるために担保や保証人を用意する必要がありません。一方、借り入れの場合、担保や保証人を用意できないと審査に落ちたり利用限度額を低く設定されたりします。
ファクタリング(請求書買取)は、不動産などの担保を持たない小規模な事業者でも利用しやすいサービスと言えるでしょう。
売掛金が回収できなくなるリスクに備えられる
ファクタリング(請求書買取)を利用することで、売掛金の回収不能リスクに備えることが可能です。
売掛債権を早期現金化すれば、売掛先の倒産などの理由で資金が回収できなくなるリスクを回避できます。また、ファクタリング(請求書買取)には償還請求権(売掛金が回収できない場合に買い戻しを求める権利)がないため、利用者が弁済する責任を負うこともありません。
リスクを抑えながら事業資金が得られるので、借り入れよりも安全に資金調達できます。
資金繰り改善が期待できる
ファクタリング(請求書買取)を上手に活用することで、資金繰りの改善に役立ちます。
支払い期日までの期間が長い売掛債権を複数所有している場合、手元に資金がなくなることが考えられます。そのようなケースでファクタリング(請求書買取)を利用すれば、支払い期日を待たずに売掛金を回収できるため、資金ショートを防ぐことが可能です。
融資と違って返済する必要もないので、ファクタリング(請求書買取)を取り入れることで財務状況の立て直しが期待できます。
融資を断られた場合でも申し込める
金融機関で融資を受けられなかった場合でも、ファクタリング(請求書買取)であれば利用できる可能性があります。
ファクタリング(請求書買取)で審査されるのは、売掛先の信用力についてが主です。そのため、自社の信用力に自信がない場合でも、審査を通過できるケースが少なくありません。
借り入れができなくて資金調達を諦めていた方は、ファクタリング(請求書買取)に申し込むことを検討してみてください。
自社の信用情報に影響しない
ファクタリング(請求書買取)は、未来に受け取る予定の売掛金(自社の資産)を早期に現金化する資金調達法です。金融機関にお金を借りる融資と違って、利用実績があっても自社の信用情報に影響はありません。そのため、ファクタリング(請求書買取)を利用しても融資などの審査で不利になることがなく、併用することも可能です。
貸借対照表のスリム化も目指せるので、上手く活用できれば金融機関に良い印象を与えられます。
ファクタリング(請求書買取)を利用するデメリット
ファクタリング(請求書買取)は利便性が高いですが、デメリットもあります。申し込む前に必ず理解しておきましょう。
売掛先の信用力が低いと利用できない可能性がある
先ほども解説した通り、ファクタリング(請求書買取)の主な審査対象となるのは売掛先の信用力です。売掛先の業績が悪かったり企業規模が小さかったりすると、審査が通らない可能性があります。確実に審査を通過したい場合は、できるだけ信用力のある売掛先の債権で申し込まなければいけません。
ファクタリング(請求書買取)は自社が赤字でも利用できますが、売掛先によっては審査に落ちる可能性があることを理解しておきましょう。
手数料が発生する
ファクタリング(請求書買取)を利用する際、必ず手数料がかかります。本来受け取れる金額から減額されてしまうので、安易に繰り返し利用してしまうと資金繰りが悪化しかねません。そのため、必要額を計算して計画的に利用することをおすすめします。
借り入れよりも気軽に利用できるファクタリング(請求書買取)ですが、多用は控えましょう。
売掛金の金額を超える資金は調達できない
当たり前に思うかもしれませんが、ファクタリング(請求書買取)の利用限度額は売掛金額に依存します。そのため、所有している売掛債権の金額が少ない場合、十分な資金を調達できない可能性が高いです。また、資金力があまりない中小規模の業者では1,000万円を超えるような売掛金は取り扱っていないケースも少なくありません。
ファクタリング(請求書買取)を申し込む前に、売掛金額や業者が取り引き可能な金額の範囲を確認しましょう。
違法契約を行う業者も存在する
ファクタリング(請求書買取)はまだ十分な法整備が行われておらず、悪徳業者の規制が不完全な状況です。そのため、法外な手数料を要求したり威圧的な取り立てを行う「偽装ファクタリング」を持ちかける悪徳業者が存在します。
以下に当てはまる場合は、ファクタリング(請求書買取)ではなく貸金にあたるため要注意です。
• 償還請求権や買い戻し特約が付帯する契約
• 融資でないにもかかわらず利息が発生する
• 相場を大幅に超える手数料
悪質な取り引きを避けるためにも、業者についてリサーチしたり契約書の内容をしっかりチェックするなどして対策しましょう。
ファクタリング(請求書買取)を選ぶ際のポイント
ファクタリング(請求書買取)の選び方について、詳しく解説していきます。申し込みを検討している場合は、ぜひ参考にしてみてください。
自社に合った契約形態を選択する
まずは、「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」のうち、自社に合ったものを選びましょう。2者間は申込者・ファクタリング会社の契約、3者間は申込者・売掛先・ファクタリング会社の契約を指します。
それぞれを比較した際のメリットは以下です。
• 2者間ファクタリング:入金までが早い、売掛先にバレない
• 3者間ファクタリング:手数料が安い、利用上限額が高め
ファクタリング(請求書買取)の契約形態の違いを理解して、最適なサービスを探しましょう。
手数料を比較する
複数の業者の手数料を比較して検討するのも、ファクタリング(請求書買取)を利用する上で大切なポイントです。業者にもよりますが、信用リスクの低い取り引きほど手数料が安い傾向があります。
手数料の相場については、以下を参考にしてください。
• 2者間ファクタリング:8〜18%ほど
• 3者間ファクタリング:2〜9%ほど
手数料がかさむとキャッシュフローの悪化につながるため、何度も利用する場合は特に要チェックです。
利用者に合わせて柔軟な対応をしてくれるかチェック
ファクタリング(請求書買取)を利用できるか不安な場合は、柔軟な審査をしてくれるか確認しましょう。たとえば、利用者に合わせたプランを用意していたり個人事業主やフリーランスでも申し込める業者では、柔軟に対応してもらえる可能性が高いです。このような業者では独自の審査基準を設けていることも多く、他の業者で断られた場合でも審査が通る場合があります。
利用実績を積むことで利用可能額を融通してもらえる可能性もあるので、一律の審査基準を設けていない業者に申し込むことも検討してみましょう。
オンライン手続きに対応している
最近では、インターネットでファクタリング(請求書買取)の手続きが完結するサービスも増えています。オンラインで手続きできれば、書類を郵送したり店頭に出向いたりする手間やコストが削減可能です。また、オンライン手続きに対応している業者では、提出を求められる書類も少ない傾向があります。
申し込みから入金までがスピーディーかつ手間いらずなので、オンライン手続きは忙しい方に特におすすめです。
ファクタリングと請求書買取は同じ?のまとめ
「請求書」は、ファクタリングを申し込むときに必要になる代表的な書類です。そのため、ファクタリングと請求書買取はほとんど同じと捉えても問題ありません。上手に活用することで、キャッシュフローの改善が期待できます。
今回紹介したメリット・デメリットや選ぶポイントを押さえて、ファクタリング(請求書買取)を利用する際に役立ててください。