個人給料のファクタリングとは?仕組みやリスクについて解説
「給料日前に手元のお金がなくなってしまったので前借りしたい」
「個人の給料で契約するファクタリングについて知りたい」
「個人で利用できるファクタリングって本当に安全?」
このように悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
「ファクタリング」とは、企業が保有している売掛金を支払期日の前に資金化できる契約を指すのが一般的です。しかし、なかには個人の給料で申し込めるファクタリングサービスも存在します。
そこでこの記事では、個人の給料で申し込めるファクタリングの仕組みのほか、注意すべきリスクについても解説していきます。知らないとトラブルに巻き込まれる可能性が高いため、個人向けのファクタリングに申し込む前にぜひ本記事をご確認ください。
目次
個人の給料で申し込めるファクタリングの仕組み
通常のファクタリングであれば、支払い前の売掛債権を専門の業者に買い取ってもらうことで早期に資金化することが可能です。ファクタリングサービスを利用することによって、資金繰りの改善などが期待できます。
一方で、個人の給料で申し込めるファクタリングは、個人の「給与債権」(給料を受け取る権利)で契約を行います。これにより、給料日を待たずに給料を受け取ることができるというわけです。そのため、給料を前借りできるサービスと考えてもらって差し支えないでしょう。
お金を借りずに手元の資金を増やせるため、給料日前で生活が苦しいけど借金するのは抵抗があるという方にとって、かなり有用なサービスと言えます。
個人の給料で申し込めるファクタリングの特徴
個人の給料で申し込めるファクタリングにはどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
審査が甘い傾向にある
個人向けのファクタリングサービスは、審査が厳しくないため誰でも利用しやすいのが特徴です。
消費者金融などからお金を借りる場合、基本的に所得証明書や職場への在籍確認が必要になります。また、担保や保証人を用意しなければいけない場合もあるでしょう。しかし、個人向けのファクタリングでは在籍確認などが行われず担保の設定も不要なため、様々な方が申し込めます。
そのため、お金を借りるための審査に落ちてしまったような方でも、給料で申し込めるファクタリングサービスを利用できる可能性が高いです。
原則として勤務先に知られることはない
消費者金融などに借り入れの申し込みをする際、申込者の職場に対して在籍していることを確認する必要があります。そして、貸金業者から連絡がきてしまうことにより、借金について知られてしまうケースが少なくありません。しかし、個人向けのファクタリングであれば、先ほど説明したとおり在籍確認などの審査が行われないため、勤務先に知られずに資金を調達できます。
そのため、資金調達について勤務先に知られたくない場合は、借り入れよりもファクタリングサービスが向いているでしょう。
手数料が高めに設定されている
ファクタリングの取り引きにおいて、手数料は必ず発生します。なかでも個人向けのファクタリングは、通常よりも手数料が高めに設定されやすいので注意が必要です。
個人向けのファクタリングにかかる手数料は、契約金額の20%前後ほどであることが多いですが、なかには30%を超える手数料を設定している悪徳業者も存在します。
また、ファクタリングによって得られるのは給料から手数料が差し引かれた金額となるため、本来受け取れる金額よりも減ってしまう点も押さえておきましょう。
個人の給料で申し込めるファクタリングがNGといわれる理由
個人の給料で申し込めるファクタリングについて、あまり良くないイメージを持つ方もいるかもしれません。実際に、金融庁でも「給与ファクタリングを利用しないでください 」と注意喚起をおこなっています。では、個人向けのファクタリングにどのような問題点があるのか、具体的に見ていきましょう。
ファクタリングではなく貸金に該当するため
これまで紹介してきた通り、ファクタリングは借金とは異なる資金調達方法です。しかし、個人の給料でおこなうファクタリングに関しては、貸金行為とみなされます。
労働者を雇用する企業などは、労働者に直接給料を支払うことが「労働基準法」で義務付けられています。そのため、申込者から給与債権を買い取ったとしても、ファクタリングをおこなう業者が企業から直接資金を回収することはできません。
そのため、通常のファクタリングサービスとは違い、個人向けのファクタリングは実質的に貸し付けしているのと変わらないと判断されます。
貸金業の登録をしていない業者が多いため
先ほどの説明のとおり、個人の給料でおこなうファクタリングは実質的な貸金にあたります。しかし、個人向けのファクタリングサービスを提供する業者のなかには、貸金業の登録をおこなっていない業者も少なくありません。このような違法業者と契約してしまうと、法外な金利や手数料を要求されたり思わぬトラブルに巻き込まれたりする危険性が高いです。
そのため、給与ファクタリングに申し込みたい場合は、利用する業者について十分にリサーチする必要があります。
利息制限法が守られていない可能性があるため
