建築業の資金調達にはファクタリングがおすすめーファクタリングの導入効果、推奨するサービスを紹介
建築業を営む会社は「支払いに充てる資金が不足する」「次の案件受注に必要な資金が足りない」といった資金繰りの悩みを抱えることがあります。資金繰りの悩みを持つ建築業者におすすめの資金調達手段がファクタリングです。
建築業者の経営者の中にはファクタリングの意味をよく知らない、ファクタリングを使った経験がないという方がいらっしゃいます。
そこで、この記事では以下の点について紹介します。
建築業者が資金繰りの悩みを持つ理由
ファクタリングの仕組み
建築業者がファクタリングを導入する効果
建築業者におすすめのファクタリングサービス
建築業者がファクタリングを導入する際の注意事項
目次
建築業者が資金繰りの悩みを持つ理由
建築業者が資金繰りに悩みを持つ理由としては次の点が挙げられます。
入金までの期間が長い
先行支出が多い
融資が受けにくい
入金までの期間が長い
建築業者が資金不足になる原因の1つが、工事開始から入金までの期間が長いという点です。建築・建設業における契約は「請負」が一般的で、請負契約では請求は工事の完成後になります。
工期が長くなれば入金の時期は遅くなります。さらに、請負した工事を下請けや孫請けに流せば、情報共有のために時間がかかり、それも入金を長く待つ理由となります。
工事終了後に請求書を送付するわけですが、建築業において請求書送付から入金までの期間は、通常2~4ヶ月と入金までの期間が他の業界よりも長いのが特徴です。
入金を待つ期間が長ければ、その期間に支払いが来た場合、手元にある資金に余裕がないので支払いに充てるお金が足りないという問題が起こります。
先行支出が多い
建築業者が資金繰りに悩みを持つ別の理由は、工事を受注してからの先行支出が多い点です。工事代金の請求・入金より前に、工事に必要な重機や設備などのレンタル費、仮事務所などの設置費用、材料費、外注費などを支払わなければなりません。
つまり、ある程度手元に資金がなければ、次の工事の受注ができないわけです。
すでに完成した工事の入金を長く待つ状態が続けば、手元にある資金に余裕がないので、次の工事の受注に必要な資金が不足するということが起こります。
融資が受けにくい
建築業が資金繰りの悩みを持つ別の理由は融資が受けにくいという点です。
建設・建築業向けの短期融資に工事引当融資があります。これは工事に必要な経費を短期間借入するもので、工事代金入金後に返済します。しかし、資金使途は工事に必要な経費の支払のみなので、工事を受注していなければ申込ができません。
他の方法は、銀行や日本政策金融公庫の長期融資です。これらは書類作成や審査に時間と手間が必要であり、申込から資金調達完了までにおよそ1ヶ月程度かかります。
自ら現場で仕事をすることが多い建築業の経営者は時間と手間をかけずにスピーディーに資金調達したいというニーズがあります。さらに急ぎの資金調達が必要というケースがあります。したがって、金融機関への融資申込はこうしたニーズを満たすことができません。
また、長期融資の申込には保証人や担保が必要なケースがありますが、建築業者の中には担保となるような不動産を所有していないというところがあるでしょう。
建築業を営む会社には業界特有の資金繰りの悩みがあります。こうした建築業者の資金繰りの悩みを解消できる方法の1つがファクタリングです。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングとは会社が保有する入金期日前の売掛債権をファクタリング事業者に買取依頼し、会社はその買取代金から手数料を引いたものを受け取ることで、売掛債権を入金期日前に資金化できるサービスです。
売掛債権とは、商品やサービスを提供した会社が売掛先から代金を回収できる権利を指します。売掛金は売掛債権の1種類です。
建築業者にとって売掛金回収の対象となる売掛先は、工事の注文主や元請け会社などです。直接工事を請負した場合は注文主、下請け会社として元請けから工事を請け負った場合は、元請け会社から代金を回収します。
必要書類を提出し申込する
