ファクタリングの会計処理は?種類ごとの方法や仕訳における3つの注意点について解説
ファクタリングは売掛債権を売却して、本来の支払期日よりも前に現金を得るサービスのことです。
近年では便利な資金調達方法として注目されていますが、会計処理の方法が分からないと悩んでいる事業者もいます。
そこで、この記事ではファクタリングの会計処理の方法や仕訳における3つの注意点について解説していきます。
会計処理は利用するファクタリングの種類によって異なるため、この機会にぜひ理解しておきましょう。
目次
会計処理はファクタリングの種類によって異なる
冒頭でも述べましたが、会計処理はファクタリングの種類によって異なります。
会計処理の解説をする前に、ファクタリングの種類について説明していきます。
1. 買取型ファクタリング
2. 保証型ファクタリング
1.買取型ファクタリング
買取型ファクタリングとはファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらい、手数料を引いた金額を受け取るサービスを指します。
ファクタリングといえば、この買取型を指すケースが一般的です。
売掛債権の支払期日は1か月から2か月ほど先に設定されるケースが多いです。
支払期日が到来するまでは手元資金で資金繰りをしなければなりません。
しかしファクタリングを利用すれば、支払期日前に売掛債権の現金化が可能です。
最短即日で現金化できるファクタリングサービスもあり、適切な場面で利用すれば資金繰りの改善に役立ちます。
2.保証型ファクタリング
保証型ファクタリングは売掛債権の未回収リスクに備えられるサービスのことです。
売掛金を受け取る前に売掛先が倒産しても、保証額の範囲内であれば保証される特徴があります。
保証ファクタリングを利用しても売掛先に知られる心配はありません。
また、与信管理のアウトソーシングができる点がメリットです。
買取型ファクタリングは資金調達方法の一種ですが、保証型ファクタリングは保険の一種だと考えればイメージがしやすいかもしれません。
買取型ファクタリングの会計処理方法
ここからは買取型ファクタリングの会計処理方法について解説していきます。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで会計処理方法が異なる点に注意が必要です。
1. 2社間ファクタリング
2. 2社間ファクタリング(即日入金の場合)
3. 3社間ファクタリング
1.2社間ファクタリング
2社間ファクタリングはファクタリングの利用者とファクタリング会社の2社間で契約を締結します。
売掛金が発生した際の仕訳はこちらです。
売掛金は100万円としています。
・借方:売掛金100万円
・貸方:売上100万円
続いて2社間ファクタリングの契約時の仕訳はこちらです。
・借方:未収入金100万円
・貸方:売掛金100万円
ファクタリング会社から入金された際の仕訳はこちらです。
手数料は20%としました。
・借方:普通預金80万円、売上債権売却損20万円
・貸方:未収入金100万円
売掛先から入金があった際はこのような仕訳となります。
・借方:普通預金100万円
・貸方:預り金100万円
ファクタリング会社に支払いをおこなった際の仕訳はこちらです。
・借方:預り金100万円
・貸方:普通預金100万円
2.2社間ファクタリング(即日入金の場合)
2社間ファクタリングでは即日入金されるケースもあります。
2社間ファクタリングで即日入金される場合の会計処理は、ファクタリング契約をしたときと入金されたときを一つにまとめられます。
売掛金が発生した際の仕訳はこちらです。
通常の会計処理と変化はありません。
・借方:売掛金100万円
・貸方:売上100万円
ファクタリングの契約時と入金時の仕訳はこちらです。
・借方:普通預金80万円、売上債権売却損20万円
・貸方:未収入金100万円
3.3社間ファクタリング
3社間ファクタリングはファクタリングの利用者とファクタリング会社、売掛先の3社間で契約を結びます。
3社間ファクタリングの会計処理について見ていきましょう。
まずは売掛金が発生した際の仕訳はこちらです。
こちらも売掛金を100万円としています。
・借方:売掛金100万円
・貸方:売上100万円
続いて3社間ファクタリングの契約時の仕訳はこちらです。
2社間ファクタリングと変わりません。
・借方:未収入金100万円
・貸方:売掛金100万円
ファクタリング会社から入金された際の仕訳はこちらです。
手数料は2社間ファクタリングよりも低い10%としました。
・借方:普通預金90万円、売上債権売却損10万円
・貸方:未収入金100万円
なお、3社間ファクタリングでは売掛先がファクタリング会社に売掛金を直接振り込むため、自社の会計処理はありません。
保証型ファクタリングの会計処理方法
保証型ファクタリングの会計処理方法について解説していきます。
保証型ファクタリングで一般的な2つのケースについて見ていきましょう。
1. 入金が確認できたケース
2. 回収不能のケース
1.入金が確認できたケース
売掛先からの入金が確認できたケースです。
まずは売掛金が発生した際はこのように仕訳をします。
買取型ファクタリングと同じように売掛金は100万円としています。
・借方:売掛金100万円
・貸方:売上100万円
支払期日が到来して入金が確認できた際の仕訳はこちらです。
・借方:普通預金100万円
・貸方:売掛金100万円
特に問題がなかったので、手数料を支払います。
手数料は1万円としました。
・借方:支払手数料1万円
・貸方:普通預金1万円
2.回収不能のケース
売掛金の回収不能なケースを見ていきましょう。
ここでは回収できない金額と保証金を100万円としました。
・借方:貸倒損失100万円
・貸方:売掛債権100万円
続いて保証金を受け取った際の仕訳です。
保証金は雑収入として会計処理をします。
・借方:普通預金100万円
・貸方:雑収入100万円
ファクタリングの仕訳における3つの注意点
ファクタリングの仕訳では下記の3つの点に注意しましょう。
1. ファクタリングに消費税はかからない
2. 手数料は売上債権売却損とする
3. 入金が完了するまでに決算期末をまたぐ場合
それぞれの注意点について解説していきます。
1.ファクタリングに消費税はかからない
ファクタリングは金銭債権の譲渡にあたるため、非課税となります。
手数料に消費税を上乗せして請求するファクタリング会社は、悪徳業者の可能性があります。
悪徳業者と契約するとトラブルに発展する可能性があるため、ファクタリング会社の対応に不信感を覚えた際は、契約をしない方がよいでしょう。
なお、債権譲渡登記をおこなう際は消費税が発生します。
2.手数料は売上債権売却損とする
手数料の勘定科目は「売上債権売却損」とします。
勘定科目に売上債権売却損がなければ、「雑損失」や「支払手数料」などでも問題はありません。
3.入金が完了するまでに決算期末をまたぐ場合
ファクタリングを利用する際、タイミングによっては入金が決算期末をまたぐ場合もあるでしょう。
入金が完了するまでに決算期末をまたぐ場合は、未入金の状態でも課税の対象となります。
ファクタリングの会計処理に関するまとめ
ファクタリングの会計処理は種類ごとに異なります。
はじめはむずかしくて混乱してしまうかもしれませんが、なぜこの仕訳なのかを考えてみると理解しやすいでしょう。
この記事ではよくある事例として、2社間ファクタリングや3社間ファクタリング、保証ファクタリングでの会計処理について解説しました。
ファクタリングの勘定科目や仕訳を理解して、適切に会計処理をしていきましょう。