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ファクタリングとでんさいの違いは?それぞれのメリットや注意点を解説

ファクタリングとでんさいは、ともに売掛債権を利用した資金調達方法です。
しかし「ファクタリングとでんさいにどのような違いがあるのか分からない」と悩んでいる事業者も多いのではないでしょうか。

この記事ではファクタリングとでんさいの違いやそれぞれのメリット、注意点について解説していきます。
自社に合った適切な資金調達方法を選択したい事業者は、ぜひ最後まで目を通してください。

ファクタリングとは

ファクタリングとは事業者が保有している売掛債権を、ファクタリング会社が買い取るサービスのことです。
支払期日を待たずに現金化することで、資金繰りの早期改善が期待できます。

ファクタリングには下記の2種類の契約形態があります。

1. 2社間ファクタリング
2. 3社間ファクタリング

1.2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、ファクタリングの利用者とファクタリング会社の2社間で契約を締結します。

取引のスピードが早く、利用するファクタリングサービスによっては最短即日での現金化が可能です。
さらに売掛先に知られずに資金調達ができます。
ただし、3社間ファクタリングよりも手数料が高く設定されるケースが多いです。

2.3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、ファクタリングの利用者とファクタリング会社、売掛先の3社間で契約を締結します。

売掛先も契約に関わるため、ファクタリング会社は売掛金の未回収リスクを下げられることから、コストをおさえた資金調達が可能です。
ただし、売掛先にファクタリングを利用する事実が知られてしまいます。
また、2社間ファクタリングよりも資金調達に時間がかかる場合が多いです。

でんさいとは

でんさいとは「電子記録債権」の略称で、売掛債権などを電子的に記録して管理するサービスのことです。

従来の企業間取引では紙の手形が用いられてきました。
紙の手形は紛失や盗難のおそれがある、保管や郵送に関するコストがかかるなどの問題点があります。
しかし、でんさいを利用すれば電子記録でのやり取りができるため、これまでの問題点を解決できるのです。

ファクタリングとでんさいの5つの違い

ファクタリングとでんさいの違いは下記の5つです。

1. ネットワークの違い
2. 審査項目の違い
3. 手数料の違い
4. 契約締結方法の違い
5. 売掛金の未回収リスクの違い

ファクタリングとでんさいのそれぞれの違いについて、一つずつ解説していきます。

1.ネットワークの違い

ファクタリングはファクタリング会社がファクタリング業務をおこなっています。
ファクタリングの利用者とファクタリング会社(契約形態によっては売掛先も)との契約となるため、特にネットワークはありません。
ただ、ファクタリングを利用するたびに契約の手続きをおこなうため、手間だと感じる事業者がいるかもしれません。

でんさいは株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)により運営されています。
自社が保有している金融機関の口座がでんさいネットに加盟していれば、新たに口座を開設する必要はありません。
でんさいネットには1,300を超える金融機関が加盟しており、書式も統一されています。

2.審査項目の違い

ファクタリングは売掛先の信用力が重視されます。
支払能力に問題がなければ、審査に通過する可能性は十分にあるでしょう。
また、ファクタリングの利用者に税金の滞納や赤字決算があったとしても、審査にはほとんど影響はありません。

でんさいを提供しているのは金融機関なので、銀行の融資と同等の審査がおこなわれます。
そのため審査の基準は厳しく、でんさいの利用者の信用力によっては落ちてしまうことも考えられます。

3.手数料の違い

ファクタリングの手数料は2社間ファクタリングで10%から20%、3社間ファクタリングは2%から10%と、契約形態によって異なります。

でんさいの手数料は1.5%〜5.0%程度と、ファクタリングよりは手数料が低く設定されています。

4.契約締結方法の違い

ファクタリングは資金調達をおこなうたびに契約を締結します。
利用するファクタリングサービスによっては契約方法や必要書類の種類などが異なるため、手間に感じるかもしれません。

一方のでんさいは保有している金融機関の口座がでんさいネットに加盟している場合、新たに契約手続をする必要はありません。
契約手続きにかかる手間や時間の削減につながります。

5.売掛金の未回収リスクの違い

ファクタリングは償還請求権のない契約を結びます。
売掛先が倒産しても売掛金を弁済する必要はありません。

でんさいは償還請求権のある契約を結びます。
売掛先が倒産した場合、売掛金を弁済する義務があります。

ファクタリングのメリット3選

事業者がファクタリングを利用するメリットはこちらの3つです。

1. 資金調達のスピードが早い
2. 審査に通過しやすい
3. 売掛債権があれば利用できる

1.資金調達のスピードが早い

一般的な資金調達方法を利用する場合、現金を用意するまでに時間がかかります。
しかし、ファクタリングは資金調達のスピードが早く、最短即日で売掛債権の現金化が可能です。

