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ファクタリングの申込で提出する必要書類には何がある?―対面式・オンラインでの必要書類と入手方法を紹介

ファクタリングでの資金調達を検討している方の中には、申込の際に提出する必要書類には何があるのかを知りたいという方がおられます。

ファクタリングの申込方法は、ファクタリング事業者の担当者と直接面会して手続きをする対面式と、オンラインでおこなう非対面式の2種類です。

いずれの方法を選択する場合でも、事前に必要書類を準備しておけば、申込から資金調達までの物事がスムーズに運びます。

そこで本稿では次の点について解説します。

 対面式における必要書類とその入手方法
 非対面式(オンライン)における必要書類

対面式における必要書類とその入手方法

ファクタリング事業者の担当者と面会し申込をする際の必要書類は以下の通りです。

 決算書(試算表が必要なケースがある)
 売掛先との取引基本契約書
 見積書・発注書・請求書・納品確認書など
 通帳のコピー
 登記簿謄本・開業届
 本人確認書類
 印鑑証明書
 納税証明書

それぞれの書類の具体的な内容、入手方法などを紹介します。

決算書

必要書類の1つが決算書です。一般的にファクタリングの申込では、過去2、3期分の決算書を提出します。その期間の決算書の控えを入手してください。

決算書は、事業年度ごとの事業収入や支出を計算し作成します。決算書からは記載されている事業年度の儲けと損失、会社の財政状況などがわかります。決算書の提出は、申込企業が自社の財務状況や信用力をファクタリング事業者に説明するためです。

決算書に含まれる書類は以下の通りです。

 賃借対照表
 損益計算書
 キャッシュフロー計算書
 株主資本等変動計算書
 個別注記表

賃借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の財務三表は用意してください。

決算書は、事業規模にかかわらずすべての法人に法律で作成が義務付けられており、税理士に決算書の作成を依頼するのが一般的です。

したがって、税理士に決算書の作成を依頼していれば、税理士から決算書の控えがもらえます。その控えをファクタリング事業者に提出してください。

試算表が必要なケースがある

決算月が申込より6ヶ月以上前といったケースでは、その年の試算表の提出が求められることがあります。

試算表は、仕訳帳から総勘定元帳への転記が正確になされているか検証するために作成する集計表です。試算表には特定の期間について資産や負債、売上や経費、利益などが記録されています。こうした理由から試算表を見れば企業の経営状態や業績を把握することが可能です。

決算書は年に1回しか作成しません。したがって、最新の経営状態や業績の推移を見るには試算表を使います。

こうした理由から、ファクタリング事業者の中には、申込企業の最新の経営状態を把握するため決算書と試算表の両方を必要書類にしているところがあります。

売掛先との取引基本契約書

申込に必要な別の必要書類は、売掛先との取引基本契約書です。

ファクタリングは売掛債権の譲渡による資金調達です。売掛債権を買取する事業者は、買取対象の売掛債権が確かに存在することを確認しなければなりません。

しかし、売掛債権には商業手形や小切手のような紙の証書はありません。納入企業から発生企業(売掛先)に発行した請求書は売掛債権の存在を証明するエビデンスの1つですが、請求書は偽造することも可能なので、それだけでは確実な証拠とはなりません。

こうした理由から、申込の際には売掛債権がきちんと存在するエビデンスとして請求書に加えて売掛先との取引基本契約書を提出するわけです。

請求書・見積書・発注書・納品確認書など

請求書はファクタリングにおいて重要な必要書類です。請求書から売掛債権の額面、売掛金の入金期日などがわかります。

しかし、請求書だけでは売掛債権の存在やその額面を強力に証明することはできません。

こうした理由から、ファクタリング事業者の中には請求書の記載が正確であることを証明する補足的証拠として、見積書・発注書・納品確認書などを必要書類にしているところがあります。

ファクタリング事業者は審査の際に、請求書の記載と見積書や発注書などの記載を比較することで売掛債権の存在、額面などについて請求書の記載が正確であることを確認します。

