オンラインファクタリングに潜むデメリットには何がある?接触型よりオンラインサービスをおすすめするケースを紹介
オンラインファクタリングは、ファクタリング事業者のスタッフや担当者と直接的な接触なしで、申込から入金までのサービスを受けることができるのがオンラインファクタリングです。
オンラインファクタリングに関心がある会社経営者の中には、利用を検討するにあたりオンラインファクタリングに潜むデメリット、利用上の注意点を知っておきたいという方がいらっしゃいます。
そこで、オンラインファクタリングについて知識を深めていただくために、この記事では次の点を取り上げます。
オンラインファクタリングのデメリットや利用する際の注意点
接触型よりオンラインによるサービスの選択を推奨するケース
オンラインファクタリングに興味がある、自社のニーズにふさわしい資金調達手段を探しているという方はこの記事を参考にしてください。
目次
オンラインファクタリングの定義
一般社団法人オンライン型ファクタリング協会(OFA)はオンラインファクタリングについて次のように定義しています。
“中小企業や個人事業主が保有する売掛債権(入金待ちの請求書)をオンライン上で売却できるサービスのことを指します。今後様々な特長を持ったサービスの登場が期待される分野であり、現時点で厳密な定義を定めてはおりません。”
※引用:オンライン型ファクタリング協会
この定義からわかるように、オンラインでファクタリングにまつわる申込や書類提出、契約などができるサービスを一般的にはオンラインファクタリングと呼んでいます。オンラインファクタリングはクラウドファクタリングと呼ばれることもあります。
ファクタリングサービスが登場した当初は、ファクタリング事業者の担当者と直接やり取りし、書類提出や審査、契約をおこなうのが一般的でした。
コロナ禍以降、非接触型サービスの需要が高まり、様々な業界・業種でオンラインでのサービス提供を開始するところが増えました。
ファクタリング業界もその影響を受けて非接触型サービスであるオンラインファクタリングが増加しているわけです。
オンラインファクタリングにおける手続きの方法
一般的にオンラインファクタリングでは、次の手続きが非接触でおこなえます。
申込
書類提出
審査
審査結果の通知
契約
入金
ファクタリング事業者への回収した売掛金の引き渡し
申込はファクタリング事業者の公式サイト内にある専用申込フォーム、公式アプリなどからおこないます。
必要書類の提出は書類をデータの形でパソコンやスマホに取り込みそれをアップロードする形式です。
オンラインファクタリングでは基本的に担当者と面会しておこなう審査はありません。AIによる審査を採用しているところもあり、そうした事業者の場合審査結果の通知が通常の接触型のサービスより早く、判断にブレがないのが特徴です。
審査結果の通知は登録したメールアドレス宛に通知されます。
オンラインファクタリングでは電子契約が使われるので、担当者と対面して契約内容について説明を受ける、契約書に押印し署名するといった作業がないのが特徴です。
オンラインファクタリングのデメリットや利用上の注意点
オンラインファクタリングはすべての手続きが非接触でおこなえるのでとても便利です。
一方でオンラインサービス特有のデメリット、利用上の注意点などがあるので、利用する際にはデメリットや注意点を事前に把握しておいてください。
オンラインファクタリングのデメリットや注意点は次の通りです。
専用ソフトが必要なことがある
ITリテラシーがある程度必要
担当者と直接顔を合わせることがない
審査での臨機応変な対応は期待できない
売掛金を回収しファクタリング事業者に引き渡す
すべての手続きがWeb上で完結できない場合がある
環境や時間帯によってはサービスが利用できないことがある
メールアドレスを正確に登録しないとサービスが利用できない
専用ソフトが必要なことある
オンラインファクタリングを利用するために専用ソフトの購入、インストールが必要な場合があります。これがデメリットの1つです。
オンラインファクタリングでは審査に必要な書類を、ファクタリング事業者の指定するファイル形式でパソコンやスマホからアップロードします。
したがって、提出書類をスキャナーでパソコンに取り込む、スマホのカメラで撮影するという方法でデータ化することが必要です。そして、データ化した書類をアップロードします。
そのために場合によってはパソコンに専用ソフトをインストールしなければなりません。専用ソフトが必要であればその購入費用やインストールの作業が必要です。