貸金をおこなう場合、「利息制限法」によって以下のように上限金利が決まっており、この基準を超える金利は設定できません。
• 元本10万円未満の場合:上限金利は年20%
• 元本10万円〜100万円未満の場合:上限金利は年18%
• 元本100万円以上の場合:上限金利は年15%
しかし、ファクタリングの契約については利息制限法の適用外です。そのため、「給与ファクタリング」の名を借りて実質的な貸し付けをおこない、利息制限法の基準を超える金利を設定する悪徳業者も存在します。
個人向けファクタリングのサービスに申し込む前に、利息についても必ずチェックしておきましょう。
個人の給料でファクタリングに申し込むリスク
個人の給料でファクタリングをおこなう場合、次に説明するようなリスクもあります。利用を検討している場合は、これから解説する内容を参考にしてみてください。
執拗な取り立てや嫌がらせをおこなう業者も存在する
先ほども少し触れましたが、ファクタリングをおこなう業者は給料を支払う企業などから直接債権を回収できません。そのため、ファクタリングの申込者は受け取った給料を業者に対して速やかに支払う必要があります。その際に支払いが遅れてしまうと、電話や文書などで脅迫的な取り立てをおこなう業者もいます。
それでも返済できない場合は、家族や勤務先に催促の連絡がくることも考えられるでしょう。このような事態に発展すると、周りに多大な迷惑がかかってしまったり仕事を続けるのが困難になったりするので注意が必要です。
一度利用してしまうと途中でやめるのが難しい
給与ファクタリングは厳しい審査がないため、だれでも気軽に始められて便利です。しかしその反面、一度契約してしまうと利用をやめるのが難しく、依存性が高いサービスといえます。
なぜなら、給与ファクタリングでは高い手数料が差し引かれるので、受け取れる給料の金額が少なくなってしまい、翌月以降も利用しないと資金繰りが厳しくなりやすいためです。場合によっては多重債務におちいる危険性もあるため、軽い気持ちで申し込まないようにしましょう。
闇金業界で自身の情報が共有されてしまう
個人向けのファクタリングサービスを取り扱っている会社のなかには、闇金業者も数多く存在します。そのため、安易に契約をおこなってしまうと、氏名や住所、電話番号といった個人情報が闇金業界に流出する可能性が高いです。闇金業界に個人情報が出回ってしまうと、お金に困っている人として認識され、お金に関する怪しい広告や勧誘などをされてしまうことが考えられます。
給与ファクタリングは便利なサービスですが、契約にともなうリスクも高いことを理解しておきましょう。
個人給料のファクタリングでトラブルになった際の相談先
もし個人の給料で申し込めるファクタリングでトラブルが発生したら、自分だけで問題を解決するのは困難です。そのため、次に紹介する相談先への連絡を検討しましょう。
弁護士や司法書士
悪徳業者との間に金銭的なトラブルが起こった場合、まずは弁護士や司法書士へ相談することを検討してみてください。
弁護士・司法書士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。
• 業者からの執拗な督促がなくなる
• 元本の返済に応じる必要がなくなる
• 高額な手数料や利息を払わずにすむ
弁護士や司法書士は、悪徳業者に対して法的措置をとることで適切に対処してくれます。特に闇金関係のトラブルに強い弁護士・司法書士に相談できれば、問題解決がスムーズでしょう。
警察
悪徳業者からの脅迫や器物破損・暴力行為などに困っている場合は、警察に相談しましょう。給与ファクタリングに申し込んだという事実だけでは動いてくれない可能性が高いですが、事件性がある場合は警察に連絡するのが有効です。
また、警察に相談する場合は、電話の音声や送られてきた文書などの証拠を持参することで、トラブルが早く解決する可能性が高まります。
日本貸金業協会
日本貸金業協会では、以下の3つの相談窓口を設けています。
• 一般相談:サービスを利用する前の不安要素などを相談できる
• 債務相談:債務に関する助言や情報提供などをおこなう
• 苦情処理:業者に対しての苦情を受け付ける
個人向けのファクタリングに関して全般的に相談できるので、弁護士などに相談するのはハードルが高いと感じる方は日本貸金業協会に連絡してみるのも良いでしょう。
金融庁
金融庁には「金融サービス利用者相談室」という専門の相談窓口があります。
悪徳業者と直接交渉してもらえるわけではありませんが、給与ファクタリングをふくむ金融サービス全般について相談できます。ファクタリングサービスを利用する前でも相談に乗ってもらえるため、不安な場合は金融庁の相談窓口に事前に連絡してみるのも一つの手です。
個人の給料で申し込めるファクタリングについてのまとめ
個人の給料で申し込める「給与ファクタリング」は、厳しい審査がなく利便性が高いサービスといえます。しかし、金融庁で注意喚起している通り悪徳業者が多く、サービスの利用には注意が必要です。もしもトラブルに発展したら、弁護士や警察などに相談することも検討しましょう。
本記事の内容を参考にして、個人向けのファクタリングサービスに申し込むべきか十分に検討してみてください。