8つの資金調達手段の手数料を比較―ファクタリングを資金調達手段に加えるべき理由を解説
手数料は資金調達手段を選ぶ際の選択基準になります。手数料がかからなければ手元に入る資金はその分多くなり、逆に手数料が多くかかればそれだけ手元に入る資金は少なくなるからです。
このコンテンツ記事では、手数料を比較して資金調達手段を選びたいたいという経営者向けに、次の8つの資金調達手段の手数料相場を紹介します。
公的融資
銀行融資
ビジネスローン
補助金
手形割引
リースバック
クラウドファンディング
ファクタリング
さらにこの記事では手数料が割高でもファクタリングを資金調達手段に加えるべき理由を解説します。
目次
公的融資の手数料
公的融資つまり日本政策金融公庫からの融資を利用した場合、金利が手数料に該当します。
日本政策金融公庫の中小企業事業向け融資における基準金利は1.65%~2.35%です。
※日本政策金融公庫 (令和6年12月2日時点)
日本政策金融公庫の金利は銀行融資の金利より低く設定されています。したがって、金利による手数料コストを抑えつつある程度まとまった金額を資金調達したいケースでは公的融資による資金調達がおすすめです。
銀行融資の手数料
銀行融資も公的融資と同じように金利が発生するのでそれが手数料になります。手数料つまり金利の相場は以下の通りです。
メガバンクのプロパー融資:1%~3%
メガバンクの信用保証付き融資:1.50%~3%+信用保証料0.45%~2.20%
地方銀行の融資:1.50%~3.50%
メガバンクは資金力が潤沢なので高額の融資に対応できます。メガバンク独自の責任で保証人や担保を付けずにおこなえるプロパー融資では低金利で長期かつ高額の融資が可能です。
プロパー融資は審査が厳しいので、プロパー融資での資金調達が難しいという小規模事業者は信用保証協会の保証が受けられる信用保証付き融資が利用できます。信用保証付き融資は審査に通過しやすくなるというメリットがありますが、一方で信用保証料が金利に加えて別途手数料として発生する点に注意してください。
地方銀行の融資は中小企業や個人事業主でも利用しやすいのが特徴です。地方銀行における金利手数料の相場はメガバンクの相場より高くなっています。
ビジネスローンの手数料相場
ビジネスローンは銀行、消費者金融や信販会社などのノンバンクが提供している資金調達サービスです。ビジネスローンの金利つまり手数料相場は以下の通りです。
メガバンク:1%~14%
地方銀行:3%~15%
ノンバンク:5%~18%
銀行の提供するビジネスローンの審査は通常の融資審査ほど厳しくありませんが、金利手数料の相場は融資の金利手数料の相場より高い点に注意してください。
ノンバンクのビジネスローンは融資がそれほど厳しくなく最短で申込したその日に資金が手に入ります。したがって急いでお金を調達しなければならないケースではビジネスローンが使えます。一方でノンバンクのビジネスローンの金利手数料は銀行の融資における手数料と比較するとかなり高いので、借入期間が長くなるとそれだけ返済負担が大きくなる点を覚えてください。
補助金の手数料
補助金は新規事業の支援、事業拡大や設備投資の支援を目的としており、公益や地域振興につながる事業をサポートすることが目的です。経済産業省や自治体が管轄しています。
補助金は申請する補助金の種類により支給される額が数百万円から数十億円と幅が広いのが特徴で、返済義務はありません。しかし、受給を受けるためには審査通過が必要であり、その審査はかなり厳しいのが特徴です。
したがって、補助金を申請する経営者の中には、申請代行サービスを利用する方がいらっしゃいます。申請代行サービスを利用すれば手数料がかかります。「ものづくり補助金」を例とした場合、手数料の相場は以下の通りです。
着手金:5万円~10万円
成功報酬:受給額の10%~20%
手形割引の手数料相場