ある程度ITリテラシーが必要
オンラインファクタリングはある程度ITリテラシーがないと利用するのが難しいというのがデメリットです。
対面式で提供されるサービスであればパソコンやスマホの操作が苦手という方でも問題なく申込ができます。
一方、オンラインファクタリングは書類提出や電子契約システムを利用した契約などはオンラインでの作業です。
したがって、パソコンやスマホに書類を取り込む、アップロードするという作業に不慣れな方は、オンラインファクタリングを利用するのはハードルが高いと感じるでしょう。
さらに電子契約についても経験がなければ難しいと感じる方がいらっしゃいます。たとえば、電子契約では複数のウィンドウやタブで電子契約システムを同時に起動させ操作をするとエラーが発生することがあります。
このように、オンラインファクタリングの手続きではある程度ITリテラシーが必要とされる点がデメリットです。申込者がパソコンの使用や電子契約に慣れている方なら問題ありませんが、そうでない場合はITの知識がある方にサポートを依頼してください。
担当者と直接顔を合わせることがない
非接触型のオンラインファクタリングは、担当者に直接何かを相談するのが難しいという点がデメリットです。
接触型サービスのファクタリングを利用した経験があれば、相談や質問の機会がないオンラインファクタリングでも問題ありませんが、ファクタリング自体の利用経験がないという方は不安を感じるでしょう。
したがって、以下の点について質問や相談があれば、オンラインではなく接触型のサービス提供事業者を選んでください。
ファクタリングとはどのような資金調達方法なのか?
ファクタリングのメリット・デメリットには何がある?
ファクタリング手数料はどのようにして決まる?
売掛先への債権譲渡通知は必ず必要?
売掛金は誰がどのように回収する?
ファクタリング利用後の資金繰りについて相談したい
担当者と直接会って話をしたい、申込や書類提出についても担当者のサポートが必要という方は、オンラインファクタリングよりも接触型サービスのファクタリングを利用することをおすすめします。
一方で、オンラインファクタリングを扱う事業者には公式サイトの「よくある質問」というページでお客様からの質問に回答しているところがあります。必要とする情報をそこから入手することもできるでしょう。
さらに、電話やメールでの事前問い合わせに対応しているオンラインファクタリングの事業者もあるので、不明点や利用について相談したいことがあれば問い合わせサービスを提供しているところを使うことも可能です。
審査での臨機応変な対応は期待できない
オンラインファクタリングでは担当者と直接顔を合わせておこなう審査はありません。審査にAIを採用しているところもあります。
したがって、対面式の審査であるような臨機応変的な対応、申込者の事情を考慮した情状酌量的な措置を期待することはできない点がデメリットです。
売掛金を回収しファクタリング事業者に引き渡す
オンラインファクタリングでは基本的に申込企業が売掛先から売掛金を回収しそれをファクタリング事業者に引き渡すという点に注意してください。
ファクタリングの契約形式には3社間方式と2社間方式がありますが、オンラインファクタリングは2社間方式による契約が主流だからです。
ファクタリングは債権譲渡契約なので契約締結の時点で債権者は申込企業からファクタリング事業者に移転します。したがって、売掛金の回収はファクタリング事業者が自身でおこなうのが原則です。
しかし、2社間方式は売掛先への債権譲渡通知なしでの契約になるので、ファクタリング事業者が売掛先に自社の口座に売掛金の振込先を変更するように求めることはありません。
売掛金回収は、ファクタリング事業者が申込企業に回収業務を委託する契約を交わし、業務委託するという形式でおこないます。
こうした理由から、オンラインファクタリングの2社間方式なら、これまで通り売掛先から売掛金を回収してから、それを一括でファクタリング事業者に引き渡す業務がある点に注意してください。
すべての手続きがWeb上で完結できない場合がある
オンラインファクタリングを利用してもすべての手続きをWeb完結できない場合があります。この点もオンラインファクタリングのデメリットの1つです。
たとえば、事業者によっては以下の理由でオンラインではなく、面談や電話で手続きを進める場合があります。
初回利用の場合は担当者との面談が必須
