ファクタリングは通帳がなくても契約可能?最低限必要な書類やネットバンクで契約する方法をご紹介
ファクタリングの契約には、最低限必要な書類がいくつかあり、通帳のコピーは必須書類の1つです。ファクタリングは融資とは異なり審査の緩い傾向があるものの、必要書類がそろっていないと審査に通過できません。
とくに、通帳のコピーは、売掛先・売掛債権の存在を示す根拠としても重要です。しかし、ネットバンクには通帳が存在しないため、ファクタリング契約ができるのか気になります。本記事では、ファクタリング契約に最低限必要な書類や、ネットバンクで契約する方法をご紹介します。
目次
ファクタリング契約に最低限必要な書類
ファクタリング契約で求められる必須書類は次の通りです。
●身分証明書
●通帳のコピー
●売掛金の証明資料
身分証明書
ファクタリングの審査で使用できる身分証明書には、運転免許証やパスポート、健康保険証、マイナンバーカードなどがあります。とくに個人事業主やフリーランスの場合、顔付きの身分証明書を求められるのが一般的です。
そのため、2種類以上の身分証明書を用意しておくと安心でしょう。また、有効期限が過ぎていると無効になるため、有効期限内の身分証明書を使用することが大切です。
通帳のコピー
通帳のコピーは、ファクタリング業者が取引履歴や売掛債権の存在を確認するために必要です。通帳がなければ、請求書があっても審査を通過できません。審査に提出する通帳コピーは、過去3か月以内の取引および入金履歴が含まれていることが望ましいでしょう。
売掛金の証明資料
ファクタリング契約では、売掛金の証明資料が必須です。ファクタリング業者は、取引の実在性を確認したり、信用リスクを評価したり、不正を防止したりするためにこれらの資料を必要とします。売掛金の証明資料には、請求書や発注書、納品書、個別契約書などです。
これらの書類は取引先との金銭のやり取りを証明し、審査の合否に影響を与えます。直近3か月以内で最も信頼性が高く、長期にわたって取引がある売掛先の売掛金証明資料を準備しましょう。
ネットバンク利用で通帳がない場合などのファクタリング契約
ファクタリング契約では、基本的に通帳のコピーが必要です。では、ネットバンクを利用して通帳がない場合など、どのように対処すればよいのでしょう。一般的な対処法は次の通りです。
●通帳のコピーができない場合
●現金取引の場合
●通帳コピーを出したくない場合
通帳のコピーができない場合
個人事業主やフリーランスであっても、事業において金銭のやり取りをする際は、銀行を通じて行うのが一般的です。そのため、銀行口座を持っていないというケースは考えにくいでしょう。
ネットバンクの場合は、銀行口座は持っていても通帳は存在しません。ネットバンクを使用していてコピーが取れない場合は、ネットバンキングの入出金ページのスクリーンショットで対応可能です。通帳コピーの代わりに、スクリーンショットを準備しておくと良いでしょう。
現金取引の場合
銀行口座を持っていても、売掛先とのやり取りを現金で行っている場合、通帳で入出金の確認はできません。そのため、通帳のコピーを提出できないでしょう。現金取引の証拠書類を残していれば対応可能な業者もあるかもしれませんが、現実的には現金取引のみはファクタリングができないと考えるべきです。
資金調達方法としてファクタリングを選択肢に入れているのであれば、売掛先との現金取引を銀行振り込みに変更するのが賢明です。
通帳コピーを出したくない場合
なんらかの理由で通帳コピーを出したくない場合、通帳を偽造して審査を受けようとするケースも見られます。しかし、通帳を偽造してファクタリング審査を受けることは違法であり、見つかると刑事罰を受けることもあるのです。
とくに、3者間ファクタリングでは偽造が確実に発覚します。審査書類を提出する際には、通帳の偽造は絶対に避けましょう。
通帳なしのファクタリングが難しい理由
通帳コピーはファクタリングにおいて審査の判断基準となる大切な資料であり、通帳なしでファクタリングを利用するのは厳しいでしょう。柔軟な対応をするファクタリング業者もありますが、基本的には代替資料での対応は期待できません。
まともな会社であれば通帳コピーを提出できるのが普通で、提出できないとファクタリング会社も不自然と考え、ファクタリングを拒否します。通帳なしのファクタリングが難しい理由は、次の通りです。
●詐欺のリスクが高まる
●売掛先の支払い能力を把握できない
●採算を把握できない
●違法業者のリスク
詐欺のリスクが高まる
ファクタリング会社が最も警戒するのは、利用会社による詐欺です。とくに多いのが架空債権詐欺で、実在しない売掛金をファクタリングするケースです。