通帳のコピー

必要書類の中にはこれまでの売掛金の入金履歴がわかる通帳のコピーが含まれます。

審査の際にファクタリング事業者は通帳のコピーを見ることで、売掛金の入金遅れや未払いがあるかどうかをチェックし売掛先の信用力、つまり売掛金の支払い能力を判断します。

登記簿謄本・開業届

利用者が法人の場合、登記簿謄本が必要書類に含まれることがあります。

法人の登記簿謄本とは、法人の登記情報が記載されている書類です。登記簿謄本は「登記事項証明書」と呼ばれることもあります。両者の違いは紙か電子データかという点だけで実質的には同じ書類です。

登記簿謄本は次の方法で入手できます。

 管轄法務局の窓口で請求
 郵送で請求
 交換サービスを利用し最寄りの法務局の窓口で請求
 オンライン請求

管轄法務局の窓口に来庁し備え付けの請求書に必要事項に記載し提出すれば、その場で登記簿謄本を作ってくれます。

郵送での請求は、管轄法務局宛に封書で申請書・登記印紙(手数料)・返信用の封筒と切手を郵送することでおこなえます。

管轄法務局が登記情報交換サービス対象庁なら、他の対象庁の窓口でも請求が可能です。

管轄法務局がオンライン請求に対応していればインターネットを利用して請求ができます。

登記簿謄本をオンライン請求し郵送での受取にした場合、受取までに数日かかることがあります。ファクタリングの申込で登記簿謄本がすぐ必要という場合、法務局の窓口での受取がおすすめです。

フリーランスや副業の会社員は開業届

フリーランスや副業の会社員がファクタリングを申込場合、必要書類に開業届が含まれることがあります。

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。事業を開業したことを税務署に申告するための書類になります。

開業届を提出すれば控えをもらえるので、ファクタリングの必要書類としてその控えを提出してください。

開業届の控えを紛失したとしても、税務署で「保有個人情報開示請求書」を提出し、開業届の開示請求をすればコピーがもらえます。コピーには受領印があるので開業届の控えとして提出可能です。

本人確認書類

申込企業の代表者やフリーランスの身分証明のため本人確認書類が必要書類に含まれます。本人確認書類として利用できる代表的なものは以下の通りです。

 自動車運転免許証
 パスポート
 マイナンバーカード

本人確認書類が必要書類に含まれている理由は、なりすましの防止、反社会勢力とのつながりがあるかどうかの確認のためです。

印鑑証明書

契約で契約書に実印を押す場合、印鑑証明書の提出が必要です。契約の際に法人の印鑑を使用する場合、印鑑証明書は以下の方法のうちどれかで請求し入手できます。

 法務局の窓口で交付請求
 証明書発行請求機で請求
 法務局に印鑑証明書交付申請書を郵送
 オンライン請求

法人の実印の印鑑証明書を請求する際には、印鑑カードがなければ発行できません。印鑑カードの発行がまだであれば、印鑑証明書を請求する前に、法務局に印鑑カード交付申請書を提出し印鑑カードを入手してください。

個人の実印を利用して契約する場合は、個人の印鑑証明が必要です。個人の実印についての印鑑証明は、以下の方法で入手可能です。

 市区町村の役所の窓口
 証明書自動交付機
 コンビニ交付サービス
 オンライン請求

印鑑証明書の交付請求には、印鑑登録証(印鑑登録カード)またはマイナンバーカードが必要です。

納税証明書

ファクタリング事業者の中には、必要書類に納税証明書を含めているところがあります。

これは、申込企業が税金を滞納していればがファクタリングの申込ができないという意味ではありません。しかし、過剰な滞納があれば審査通過は難しいです。

申込企業に高額の滞納金があれば、売掛債権が差し押さえの対象となる可能性があります。売掛債権が差し押さえの対象になれば、売掛金が入金されるとそのお金が税金の支払いに充当されます。