審査に必要な調査として電話によるヒアリングを実施している
契約は書面でおこなう
オンラインファクタリングを利用する際には、すべての手続きがWeb完結できるかどうかを確認してください。
環境や時間帯によってはサービスが利用できないことがある
インターネット接続が不安定な場所、通信障害が起こっている時間は、オンラインファクタリングの申込はできないという点がデメリットです。
さらに、ファクタリング事業者が利用している電子契約システムがメンテナンス作業を実施することがあります。メンテナンス作業が実施されている時間帯はサービスが利用できない点に注意してください。
メールアドレスを正確に登録しないとサービスが利用できない
オンラインファクタリングでは間違いなくメールアドレスを記入し登録しなければならない点に注意してください。登録メールアドレスが違っていればサービスが利用できなくなる点がデメリットです。
たとえば、審査結果の通知は登録されたメールアドレスに送信されます。さらに、電子契約ではメール認証システムを採用しています。
メール認証システムは、登録されたメールアドレスにURLが記載されたメールを送信し、契約者はそのURLから契約書ファイルにアクセスして電子署名を付与するものです。
オンラインファクタリングでは正しいメールアドレスの登録が物事をスムーズに進めるためのポイントになるので、間違いなく登録するようにしてください。
オンラインファクタリングの持つメリット
オンラインファクタリングにはいくつかのデメリットがありますが、それを補って余りあるメリットがあります。
オンラインファクタリングのメリットとして代表的なものは次の通りです。
申込から資金調達達成までの期間が接触型サービスより短い
提出書類が接触型サービスより少ない
手数料が接触型サービスより安い
印紙代・切手代・交通費のコストカットができる
時間と場所を問わずに申込できる
ファクタリングについて、対面式かオンラインかのどちらかで迷っているならオンラインファクタリングのメリット・デメリットを比較してから判断することをおすすめします。
申込から資金調達達成までの期間が接触型サービスより短い
オンラインファクタリングは接触型のファクタリングより申込から資金調達達成までの期間が短いです。
対面式サービスの場合、申込から資金調達完了までのおおよその期間は次の通りです。
3社間方式:10~20日
2社間方式:2~3日
オンラインファクタリングの場合2社間方式がほとんどなので、遅くとも申込から2,3日での資金調達が可能です。
即日審査・即日入金対応のオンラインファクタリング事業者を使えば、さらに申込から資金調達までの期間を短縮できます。
提出書類が接触型サービスより少ない
接触型のファクタリングサービスとオンラインファクタリングを比較すると、オンラインファクタリングの方が提出書類は少ないのです。したがって提出書類の準備に時間や手間がかかりません。
一般的に接触型サービスでは、以下の提出書類が必要です。
決算書
売掛先との取引基本契約書
見積書・発注書・請求書・納品確認書など
通帳のコピー
登記簿謄本(法人)・開業届(個人事業主)
本人確認書類
印鑑証明書
オンラインファクタリングの提出書類は以下の通りです。
請求書
取引の証拠となる通帳のコピーや取引先担当者とやり取りしたメールの内容など
本人確認書類
時間をかけずに申込をしたいという方にはオンラインファクタリングを推薦します。
接触型のサービスより手数料の相場が低い
オンラインファクタリングは接触型のファクタリングより手数料の割合が低い点がメリットです。
オンラインファクタリングは、オフィスや拠点をいくつも構えてビジネスをおこなう必要がないので人件費、賃料や維持費などのコスト削減ができます。
こうした特徴を活かし、オンラインファクタリングのサービス提供事業者は、コスト削減で浮いたお金について手数料を低く設定するという形で利用者に還元しているわけです。
ちなみに、接触型・オンラインファクタリングにおける手数料の相場は以下の通りです。
2社間ファクタリング(接触型):10%~20%
3社間ファクタリング(接触型):1%~9%
オンラインファクタリング(2社間方式):2%~12%
印紙代・切手代・交通費のコストカットができる
オンラインファクタリングを使えば印紙代や切手代、交通費のコストカットが可能です。
接触型サービスでは紙の契約書が使用されるので収入印紙の貼り付けが義務化されています。しかしオンラインファクタリングの電子契約では収入印紙の貼り付けは不要です。