今すぐに現金を用意したい事業者にとって、ファクタリングは頼りになる資金調達方法だといえるでしょう。

2.審査に通過しやすい

いくら条件のよい資金調達方法があったとしても、審査に通過しなければ利用できません。

ファクタリングは比較的審査に通過しやすい資金調達方法です。
審査通過率が90%をこえるファクタリングサービスもあり、資金調達をしやすい点がメリットです。

3.売掛債権があれば利用できる

ファクタリングは譲渡可能な売掛債権があれば利用できます。
法人に限らず、個人事業主も利用できるファクタリングサービスもあります。

ファクタリングを利用する際の注意点3選

ファクタリングを利用する際は、下記の3点に注意してください。

1. でんさいよりも手数料が高い
2. 売掛先との取引に悪影響を及ぼす可能性がある
3. 悪徳業者が存在する

1.でんさいよりも手数料が高い

先述したように、ファクタリングはでんさいよりも手数料が高くなる傾向があります。

ファクタリングを利用する場合、ファクタリングの利用者は売掛先が倒産しても売掛金を弁済する責任を負いません。
ファクタリング会社は売掛金の未回収リスクを負うことになるので、手数料を高めに設定しているのです。

2.売掛先との取引に悪影響を及ぼす可能性がある

3社間ファクタリングで契約を締結する際、売掛先にファクタリングを利用する旨の通知が届きます。
さらに、売掛先からファクタリングを利用することに対しての承諾を得なければなりません。

ファクタリングを利用する事実が売掛先に伝わるため「ファクタリングを利用しなければならないほど、資金繰りが悪化しているのか」と心配され、今後の取引に悪影響を及ぼす可能性があります。
今後の取引が心配であれば、2社間ファクタリングの利用をおすすめします。

3.悪徳業者が存在する

貸金業の登録をしていない業者がファクタリング会社を称して、違法な貸付をおこなうケースがあります。
悪徳業者と契約を結んでしまうと、トラブルに巻き込まれる可能性があるので注意してください。

悪徳業者の特徴はこちらです。

・ファクタリングの平均的な手数料よりも高い(20%をこえている)
・運営会社の公式サイトがなく、事業内容や会社概要がよく分からない
・連絡先が携帯電話番号である
・担保や保証人を求めてくる
・契約書を作成しない、もしくは控えを渡さない

少しでも不安を感じた際は、契約を見送った方がよいでしょう。

でんさいのメリット3選

でんさいのメリットはこちらの3つです。

1. 印紙代がかからない
2. 債権の紛失や盗難の防止につながる
3. 手続きが簡単

でんさいにはどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

1.印紙代がかからない

手形取引には手形を発行する手数料のほかに、印紙代も負担しなければなりません。
印紙代は契約金額が大きくなるにつれて負担額も増えるため、コストがかかってしまいます。

しかし、でんさいは電子記録でやり取りをおこなうため、印紙代の負担はありません。

2.債権の紛失や盗難の防止につながる

紙の債権は紛失や盗難のリスクがあるため、厳重に保管しておく必要があります。

しかし、でんさいは電子記録なので紛失や盗難の心配はありません。
また、債権を保管する場所も不要です。

3.手続きが簡単

でんさいはでんさいネットに登録しておけば、オンライン上で簡単に手続きができます。
新たな売掛先が増えたとしても、再び契約を結びなおす必要はありません。

でんさいを利用する際の注意点3選

でんさいを利用する際に注意しておきたい点は下記の3つです。

1. 売掛先もでんさいの利用が必須
2. 審査のハードルは高め
3. 利用者は売掛債権の未回収リスクを負う

1.売掛先もでんさいの利用が必須

でんさいを利用するには、売掛先もでんさいネットの登録が必要です。
でんさいは電子記録を扱うため、でんさいネットに対して面倒に感じる売掛先もいることでしょう。

売掛先によってはでんさいが利用できない点に注意してください。

2.審査のハードルは高め

でんさいは審査のハードルが高めです。
銀行の融資を受けるときと同様の審査がおこなわれるため、審査に通過できない可能性も考えられます。

ただし、貸金業者としてでんさいを利用する場合は、債権の信用力が重視されます。
自社の財務状況や経営状態に不安がある事業者は、貸金業者として申込をするとよいでしょう。

3.利用者は売掛債権の未回収リスクを負う

でんさいでは償還請求権のある契約を結びます。
そのため、でんさいの利用者は売掛債権の未回収リスクを負わなければなりません。

ファクタリングをおすすめする事業者の特徴

ファクタリングをおすすめする事業者の特徴はこちらです。

・自社の信用力に自信がない
・とにかく早く資金調達をしたい
・売掛金の未回収リスクを負いたくない
・売掛先に売掛債権の譲渡する事実を知られたくない
・担保や保証人を求められたくない
・でんさいが利用できない

でんさいをおすすめする事業者の特徴

でんさいをおすすめする事業者の特徴はこちらを参考にしてください。

・できるだけ手数料をおさえたい
・紙の手形の紛失や盗難の心配から解放されたい
・資金調達の手続きを簡略化したい
・売掛先に売掛債権の譲渡する事実を知られても構わない

ファクタリングとでんさいの違いに関するまとめ

ファクタリングとでんさいにはネットワークや審査項目などの違いがあります。

ファクタリングは資金調達のスピードに優れており、売掛金の未回収リスクを負わない特徴があります。
しかし手数料が高いため、何度も利用すると資金繰りの悪化につながる可能性がある点に注意してください。

でんさいは手続きが簡単で、手数料をおさえた資金調達が可能です。
ただ、審査が厳しく利用できない可能性も考えられます。

ファクタリングとでんさいの違いを理解した上で、自社に適した資金調達方法を選択してみてはいかがでしょうか。