ファクタリングは入金実績なしの売掛先の売掛債権でも資金調達できる!審査が厳しくなる理由を解説
ファクタリングは売掛債権売却による資金調達です。資金繰りの悩みがある経営者の中には、新規に取引を開始した入金実績なしの売掛先の売掛債権を使ってファクタリングできるかどうかを知りたいという方がいらっしゃいます。
答えを先に述べれば、入金実績なしの売掛先の売掛債権を使ってファクタリングすることは可能です。しかし、審査が通常よりも厳しくなる点に注意してください。
この記事では、入金実績なしの売掛先の売掛債権でファクタリングを申込んだときに審査が厳しくなる理由、入金実績なしの売掛先の売掛債権でファクタリングを申込む際に、審査通過率を上げるためにできること紹介します。
目次
入金実績なしの売掛先の売掛債権でファクタリングでは審査が厳しくなる
売掛金の入金実績がない売掛先の売掛債権をファクタリング事業者に買取依頼した場合、審査が通常よりも厳しくなります。その理由としては次の2点が挙げられます。
売掛先の売掛金を支払う能力が確認できない
架空請求を疑われる
売掛先の売掛金を支払う能力が確認できない
入金実績なしの売掛先の売掛債権のファクタリングで、審査が厳しくなるのは、売掛先の売掛金支払い能力が確認できないからです。
ファクタリングの審査では、売掛先の売掛金支払い能力が調査されます。
支払い能力がない売掛先の売掛債権を買取するなら、ファクタリング事業者は売掛金回収不能となり損害を被るリスクが高まるからです。
支払い能力が保証されている売掛先の売掛債権のみを買取することで、ファクタリング事業者は売掛金回収不能による損害を避けて儲けを出せます。
こうした理由から、ファクタリング事業者は審査の際に、入金実績が記載されている通帳のコピーなどを見て売掛先の売掛金支払い能力を確認するわけです。
架空請求を疑われる
入金実績なしの売掛先の売掛債権でファクタリングを申込めば、ファクタリング事業者は架空請求を疑う必要があるので、どうしても審査が厳しくなります。
売掛債権の存在は請求書で証明できます。しかし、請求書は偽造が可能です。
したがって、請求書のみでファクタリングの申込を受け付ければ、ファクタリング事業者は偽造した請求書を使った悪意ある申込者により、お金を騙し取られることになるでしょう。実際に架空の請求書を使いファクタリング事業者からお金を騙し取る事件が起こっています。
架空請求による被害を防ぐため、ファクタリング事業者は申込者に請求書に加えて、取引の事実が確認できる取引基本契約書、入金履歴が確認できる通帳のコピーの提出を求めます。
入金実績なしの売掛先の売掛債権の場合、入金履歴が確認できる通帳の記録がないので、取引が確かにあるという事実を確認し架空請求ではないということを別の方法で証明する必要があるので、審査が厳しくなるわけです。
入金実績なしの売掛先の売掛債権でファクタリングするためのポイント
入金実績なしの売掛先の売掛債権を使ってファクタリングしようとする場合、審査が厳しくなります。しかし、売掛先に売掛金を支払う能力があることがきちんと証明できれば、審査に通過できるでしょう。
入金実績なしの売掛先の売掛債権を使いファクタリングするケースでは、以下の点に注意すれば、審査に通過できる確率が高くなります。
公共機関や有名企業が売掛先となる売掛債権を持ち込む
売掛先の信用力を裏付けるような書類を用意する
3者間ファクタリングを選択する
公共機関や有名企業が売掛先となる売掛債権を持ち込む
入金実績なしの売掛先の売掛債権でも、その売掛先が公共機関や有名企業なら、売掛金の支払い能力は保証されているので、審査に通過できる確率が高まるでしょう。
たとえば、建設会社が国や地方自治体からの工事を請負、その工事代金(売掛金)を回収する権利をファクタリング事業者に売却するというケースがあります。これまで国や公共自治体からの入金実績なしの会社でも、公共機関が工事代金を支払わないということは考えられないので、その会社がファクタリングを申込めばファクタリング事業者は買取に応じるでしょう。
他にも、病院や調剤薬局などが持つ診療報酬債権や調剤報酬債権があります。国民健康保険団体連合会(国保連)や社会保険診療報酬支払基金(社保)が売掛先です。
国保連や社保が診療報酬や調剤報酬の支払いを無視することはないので、新規に事業を立ち上げた病院や薬局で国保連や社保からの入金実績なしというケースでも、ファクタリング事業者に診療報酬債権や調剤報酬債権の買取を依頼すれば資金調達が可能です。
このように、入金実績なしの売掛先の売掛債権を資財としてファクタリングを計画する際には、支払い能力がある程度保証されている公共機関や有名企業の売掛債権を対象にしてください。
売掛先の信用力を裏付けるような書類を用意する
入金実績なしの売掛先の売掛債権について買取を依頼する際には、売掛先の信用力を裏付けるような書類を用意することができます。
取引基本契約書、売掛先の商業登記簿謄本、売掛先からの発注書などです。
これらの書類を用意しておくことで、自社と売掛先の間に取引が実在すること、売掛先が信用できる会社であることをファクタリング事業者に説明できます。
入金実績なしの売掛先の売掛債権では、通帳のコピーで入金履歴や売掛先の支払い能力が証明できないので、他の書類で売掛先の信用力を証明してください。
3社間ファクタリングを選択する
入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリング事業者に持ち込む場合、契約形態は3社間ファクタリングを選ぶことをおすすめします。