ちなみに、ファクタリングは債権譲渡契約なので、記載された契約金額が1万円未満なら非課税で1万円以上なら200円の収入印紙を貼り付けます。
※参照:国税庁
印紙代そのものは少額ですが、ファクタリングの利用回数が増えれば、印紙代のコストも無視できません。少額でもコストカットできるのはメリットです。
紙の契約書を郵送でやり取りする場合、郵便代が必要です。普通郵便で送付することもできますが、トラブルを避けるため特定記録郵便や簡易書留で郵送するなら、普通郵便よりも代金がかかります。
さらに、接触型サービスでは、担当者に自社のオフィスに来てもらい契約することがあります。その場合、ファクタリング事業者によっては出張費や交通費を請求するところがあります。
申込者がファクタリング事業者のオフィスで契約する場合も交通費は必要です。
オンラインファクタリングにすれば、契約の際にファクタリング事業者の担当者と会う必要がないので出張費や交通費のコストカットができます。
時間と場所を問わずに申込できる
オンラインファクタリングのサービス提供事業者は基本的にサービスエリアを国内であればどこからでも利用可能としています。
また申込時間についても24時間365日対応のところが多いです。
このように、オンラインファクタリングは基本24時間全国どこからでも申込できます。
対面式よりもオンラインサービスをおすすめするケース
オンラインファクタリングのメリット・デメリットを踏まえると、次のケースでは対面式よりもオンラインのサービスがおすすめです。
今日明日中に資金が必要
自社の近くにファクタリング事業者がない
売掛債権の額が少額
今日明日中に資金が必要
オンラインファクタリングでは即日審査・即日入金に対応している事業者がいくつもあるので今日明日中に資金が必要というケースで利用できます。
たとえば、取引先から急な支払いの請求が来たが、手元にある資金に余裕がないので資金を調達したいといったケースです。
今日明日中に資金が必要で、入金期日前の売掛債権があるならオンラインファクタリングを推奨します。
自社の近くにファクタリング事業者がない
地方にオフィスを構えている企業や個人事業主の場合、自社の近くにファクタリング事業者がなくて悩んでいる方がおられます。
さらに、手数料のコスト削減などのために乗り換えを検討しているが乗り換えの対象になる他の事業者が他にないという方もいらっしゃるでしょう。
オンラインファクタリングなら、オフィスの場所に関係なく基本的に日本全国どこからでも申込が可能です。
自社の近くにファクタリング事業者がない、ファクタリング事業者の乗り換えを検討しているという方はオンラインファクタリングを推奨します。
売掛債権の額が少額
少額の売掛債権は、基本的に大手のファクタリング事業者ではファクタリングできません。一方でオンラインファクタリングのサービス提供事業者の中には、数万円、数十万円の少額債権の買取にも対応しているところがあります。
少額債権を資金調達の資財に使いたいという要望があればオンラインファクタリングがぴったりのサービスです。
接触型サービスとオンラインファクタリングの併用はできる?
接触型のファクタリングサービスとオンラインファクタリングを併用することは可能です。オンラインファクタリングを使い始めたなら、それをずっと使い続けなければならないわけではありません。
接触型とオンラインのサービスを、債権の額面や自社のニーズに応じて使いわけることができます。
ただし、すでにA社に債権譲渡した売掛債権をB社に譲渡するなら二重譲渡・多重譲渡に該当し重大なペナルティを課されるだけでなく、犯罪になる可能性があるので、十分に注意してください。
オンラインファクタリングのデメリットについてのまとめ
オンラインファクタリングは手続きがWeb上で完結できる便利なサービスです。しかし、利用前に把握しておくべきデメリットや注意点もいくつかありました。
たとえば、申込に専用ソフトが必要なことがある、ITリテラシーがある程度必要、すべての手続きがWeb上で完結できないところがあるといった点がデメリットでした。
オンラインファクタリングにはいくつかのデメリットが潜んでいますが、申込から資金調達達成までの期間が短い、手数料の割合が低い、時間と場所を問わずに申込できるというメリットもあります。
メリット・デメリットを比較し、オンラインファクタリングが自社のニーズに対応しているのであれば、そちらでの資金調達をぜひ検討してください。