違法手数料になりやすいファクタリングとは?違法業者の見極め方を解説
融資よりも利用しやすい資金調達方法として、ファクタリングを活用する会社が増えています。売掛債権を譲渡し、現金化するという仕組みですが、そもそもファクタリング自体が違法ではないのか気になります。また、手数料においても、どのような設定であるのか知っておきたいところです。
そのためには、信頼できる業者を見極めるための指標を熟知しておく必要があります。本記事では、違法手数料になりやすいファクタリングや、違法業者の見極め方を解説します。
目次
ファクタリングは違法?合法である根拠
ファクタリングが違法ではないかと気になる方も多いようですが、合法な資金調達方法です。銀行融資では、利用する際には担保が必要なうえ、厳しい審査に通らなければなりません。しかし、ファクタリングは売掛金を譲渡して資金調達ができるうえ、担保もいりません。ファクタリングが合法である根拠は、次の通りです。
●売掛金は譲渡できる
●無償ではなく有償で譲渡できる
●最高裁判所の判例
では、それぞれの根拠について詳しく見てみましょう。
売掛金は譲渡できる
ファクタリングが合法である根拠は、売掛金の譲渡ができるからです。民法第466条により認められており、譲渡禁止の特約があった場合でも、売掛先の同意なしに行えます。違法だと誤解されやすいのは、2020年4月と比較的最近になってから法改正されたからです。
法改正前は、売掛先の同意なしに債権を譲渡することは禁じられていました。しかし、改正後からは、同意なしでも売却できるようになったため、手軽にファクタリングが利用できるようになりました。
無償ではなく有償で譲渡できる
ファクタリングが合法である根拠は、有償で売掛債権を譲渡していいからです。譲渡とは他へ権利を移すことですが、有償・無償は問いません。そのため、有償で譲渡することも、違法にはならないのです。
最高裁判所の判例
ファクタリングが合法である根拠は、最高裁判所の判例です。過去の判例において、合法であるとの判決が出ています。そのため、活用することに違法性を問われません。
違法手数料になりやすいファクタリング
違法手数料になりやすいのは、次の3つのケースです。
●給与ファクタリング
●償還請求権付きファクタリング
●疑似ファクタリング
では、それぞれのケースについて詳しく解説します。
給与ファクタリング
違法手数料になりやすいのは、給与ファクタリングです。会社員などが、給与受け取りの権利を業者に売却し、給料日より前に現金化するものです。これは、給与を担保にした貸付とみなされ、融資に近くなります。融資をするには貸金業登録が必要になりますが、多くの業者は貸金業登録を行っていません。
また、貸金業登録をしていたとしても、手数料の年利換算を利息制限法内に収める必要があります。そうすると、業者の利益は少なくなってしまいます。利益が出ないサービスは行っても仕方がないため、近年は給与ファクタリングを行う業者はほとんどありません。いまだに行っている業者は、高額な手数料に設定している可能性が高いため、利用するのは避けましょう。
償還請求権付きファクタリング
違法手数料になりやすいのは、償還請求権付きファクタリングです。売掛債権を譲渡する際、未回収リスクも業者へ移行するというもので、ノンリコースと呼ばれる契約形式です。しかし中には、売掛金を回収できなかった場合に利用者が弁済責任を負う、ウィズリコースと呼ばれる契約形式をとる業者もあります。
償還請求権付きの契約は、売掛金を担保とした融資とみなされるため、貸金業登録をしている業者のみが行えるのです。また、ファクタリング契約を行う際も、利息制限法に基づき手数料を設定する必要があります。手数料が利息制限法を上回る場合は、違法です。
疑似ファクタリング
違法手数料になりやすいファクタリングは、疑似ファクタリングです。疑似ファクタリングとは、ファクタリングを装った売掛金が担保の貸付になります。売掛金を担保として100万円に対して30万円というように、30%以上の利子を設定しているところもあります。売掛金を担保とする貸付は、貸金業登録が必要であるうえ、利息も金利制限法の範囲に抑えなければなりません。
違法なファクタリング業者を見極めるポイント
ファクタリング業者の中には、悪徳業者と呼ばれるような違法やグレーなサービスを提供するところもあります、違法なファクタリング業者を見極めるポイントは、次の通りです。
●手数料が相場より高すぎる
●契約書が債権譲渡契約ではない
●担保や保証人を求めてくる
●担当者の対応に不審な点が多い
●償還請求権付きの契約
●分割払いが可能な契約
では、それぞれのポイントについて詳しく解説しましょう。
手数料が相場より高すぎる