手形割引とは支払い期日前の約束手形を銀行や手形割引業者に売却し、支払期日までの手形割引料などを引いた金額を受け取ることで資金調達できるサービスです。
手形割引で手数料に該当する手形割引料の相場は次の通りです。
メガバンク:2%~3.5%
地方銀行:2.5%~4.5%
手形割引業者:2.5%~15%
受取手形では手形が支払われるまでに3,4ヶ月待つケースがあります。
支払い待ちが長ければ、その間に支払い請求がいくつも来ることで支払いに充てる資金が不足するという問題が起こるかもしれません。
手形割引を使えば支払い期日より前に資金が手に入るので入金待ちの期間を短くでき、支払いに充てる資金を確保することが可能です。
さらに、手形割引では手形振出人の支払い能力が審査されます。したがって、申込した会社の業績が不調でも手形振出人の支払い能力がある程度保証されていれば審査通過が期待できます。
入金期日前の受取手形を持っているというケースでは手形割引で資金調達できるでしょう
リースバックの手数料
リースバックとは利用者が所有している不動産や機械、設備などを一旦、リース会社へ売却し、その物件を直ちにリース物件としてリースする契約です。所有資産をリース会社へ売却するのでリースバックは資金調達手段といえます。
リースバックでは売却した工場や機械などそのまま使い続けることができるので、引越し費用が発生しません。
不動産をリースバックする場合、不動産の売却契約と売却した不動産を利用するための賃貸契約が必要になるので以下の費用が必要です。
仲介手数料
抵当権の抹消費用
売買契約の印紙代
敷金
保証料
火災保険料
事務手数料
リースバックにはこうした費用が発生しますが、発生した費用は売却代金から支払われるので、利用者が事前に手数料を支払うために持ち出し費用を準備する必要はありません。
会社に売却できる不動産や設備があれば、手数料コストの持ち出しなしで資金調達できるリースバークは資金調達の選択肢の1つになります。
クラウドファンディングの手数料
クラウドファンディングは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語です。インターネット上のプラットフォーム上でプロジェクトへの賛同者と支援金を集めます。クラウドファンディングの手数料は利用するプラットフォームにより異なりますが、相場は以下の通りです。
調達額の5%~25%
クラウドファンディングのサービスの中には手数料が安い分、手厚いサポートが受けられないというところがあります。クラウドファンディングでの資金調達が初めてという方は、手数料の安さだけでサービスを選ぶなら期待する結果が得られないかもしれません。
ファクタリングの手数料
ファクタリングでは、利用者が保有する入金期日前の売掛債権をファクタリング事業者に売却することで資金調達できます。ファクタリングで売却する売掛債権は売掛先から売掛金を回収する権利のことです。
ファクタリングの契約タイプは2種類あります。契約タイプごとの手数料相場は以下の通りです。
2社間ファクタリング:8%~18%
3社間ファクタリング:2%~9%
ファクタリングは売掛債権という保有資産を売却して資金調達する手段です。融資やビジネスローンのようにお金を借りて資金調達するわけではないので、返済義務や金利負担はありません。
さらに、入金期日前の売掛債権を売却して現金化するので入金期日より前に資金が手に入る、それにより売掛金の入金サイトの短縮が可能です。
入金サイトを短縮できれば、入金待ちの間に支払いに充てる資金が足らなくなるという問題を回避できます。
さらに、入金サイトを短縮できれば手元にある資金に余裕が生まれるので、次の案件受注に必要な仕入れや設備・人材確保のための資金が確保できます。
さらに、ファクタリングで売却できた売掛債権については確実にファクタリング事業者から買取代金が支払われるので、売却済みの売掛債権については売掛金の入金遅れや未回収のリスクがなくなります。
ファクタリングの手数料は他の資金調達手段より割高!?
