ファクタリングで意識したい非課税売上とは?無駄な費用を支払わないためのポイントを解説
ファクタリングを契約するにあたっては、取引の詳細を理解しておくことが重要です。
特に手数料でトラブルを発生させないためにも、非課税売上について理解しておいたほうが良いでしょう。
これは消費税などに関わる部分であるため、正しい理解がないと無駄に費用を支払うことになりかねません。
今回は、ファクタリングで重要となりやすい非課税売上とはなにかと、手数料にどのような影響を与えるのかについて解説します。
目次
ファクタリングとはそもそも何か
ファクタリングの概要を把握していないと、非課税売上について理解がはかどりません。
まずは、基本的な部分について理解しておきましょう。
ファクタリングサービスの概要
ファクタリングとは、売上債権をファクタリング会社に譲渡して、その対価を得る取引です。
譲渡するタイミングで支払いがあるため、スムーズに売上債権を現金化できます。
本来、売上債権が入金されるのは支払期日ですが、ファクタリングによってそれよりも早く入金されるのです。
ただ、ファクタリング会社に手数料を支払う必要があるため、その点に注意しなければなりません。
特に、ファクタリングで支払う手数料は、一般的に非課税売上として扱われる内容が多く、それが消費税の計算などに影響します。
ファクタリングにおける手数料は、手元に残るお金を左右する部分であるため、無駄な支払いが生じないように意識が必要です。
ファクタリングサービスの種類
ファクタリングサービスには2種類存在し、大きく分けて2社間ファクタリングと3社間ファクタリングです。
どちらも、非課税売上が発生するものであるため、その点を抑えておきましょう。
まず、2社間ファクタリングとは、ファクタリング会社と利用者だけで契約が完了する方法です。
利用者がファクタリング会社に対して手数料を支払い、売掛債権を現金化してもらいます。
売掛債権の譲渡に対して手数料が発生し、入金される仕組みになるためお金の動きはイメージしやすいでしょう。
続いて、3社間ファクタリングは、ファクタリング会社と利用者、売掛先も同時に契約する方法です。
あらかじめ、売掛先へとファクタリング会社から連絡してもらい、債権譲渡に関する手続きを進めてもらいます。
その後、ファクタリング会社から入金があり、弁済は売掛先がファクタリング会社へと実施するのです。
利用者の手元には、ファクタリング会社からの支払いだけが入る仕組みとなっていて、お金の流れがやや難しいかもしれません。
とはいえ、どちらもファクタリング会社にとっては非課税取引の発生するもので、利用者は手数料などに税金が課されていないか判断する必要があるのです。
非課税売上とは
ファクタリングの非課税売上を正しく理解するためには、そもそもの非課税売上を理解することが重要です。
まずは、非課税売上とはどのような取引であるか、理解を深めていきましょう。
非課税売上と課税売上
基本的に、日本で商取引を実施すると、消費税などの税金が課されます。
あまり意識していないかもしれませんが、基本的には利益が出れば納税しなければならないのです。
ただ、これが大原則ではあるものの、一部の取引については税金の算出対象外となる「非課税売上」と呼ばれるものに該当します。
商取引ではあるものの、税金がかからない取引なのです。
ファクタリングでは、課税売上と非課税売上の両方が発生する可能性があり、これがファクタリング手数料などに影響します。
特に、ファクタリング会社から消費税を請求された際に重要な観点となるため、非課税売上と呼ばれるものがあることを理解しましょう。
非課税売上の代表例
非課税売上の対象については、国税庁から消費税法を根拠とする解釈が示されています。
具体例をあげると以下の通りです。
● 土地の譲渡および貸付け
● 有価証券等の譲渡
● 支払手段の譲渡
● 預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等
ファクタリング取引は、これらの中でも「有価証券等の譲渡」に該当するものです。
そのため、基本的にファクタリング会社としては非課税売上が発生し、利用者に対して消費税を請求することはできません。
ファクタリングでは非課税売上が発生する
一般的なファクタリングの取引では、非課税売上が発生します。
この点を正しく理解しておくことによって、利用者が無駄に費用を支払わなくて済むでしょう。
債権を譲渡する取引は非課税として扱われる
上記で触れたとおり、有価証券等の譲渡は、非課税売上に該当する取引です。
ファクタリングは、利用者が保有している売掛債権を譲渡する取引であるため、ファクタリング会社は非課税売上として扱わなければなりません。
一般的に、ファクタリングを「売掛債権を売買する取引」と説明することがありますが、厳密には譲渡です。
売買ではなく譲渡の取引であるため、国税庁の解釈に従うと、ファクタリングで発生するものは非課税売上として扱わなければなりません。
また、売上高に対してまったく税金が課されないため、ファクタリングの債権譲渡に関連する部分は消費税が課されないことがポイントです。
もし、消費税を請求されてしまうと手元に残るお金が減ってしまうため、必要ないと主張できるようになっておきましょう。
掛け目も非課税売上である
ファクタリングの契約によっては、一部分だけを先行して支払ってもらう「掛け目」が発生することがあります。
この場合、完全に売掛債権が譲渡されていない状況ではありますが、これも非課税であり上記と同じ売上として扱われるのです。