違法業者を見極めるポイントは、手数料が相場より高すぎることです。ファクタリングは貸金業ではないため、利息制限法は適用されません。そのため、業者が自由に手数料を設定できるのが現状です。とくに、2社間は、3社間よりも高く設定されているのが一般的です。とはいえ、相場はだいたい定まっており、2社間は8%~18%、3社間は2%~9%ほどになります。相場を大幅に上回る手数料の場合、悪徳業者の可能性が高いでしょう。
契約書が債権譲渡契約ではない
契約書が債権譲渡契約ではない場合、違法業者のリスクがあります。債権譲渡契約と見せかけて、内容を読むと貸付のこともあるので注意が必要です。知らずに契約を締結してしまうと、高金利の返済に苦しむ羽目になりかねません。返済が滞り、倒産に追い込まれるかもしれません。契約書はしっかり内容を読み込み、債権譲渡契約であることを確認しましょう。
担保や保証人を求めてくる
違法業者を見極めるポイントは、担保や保証人を求めてくるかどうかです。ファクタリングは売掛債権の売買契約であり、借入ではありません。そのため、融資のように担保や保証人は不要です。契約の際に担保や保証人を求められる場合は、違法業者の恐れがあります。
担当者の対応に不審な点が多い
担当者の対応に不審な点が多い場合も、違法業者の可能性が高いでしょう。ファクタリング業者は、売掛金の未回収を防ぐために、必要書類の提出を求めてくるのが一般的です。しかし、違法業者は利用者に不利な条件で契約させることを第一に考えるため、必要書類などは求めず、できるだけ早く契約を締結させようとします。
書類を準備するのは面倒であるため、書類不要の業者はありがたいと感じるかもしれませんが、高額な手数料などのトラブルの生じる可能性が否めません。基本的な書類提出や審査プロセスを踏んでいる業者にするのが賢明です。
償還請求権付きの契約
違法業者を見極めるポイントは、償還請求権付きの契約であるかどうかです。ファクタリングは売掛金未回収のリスクを回避できるのがメリットの1つですが、償還請求権付きの契約では弁済責任が生じ、そのメリットを無効にしてしまいます。
また、償還請求権付きの契約は貸金業登録していないと結べませんが、ファクタリング業者がすべて登録しているわけではありません。登録していない業者が償還請求権付きの契約を行うのは違法です。契約する際は、ノンリコース契約であることを必ず確認してください。
分割払いが可能な契約
違法業者を見極めるポイントは、分割払いが可能な契約であるかどうかです。分割払いが可能な契約である場合、違法業者の恐れがあります。2社間ファクタリングでは、売掛金が入金されたら業者へ資金を送金しなければなりません。売掛債権を譲渡した時点で売掛金を受け取る権利はファクタリング業者のものであるため、一括で支払う必要があるのです。
分割払いができる契約は、ファクタリングではなく貸付となります。そのため、独立系ファクタリング会社が分割払い可能の契約を行うのは、違法業者の恐れがあります。
信頼できるファクタリング業者の条件
信頼できるファクタリング業者の条件は、次の4つです。
●契約数の実績が高い
●ノンリコース契約
●手数料が20%以下
●運営業者に関する情報が確認できる
では、それぞれの条件について詳しく見てみましょう。
契約数の実績が高い
信頼できる業者の条件は、契約数の実績が高いことです。具体的な数をあげると、月間100件以上が望ましいでしょう。契約数が多いのは、その業者が多くの利用者から支持されていることを意味します。
ノンリコース契約
信頼できる業者の条件は、ノンリコース契約であることです。口頭で説明されるのではなく、契約書に記載されていることが大切です。ファクタリングは基本的にノンリコース契約ではあるものの、明記されていない場合は弁済責任がうやむやになってしまいます。トラブルを防ぐためにも、きちんと確認しましょう。
手数料が20%以下
手数料が20%以下であることも、信頼できる業者の条件です。売掛債権の内容によって手数料は変動しますが、ファクタリングで20%以上は高すぎます。妥当な手数料に設定している業者を選ぶのがおすすめです。
運営業者に関する情報が確認できる
信頼できる業者の条件は、運営業者に関する情報が確認できることです。ファクタリング業者は、通常公式ホームページがあるため、運営業者の情報を調べられます。しかし、記載されている住所に存在しなかったり、情報が少なすぎたりする場合、悪質業者の可能性があります。記載されている住所にオフィスを構え、口コミ情報なども見聞できる業者を選びましょう。
違法手数料になりやすいファクタリングについてのまとめ
違法手数料になりやすいファクタリングは、給与ファクタリングや償還請求権付きファクタリング、疑似ファクタリングなどです。ファクタリングを装った貸付契約が結ばされる可能性もあるため、気を付けましょう。信頼できる業者を選ぶには、契約実績が高く、手数料が20%以下のところを選ぶのがおすすめです。また、公式ホームページなどで運営業者の情報を調べ、実在するか確認することも重要です。