ファクタリングは売掛先が個人・個人事業主でも利用可能!?ー個人のケースでは資金調達が難しい理由を解説
会社経営者の中には取引先のほとんどが法人企業ではなく、個人や個人事業主という方がおられます。個人や個人事業主を取引先に持つ経営者の中には、個人・個人事業主を債務者とする売掛債権でファクタリングができるかどうかを知りたいという方がおられます。
そこで、このコンテンツ記事では個人・個人事業主を対象とする売掛債権でファクタリングできるかどうかを解説します。
目次
個人・個人事業主とは?
個人事業主とは、法人を設立せずに個人として継続的に事業を営んでいる人のことです。個人事業主とは税務上の所得区分であり、職種や業種によって決まるものではありません。
個人事業主になるには、管轄の税務署に通称「開業届」と呼ばれる「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。
開業届を提出せずにフリーランスとして何らかの事業を営んでいる方がおられますが、こうした方は定義からすると個人事業主とはいえません。
ファクタリングは売掛債権譲渡による資金調達
ファクタリングは、会社や個人事業主が保有する入金期日前の売掛債権をファクタリング事業者へ売却し、ファクタリング事業者から支払われる買取代金を受け取ることで売掛債権を入金期日より前に現金化できるサービスのことです。
会社が法人・個人事業主もしくは個人と何らかの掛取引をおこなうなら、そこに売掛金と売掛金を回収する権利である売掛債権が発生します。基本的に売掛金を回収する権利である売掛債権は会社の資産になるので、それを担保にしてお金を借りる、売却してお金に換えるということが可能です。
ファクタリングのために売掛債権の売却がおこなわれると、ファクタリングの利用企業・ファクタリング事業者・売掛先の関係は以下のようになります。
ファクタリングの利用企業:債権の譲渡人、元の債権者
ファクタリング事業者:債権の譲受人、新たな債権者
売掛先:債務者
この関係からわかるように、新たな債権者となるファクタリング事業者は、債務者である売掛先から売掛金を回収できなければ、会社として損害を被ります。したがって、ファクタリングでは売掛先の売掛金支払い能力が審査されるのです。
売掛先が個人のケースでファクタリングの審査通過は可能?
売掛先が開業届のない個人というケースで、ファクタリングの審査に通過できるかどうかという質問については「ほぼ不可能に近い」というのが答えです。
このケースで審査通過がほぼ不可能なのは次の理由によります。
個人は在籍確認が難しい
個人は事業実態の確認が難しい
個人は在籍確認が難しい
開業届を出さずに事業を営んでいる個人が売掛先の場合、ファクタリングが厳しいのは、個人は在籍確認するのが難しいからです。
売掛先が法人企業ならファクタリング事業者は法人の登記簿謄本を申請すれば、そこから会社名・会社の所在地・資本金の額・役員の氏名・発行株式の数などを確認できます。
こうした情報はファクタリング事業者が審査で売掛先の存在を確認し、売掛金支払い能力を判断する際の材料になります。
一方、開業届を出していない個人については、法人の登記簿謄本から情報を入手することができません。事業を営んでいる個人の氏名・住所・資本金・支払い能力などを把握するのはとても難しいです。
したがって、ファクタリング事業者は氏名や所在の確認ができない個人が債務者である売掛債権について自社が買取をしても売掛金を回収できる見込みがないので、それは買取できないと判断します。
個人は事業実態の確認が難しい
開業届なしの個人が売掛先の場合、ファクタリングがほぼ不可能なのは、事業実態の確認が難しいからです。
法人なら国税庁の法人番号公表サイトから法人登記があった日付・商号または名称・本店または主たる事務所の所在地を調べることが可能です。そうした情報を使えば実際に現地を訪問しなくても会社が事業を営んでいることをある程度確認できます。
一方このケースでは、債務者である個人の住所について情報提供があったとしても、その場所で実際に事業が営まれているかどうか確認することは難しいです。法人登記もしていないので本当にその住所で事業をしているのか調べることもできません。
最悪のケースとして、悪意のある利用者が架空の債務者を偽造し、ファクタリング事業者からお金を騙し取ろうと計画していることも考えられます。
こうした理由から、事業の実態が把握できない個人が売掛先の売掛債権については、ファクタリング事業者はお断りするのが一般的です。
売掛先が個人事業主ならファクタリングの審査通過は可能?