完全な譲渡ではなく、部分的な譲渡に見えるような状況であっても、ファクタリングの取引ならば非課税売上として扱われると理解すれば良いでしょう。
仮に、掛け目を用いて入金額などが算出されている場合でも、一般的な取引と同様に非課税売上であるため、上記の原則から消費税が発生することはありません。
もし、消費税が手数料などに含まれている場合は必要のない税金を支払うことになりかねないため、細かく確認すべきです。
非課税売上以外が含まれると消費税が請求される
繰り返しですが、ファクタリングの債権譲渡に関わる部分は非課税売上であるため消費税が発生しません。
そのため、一般的に「ファクタリング手数料」と呼ばれる部分については、消費税が発生しないと理解して良いでしょう。
ただ、ファクタリングに関連するやり取りの中で、一般的な手数料以外の費用が発生する場合があります。
これらについては、課税取引になってしまい、消費税が請求されてしまうかもしれません。
例えば、現金化するための手数料とは別に事務費用を請求されるならば、これは課税売上に分類されるものです。
ファクタリング会社による、人的サービスの一種であるため、一般的に企業から提供されるものに対する対価として扱われると理解すれば良いでしょう。
もし、これら費用が請求される場合には、この部分についてのみ消費税を請求されてしまいます。
もし「ファクタリングは消費税などの税金が課されない取引」とだけ考えていると誤ってしまうかもしれません。
利用者側が間違っているにも関わらず、ファクタリング会社へ指摘してしまうと、これもトラブルになりかねません。
債権譲渡登記は個別に確認が必要
ファクタリングにおいて債権譲渡登記が発生する場合、対象となる支払いによって非課税売上かどうかが変化します。
これらを詳細に理解して、適切な費用を支払えるようになっておきましょう。
登録免許税は実費のみ
債権譲渡登記では、法務局で登録免許税を納めなければなりません。
これは法律で算出方法が定められていて、実費だけを支払えば良いルールとなっています。
非課税の取引となっているため、法務局に対して消費税を支払う必要はありません。
つまり、ファクタリング会社から登録免許税を請求されることがあっても、この部分については消費税が課されないのです。
なお、これはファクタリング会社が登録免許税を代理で支払った場合に考慮すべきポイントだと理解しましょう。
自分で債権譲渡登記を実施する場合は、登録免許税も自分で納めるため、消費税が課されていないことは明らかです。
各種報酬は課税売上に該当
債権譲渡登記にあたっては、法務局に提出するための書類を作成しなければなりません。
この作成作業を司法書士などの専門家に依頼した場合、作業に対して報酬が発生するはずです。
この報酬は、人的サービスに対しての対価であるため、課税売上となり消費税を支払う必要があります。
ファクタリング会社が代理で請求する場合でも、消費税が含まれた金額が正しいのです。
ただ、債権譲渡登記は依頼先を探し出してもらうのではなく、自分で事務所を見つけ作業を依頼するという流れが考えられます。
この場合、事務所から消費税が含まれた金額で請求されますが、特に誤った内容ではありません。
利用者が非課税売上について考慮しないで済むためのコツ
解説したように、ファクタリングの利用者は非課税売上とそれ以外について理解する必要があります。
ただ、非常に複雑で手間のかかる観点であるため、これを考慮しないで済むコツを理解しましょう。
手数料を一括で請求する会社を選ぶ
非課税売上について考慮しないためにも、手数料を一括で請求してくれる会社へファクタリングを依頼するようにしましょう。
例えば「ファクタリング金額の10%だけ」などと決まっているファクタリング会社です。
この場合、手数料や事務費用などすべての支払いが含まれているため、利用者は消費税を意識しなくて済むでしょう。
税金を処理する際の扱いとしては「非課税となる債権の譲渡が発生しただけであり、消費税は生じていない」という扱いとなります。
利用者側が消費税を納める義務について考慮しなくて良くなり、納税額の算出などで複雑な計算をしなくて済むのです。
債権譲渡登記など諸経費が不要の会社を選ぶ
可能であれば、債権譲渡登記などファクタリングの手数料として一括で請求されるもの以外の費用が発生しないファクタリング会社を選びましょう。
一部のファクタリング会社については、手数料以外にこれらの諸経費を請求するところが含まれています。
この場合、ファクタリングの手数料は一括で請求されても、それ以外の部分について最終的には複雑な計算が必要です。
利用者側は、消費税が妥当であるかを評価し、また納税に向けて消費税を管理する必要が出てきます。
事務作業が増えて負担になるケースが多いため、特別な理由がないならば、このような諸経費が不要なファクタリング会社を選ぶべきです。
ファクタリングで考慮すべき非課税売上についてのまとめ
ファクタリングの契約で意識しておきたい非課税売上について解説しました。
利用者にとっては難しい内容かもしれませんが、ファクタリングでのやり取りは多くが非課税取引に該当します。
そのため、ファクタリング会社は非課税売上が発生し、それらに対して利用者へ消費税の請求はできません。
消費税を上乗せして利益を増やそうと画策する悪徳業者に近い会社が存在するため、それらは避けられるようになりましょう。
ただ、事務手数料など部分的に消費税が課される取引があるため、その点は注意が必要です。