ファクタリング事業者は、差し押さえの対象になっている売掛債権については、売掛金を回収できる見込みがないので買取に応じることはありません。

税金の未納がないことを確認できれば、買取対象の売掛債権について売掛金が回収できる見込みがあるので、ファクタリング事業者の中には納税証明書の提出を求めるところがあるわけです。

納税証明書は以下の方法 で請求できます。

 税務署の窓口に納税証明書交付請求書を提出
 郵送で納税証明書交付請求書を送付
 オンライン請求

非対面式(オンライン)における必要書類

非対面式(オンライン)での申込における必要書類は以下の通りです。

 請求書
 通帳のコピーもしくは売掛先担当者とのメール
 本人確認書類

非多面式のファクタリングサービスは必要書類が少ないです。とはいえ請求書の提出だけで申込はできません。

売掛債権の存在、金額、入金期日を証明するエビデンスとして、請求書に加えて通帳のコピー、売掛先担当者とのメールを提出する必要があります。

対面式をおすすめするケース・非対面式をおすすめするケース

この部分では対面式のファクタリングをおすすめするケース、非対面式のファクタリングをおすすめするケースを紹介します。自社のニーズに合わせてサービスを使い分けてください。

対面式をおすすめするケース

対面式のファクタリングサービスは申込で提出する必要書類が多いです。しかし、担当者と顔を合わせて相談や申込、審査を受けることができるのが強みです。

それで、以下のケースでは対面式のファクタリングをおすすめします。

 ファクタリングの利用方法や資金繰りについて相談したい
 審査通過率を上げたい
 売掛金回収をファクタリング事業者にしてもらいたい

非対面式のファクタリングでは、担当者との面談の機会がないのでファクタリングの利用方法や資金繰りの悩みについて質問する、相談するのが難しいです。

ファクタリングの利用が初めてという場合、まずは必要書類を揃えて対面式で手続きができるファクタリングを利用することをおすすめします。

さらに、必要書類が多いということは、利用企業と売掛先の与信調査の精度が上がるということです。与信調査の精度が上がれば、ファクタリング事業者は売掛金未回収のリスクについてより正確に判断できるので結果として審査通過率が上がります。

一方、提出種類が少なければ、与信調査の材料が限られてくるので審査がどうしても厳しくなりがちです。

非対面式のファクタリングでは、契約のほとんどが2社間方式でおこなわれます。2社間方式の場合、利用企業がファクタリング事業者から業務委託される形で売掛金を回収し、それを後でファクタリング事業者に引き渡します。

対面式のファクタリングでは3社間方式での契約が可能です。3社間方式ではファクタリング事業者が自ら売掛金を回収します。売掛金回収をファクタリング事業者におまかせしたいなら、対面式での申込を選んでください。

非対面式(オンライン)をおすすめするケース

必要書類が少ない非対面式のファクタリングは次のようなケースで利用できます。

 資金調達を急いでいる
 近くに対面式のサービスを提供している事業者がない

オンラインで申込から資金調達までが完了できる非対面式のファクタリングは、即日審査・即日入金に対応している事業者がいくつもあります。したがって、資金調達を急いでいる場合はオンラインファクタリングを利用してください。

非対面式のファクタリングはサービスエリアを日本全国にしています。したがって、自社の近くに対面式のサービスを提供している事業者がないという企業やフリーランスの方も利用可能です。

すでに特定のファクタリング事業者と取引しているがそこからの乗り換えを検討しているという方も、オンラインサービスを提供している事業者なら自社の所在地に関係なく申込ができます。

ファクタリングの必要書類についてのまとめ

本稿では対面式・非対面式のファクタリングで申込の際に提出する必要書類、入手方法などを紹介しました。

ファクタリングの審査で売掛債権の存在・額・入金期日の確認をし、自社と売掛先の信用力を審査するためにはその役割を担える書類が複数必要です。

請求書だけではファクタリングは申込できません。したがって、申込前に請求書を含めた必要書類を揃えておく必要があります。

ファクタリングはつなぎ資金の調達など、急場をしのぐための手段として利用可能です。資金が急に必要というときには必要書類を整えてすぐに申込するようにしてください。