売掛先が開業届提出済みの個人事業主というケースでファクタリングは可能かどうかという質問については、「状況によっては可能である」というのが答えです。
以下の状況なら売掛先が個人事業主でもファクタリングで資金調達できる可能性があります。
事業実績が十分にある個人事業主
申込者と売掛先の個人事業主の間に定期的な取引がある
売掛先である個人事業主が名の知られた人物である
事業のためのホームページや固定電話を持っている
事業実績が十分にある個人事業主
起業してから3年以上経過している個人事業主であれば、事業実績をしっかり残しているので、ファクタリング事業者も信用力がある、支払い能力を備えているとみなすことが可能です。
こうした理由から、売掛先がある程度の期間、事業を営んできた個人事業主なら、その点を申込の際にファクタリング事業者に伝えることができます。そうすることで審査通過に有利な条件を足すことができるでしょう。
申込者と売掛先の個人事業主の間に定期的な取引がある
売掛先が個人事業主でもファクタリングが利用できるケースとしては、申込者と個人事業主との間に定期的な取引がある場合です。
ファクタリング事業者は、提出書類に含まれる通帳のコピーを見れば、その個人事業主との間にどれくらいの期間取引があるのか、売掛金の入金遅れや未払いがないかどうかをチェックできます。
入金遅れや未払いがなく、入金期日までに売掛金の入金があることが確認できれば、ファクタリング事業者はその個人事業主は支払い能力が高いと判断できるので、売掛債権を買取してくれるでしょう。
売掛先である個人事業主が名の知られた人物である
個人事業主として社会的地位や名声を既に獲得しており名が広く知られた人物なら、信用度が高いので、ファクタリング事業者はそうした個人事業主を対象とする売掛債権なら買取してくれる可能性が高いです。
事業のためのホームページや固定電話を持っている
債務者が個人事業主の売掛債権でも、その個人事業主が事業のためのホームページや仕事用の固定電話を持っていれば、審査に通過できるファクタリングで資金調達できる可能性があります。
ホームページや固定電話があれば第三者から見ても、事業の実態がありオフィスを構えて事業をしていることがわかるからです。
売掛先が個人・個人事業主でも買取可能なファクタリング事業者を選ぶ
売掛先が個人というケースではファクタリングの審査通過は厳しいです。売掛先が個人事業主の場合も特定の状況を除けば、基本的に審査通過は難しいといえます。
こうした理由から、個人・個人事業主を売掛先とする売掛債権でファクタリングによる資金調達を希望するなら、売掛先が個人・個人事業主でも買取可能と宣伝しているファクタリング事業者を利用してください。
売掛先が個人・個人事業主でも買取可能なファクタリング事業者は、売掛先が個人や個人事業主の場合の審査・買取について経験とノウハウを持っているからです。
申込者が個人の場合にファクタリングの利用可能?
申込者が開業届未提出の個人ではファクタリングの利用は難しいです。理由は売掛先が個人の場合と同じです。
個人は法人の登記簿謄本や法人番号公表サイトから個人の在籍確認、事業の実態を掴むことができません。ファクタリング事業者としては、どこの誰ともわからず事業の実態も掴めない人から持ち込まれた売掛債権の買取はリスクが高いので対応できません。
申込者が個人事業主の場合にファクタリングは利用可能?
開業届を提出している個人事業主はファクタリングを利用できます。個人事業主へのファクタリングサービスを専門に取り扱っている事業者はいくつもあります。
たとえば、あるファクタリング事業者は、副業している会社員でも税務署に「開業届」を提出し4ヶ月以上の入出金実績があれば申込できます。
ただし、売掛先が個人あるいは個人事業主というケースでは審査通過はほぼ不可能といえます。理由はすでに解説した通りです。
申込者が個人事業主でもファクタリングが利用できるのは、支払い能力が高い法人企業が売掛先というケースです。
個人事業主に資金調達手段としてファクタリングを推奨する理由
売掛先が個人や個人事業主の場合、その売掛債権をファクタリングのために使うのは難しいですが、個人事業主が法人企業を対象とする売掛債権を資金調達手段のために使うのは比較的簡単といえます。
個人事業主に資金調達手段としてファクタリングをおすすめする理由は以下の通りです。
負債が増えることはない
担保・保証人なしで申込できる
少額債権の買取にも対応している
ファクタリングは売掛債権という保有資産の売却による資金調達です。お金を借りておこなう資金調達ではありません。したがって、ファクタリングを使っても負債が増えることはないです。借入ではないので申込の際に担保や保証人を差し出す必要はありません。
さらに、ファクタリング事業者の中には個人事業主向けに少額債権の買取に対応しているところがあります。
こうした理由から、個人事業主には買取できる売掛債権があればそれを使って資金調達することをおすすめします。
個人・個人事業主を売掛先とするファクタリングについてのまとめ
このコンテンツ記事では個人・個人事業主を売掛先とするケースについてファクタリングできるかどうかを解説しました。
売掛先が開業届未提出の個人では、個人の在籍確認や事業実態の確認が難しいという理由から審査通過は期待できません。
売掛先が開業届提出済みの個人事業主でも基本的に審査通過は難しいです。とはいえ、個人事業主としてある程度事業実績を残している、利用者との間に定期的な取引があり、売掛金をきちんと支払っているという状況であれば審査通過を期待できます。
債務者が個人・個人事業主の売掛債権でも、上手にファクタリング事業者を選べば資金調達のために使うことが可能です。個人・個人事業主を債務者とする売掛債権を資金化したいという意向があれば、それが可能なファクタリング事業者を探してください。