他にも、売掛金を複数のファクタリング会社に売却する二重譲渡や、倒産予定の売掛先と共謀して多額の売掛金を発生させて、ファクタリング後に倒産させる計画倒産などの詐欺行為があります。このような詐欺にひっかかると、ファクタリング業者は買取代金の回収ができず、損失を被ってしまいます。
そのため、ファクタリング会社は初回利用の会社に対し、詐欺防止のための審査が必要です。通帳コピーで過去数か月分の入出金明細を確認することで、売掛先の支払い状況を把握し、架空債権のリスクを低減できます。
売買基本契約書や請求書だけでは偽造の可能性があるため、通帳の入金明細が重要になるのです。これにより、実在する売掛先からの入金が確認でき、架空債権でないことが証明されます。通帳がないとこの確認ができず、ファクタリングは不可能です。
売掛先の支払い能力を把握できない
ファクタリング審査の目的は詐欺防止だけでなく、売掛先の支払い能力を評価することも含まれます。通帳がないと、売掛先の支払い状況が把握できず、契約通りに支払いが行われているか確認できません。
たとえば、支払い期日に遅れずに支払われていると通帳で確認できると、支払い能力が高いと判断できます。支払いを行っていても、毎回期日通りに支払っているのと、期日の数日遅れで支払っているのとでは、支払い能力が違ってきます。したがって、通帳なしではファクタリングの可否を適切に判断できないのです。
採算を把握できない
ファクタリング審査で不可と判断された場合手続きは終了し、可能と判断された場合のみ条件を決定します。契約の条件はリスクとリターンのバランスを考慮して決まりますが、通帳なしではリスクが不明で条件を決められません。
リスクとは主に売掛金の回収不能リスクを指し、これを評価するには売掛先の支払い能力を把握することが必要です。通帳なしでは支払い状況がわからず、回収不能リスクを測れません。そのため、ファクタリング会社は通常、通帳がない場合は取引をしないのです。
違法業者のリスク
一部の企業は通帳がなくてもファクタリングを提供していますが、通常は通帳の提出が必要です。通帳なしでファクタリングを行うことは一般的に困難であり、そのような場合は特別な条件が必要とされます。通帳がなくてもファクタリングを受けられる場合、違法業者の可能性も考慮すべきです。
通帳なしでファクタリングを利用するデメリット
通帳なしでファクタリングを利用するデメリットは、次の通りです。
●審査が長引く
●通帳の代替となる書類が必要
●手数料が高い
●償還請求権が付いている
審査が長引く
ファクタリングの審査を通帳なしで受けると、審査通過が難しくなり、通常よりも時間のかかる可能性が高くなります。このため、通帳なしの状況では、ファクタリングのメリットである審査通過のしやすさや、資金調達スピードが損なわれる可能性があります。急ぎで資金調達が必要な場合は、通帳なしで契約できるファクタリングは避けるのが良いでしょう。
通帳の代替となる書類が必要
通帳が提出できない理由としては、現金取引などがあげられます。しかし、取引実績や支払いの証明が必要な場合、売掛債権や売掛金を通じて過去の取引を証明する書類が必要です。通帳の代わりとなる書類を準備する必要があり、その準備に手間や時間がかかってしまいます。手間を考えると、現金取引をやめて、銀行経由で取引するのが効率的です。
手数料が高い
大手のファクタリング業者は、銀行通帳がない場合取引を受け付けませんが、中小規模の業者は取引を確保するために応じることがあります。その際、高い手数料を要求されることが一般的で、未回収リスクが増す場合でも、手数料を増やすことでリスクを相殺します。したがって、銀行通帳がないと、手数料が高いことが多いでしょう。
償還請求権が付いている
通帳なしで契約できるファクタリングを利用するデメリットは、償還請求権の付いているケースが多いことです。償還請求権付きのファクタリングでは、売掛先が倒産してもファクタリング業者はリスクが少なく、銀行通帳がなくても取引できます。しかし、利用者にはリスクがあり、売掛先が倒産した場合、未回収金を返済しなければなりません。
ネットバンクを活用したファクタリング契約についてのまとめ
通常、ファクタリング契約では通帳のコピーが求められるものの、ネットバンクを利用することも可能です。ネットバンクには通帳が存在しないため、代わりに入出金ページのスクリーンショットが使用されます。
近年では、多くの企業がネットバンクを介して売掛先との取引を行っており、通帳コピーにこだわる必要性が低下しています。一部のファクタリング業者は通帳コピーなしでの契約を受け付けていますが、その場合には慎重にデメリットを考慮する必要があるでしょう。