ファクタリングの手数料は融資やビジネスローンの金利手数料と比較すると割高といえます。今回紹介した資金調達手段の手数料相場を比較できるようにまとめました。
公的融資:1.65%~2.35%
メガバンクのプロパー融資:1%~3%
メガバンクの信用保証付き融資:1.50%~3%+信用保証料0.45%~2.20%
地方銀行の融資:1.50%~3.50%
メガバンクのビジネスローン:1%~14%
地方銀行のビジネスローン:3%~15%
ノンバンクのビジネスローン:5%~18%
補助金:着手金として5万円~10万円、成功報酬として受給額の10%~20%
メガバンクの手形割引:2%~3.5%
地方銀行の手形割引:2.5%~4.5%
手形割引業者:2.5%~15%
リースバック:手数料の持ち出しなし
クラウドファンディング:調達額の5%~25%
2社間ファクタリング:8%~18%
3社間ファクタリング:2%~9%
ファクタリングの手数料相場は融資やビジネスローン、手形割引、リースバックの手数料と比較すると高いです。それでも、ファクタリングを資金調達手段の1つとして持っておくべき理由があります。
ファクタリングを資金調達手段の1つとして持つべき理由
手数料が他の資金調達手段より高いとはいえ、ファクタリングは資金調達手段の1つとして確保すべきものです。その理由は以下の通りです。
融資やビジネスローンの審査ほど審査が厳しくない
資金調達を急いでいるときの手段になる
融資やビジネスローンの審査ほど審査が厳しくない
ファクタリングの審査は融資やビジネスローンの審査ほど厳しくありません。したがって、審査落ちした経験があるので融資やビジネスローンでの資金調達はあきらめているという方でもファクタリングなら資金調達できる可能性があります。
融資やビジネスローンの審査では申込者の返済能力が審査されます。したがって申込者の返済能力が十分でなければ審査に落ちるでしょう。
一方、ファクタリングでは申込者ではなく売掛先の支払い能力が審査されます。この理由からたとえ申込者の会社が赤字経営や債務超過の状態にあったとしても、売掛債権の対象となっている売掛先の売掛金支払い能力が十分保証されているなら、審査通過が期待できます。
融資やビジネスローンの審査落ちが理由で他の資金調達手段を探しているという方は、売掛債権があるならファクタリングを資金調達手段の1つに加えることをおすすめします。
資金調達を急いでいるときの手段になる
ファクタリングは資金調達を急いでいるときに使える手段になるので、資金調達手段の1つとして持っておくことをおすすめします。
一般的な資金調達手段とファクタリングについて、申込から資金調達できるまでの期間を比較しました。
公的融資(日本政策金融公庫):約1ヶ月
銀行融資(プロパー融資):約1ヶ月
新株の発行:約1ヶ月
社債発行:1ヶ月から2ヶ月
不動産担保ローン:数日から数週間
補助金:約1年
手形割引:最短即日、通常は約1週間
リースバック:2週間から1ヶ月
クラウドファンディング:資金調達完了までの期間は予測が難しい
2社間ファクタリング:最短で即日、通常は2日から3日
3社間ファクタリング:10日から20日
比較からわかるように、ファクタリングは他の資金調達手段と比べると申込から資金調達成功までの期間が短いのが特徴です。特に、2社間ファクタリングでは、売掛先に債権譲渡通知書を送付し売掛債権譲渡に同意してもらう必要がないので、最短で申込したその日に資金を手にすることが可能です。
ファクタリングは急いで資金を集めなければならないというピンチを救うソリューションになります。
一般的な資金調達手段とファクタリングの手数料のまとめ
このコンテンツ記事では一般的な資金調達手段とファクタリングの手数料相場を比較して紹介しました。比較するとわかるようにファクタリングの手数料は他の資金調達手段と比べると割高といえます。
しかし、ファクタリングは審査が融資の審査ほど厳しくないので融資以外の資金調達手段として使える、申込から資金調達完了までの期間が短いので資金調達を急いでいるときに使えるという強みがありました。
資金調達手段を増やすことで、資金不足のピンチを回避したいという会社経営者の方はこの機会にファクタリングを資金調達手段の1つに加えてください。