ファクタリングには3社間ファクタリングと2社間ファクタリングがあります。3社間ファクタリングでは売掛先への債権譲渡通知とその承諾が必要で、その手順を踏んで契約や取引がおこなわれるのが特徴です。一方、2社間ファクタリングでは売掛先への債権譲渡通知や承諾はありません。
申込者が3社間ファクタリングを選択し、売掛先が申込者によるファクタリング事業者への売掛債権譲渡に同意すれば、ファクタリング事業者は売掛先が売掛金を支払う意欲があるということを確認できます。そうなれば、ファクタリング事業者は入金実績なしのケースでも審査に通しやすくなるでしょう。
こうした理由から、入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングする場合は、3社間ファクタリングで契約することをおすすめします。
入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングする際の注意点
入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングする場合、審査が厳しくなります。しかし、売掛先の信用力を証明することができれば審査に通過し資金調達することが可能です。
仮に資金調達達成できたとしても、入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングする際には以下の点に注意してください。
掛け目が低くなる可能性がある
即日入金は期待できない
売掛先にファクタリングでの資金調達が知られる
掛け目が低くなる可能性がある
入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングするケースでは、掛け目が低くなり最初に受け取れる資金の額が低くなる可能性がある点に注意してください。
ファクタリングの掛け目とは、ファクタリング事業者が売掛債権を買取する際に、売掛債権の額面にかける一定比率の買取率のことです。保証金のような役割を持っています。
入金実績なしのケースでは、売掛金回収不能になるリスクが高いので、保証金を通常より多めに確保しておく必要があります。そのために買取率つまり掛け目の設定が低くなるわけです。
通常、3社間ファクタリングなら掛け目の相場は、売掛債権の額面の80%から90%になります。入金実績なしのケースなら、掛け目がこの相場より低くなると考えてください。
たとえば、入金実績なしの売掛先の売掛債権300万円の買取依頼する場合、ファクタリング事業者の設定する掛け目が売掛債権の額面の70%なら、買取金額は210万円です。
さらに、手数料率が10%なら、手数料の金額は210万円×10%=21万円になります。
このケースで、申込者が最初に受け取れる資金は以下の通りです。
300万円(売掛債権)×70%(掛け目)=210万円(買取金額)
210万円(買取金額)×10%(手数料率)=21万円(手数料)
210万円(買取金額)-21万円(手数料)=189万円(最初に受け取る金額)
売掛金が回収できれば、保証金の役割は終了するので、残りのお金が申込者に返還されます。最終的に受け取る金額の合計は以下の通りです。
300万円(売掛債権)-210万円(買取金額)=90万円(返還額)
189万円(最初に受け取る金額)+90万円(返還額)=279万円(受取額合計)
この例からわかるように、入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングするなら、掛け目が低くなり最初に受け取る資金の額が減る可能性があることに注意してください。
即日入金は期待できない
入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングするケースでは、これまで説明してきたように通常よりも審査を慎重におこなう必要があるので時間がかかります。
したがって、申込んだその日に資金を調達することは期待できません。
オンラインで申込・書類提出・審査・契約などの手続きができるオンラインファクタリングでは、申込んだその日に資金調達することが可能です。しかし、審査に時間がかかる入金実績なしのケースでは即日の資金調達は難しいです。
今日明日中に資金が必要という場合は、入金実績があり支払い能力に問題がない売掛先の売掛債権を持ち込んでファクタリングしてください。
売掛先にファクタリングでの資金調達が知られる
入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングするケースでは3社間ファクタリングで契約することをおすすめしました。
3者間ファクタリングでは売掛先への債権譲渡通知があるので、ファクタリングによる資金調達が売掛先に知られることになります。
売掛先にファクタリングの利用が知られると「あの会社は資金繰りに苦しんでいる」「会社が傾いている」といった風評被害が起こる可能性がある点に注意してください。
入金実績なしの売掛先の売掛金をファクタリングする点についてのまとめ
この記事では入金実績なしの売掛先の売掛債権をファクタリングする場合、審査が通常より厳しくなることを解説しました。
入金履歴がないので、ファクタリング事業者は審査で売掛先に売掛金の支払い能力があるかどうかを判断するのが難しいからです。さらに入金履歴なしの売掛先の売掛債権を持ち込めば、ファクタリング事業者は架空請求の被害を避けるために、慎重に審査する必要が生じます。
とはいえ、入金履歴のない売掛債権はファクタリングできないわけでありません。信用力のある売掛先であれば審査に通過できる可能性があるからです。
資金不足の悩みがあり、入金履歴なし・ありに関わらず売掛債権を保有しているのであれば、まずはファクタリング事業者にそれを持ち込んで資金調達できるかどうか相談することをおすすめします。