ファクタリングは売掛債権譲渡による資金調達です。しかし、売掛債権は小切手や手形のように紙の証書がありません。したがって、利用者は、売掛債権が存在しその金額や入金期日が本物であること、売掛先に支払い能力があることをいくつかの書類を提出することで証明する必要があります。
一般的にファクタリングの申込で必要な書類は以下の通りです。
売掛先との取引基本契約書
請求書・見積書・発注書・請求書・納品確認書など
決算書もしくは試算表
通帳のコピー(売掛金の入金履歴がわかるもの)
登記簿謄本(法人)もしくは開業届(個人事業主)
本人確認書類
印鑑証明書
納税証明書
ファクタリングの提出書類は基本的にすぐ準備できるものばかりです。融資の申込に必要な事業計画書は含まれません。したがって、融資よりも簡単に申込が可能です。
ファクタリング事業者は提出された書類やヒアリングの内容などを参考に審査をします。ファクタリングの審査では売掛先の支払能力が重要なポイントです。したがって、利用者の経営状況が芳しくなくても売掛先の支払能力に問題なければ、ファクタリング事業者は審査に通し売掛債権を買取してくれます。
建築業者がファクタリングを導入する効果
建築業を営む会社がファクタリングを導入すれば次の効果が得られます。
工事代金の入金サイトが短縮できる
工事代金の入金遅れ・未入金のリスクに備えられる
負債にならない
保証人・担保なしで申込できる
工事代金の入金サイトが短縮できる
建築業者がファクタリングを導入する効果の1つが、工事代金の入金サイト(請求書発行から入金までの期間)が短縮できるという点です。
建築業界の特徴として請求書送付から入金まで2ヶ月以上かかるケースがあります。
ファクタリングを導入すれば入金サイトが短縮できるので手元にある資金に余裕が生まれます。手元資金に余裕があるので、取引先への支払いに十分対応できます。
さらに、次の案件受注に必要な設備・材料などの確保にその資金を充てることが可能です。
工事代金の入金遅れ・未入金に備えられる
建築業者がファクタリングを導入する別の効果は工事代金の入金遅れ、未入金に備えられる点です。
工事が完成しても工事代金の入金が遅れる、未入金になるなら、建築業者は売上があっても支払いができないことで会社が倒産する黒字倒産の危機に直面します。
ファクタリングを導入すればファクタリング事業者が売掛債権を買取してくれるので、工事代金の入金遅れ、未入金の心配がなくなります。
仮にファクタリングで資金調達した後に、売掛先が倒産し工事代金が回収できなくなりファクタリング事業者が損害を被るとしても、利用者はその損害について肩代わりする必要はありません。
ファクタリングの契約は基本的に償還請求権なしの契約だからです。償還請求権なしの契約ならば仮に売掛金回収不能となったとしても、ファクタリング事業者が元の債権者である利用者に損害の肩代わりを求めることはできません。
負債にならない
建築業者がファクタリングを導入することで得られる別の効果は負債にならないという点です。銀行やノンバンクから借入をして資金調達すれば、毎月の金利負担や返済義務が生じます。
しかし、売掛債権を譲渡するファクタリングはお金の貸し借りではないので負債にはなりません。したがって毎月の金利負担や返済義務もないです。
これ以上会社の負債を増やしたくないという建築業者は、ファクタリングでの資金調達をお考え下さい。
保証人・担保なしで申込できる
ファクタリングの別の導入効果は保証人・担保なしで申込できる点です。
融資の場合、金融機関は万が一債務者が債務不履行になった場合に融資した金額を回収できるように保証人や担保を求めることがあります。
一方ファクタリングはお金の貸し借りではありません。ファクタリング事業者は利用者にお金を貸すわけではないので、申し込みの際に保証人・担保を用意する必要はありません。
担保が用意できないので銀行融資が利用できないという悩みがあれば、ファクタリングでの資金調達を検討できます。
建築業者におすすめするファクタリングサービスの種類
ファクタリングサービスにはいくつもの種類があります。特に以下のサービスは建築業者におすすめのサービスです。
オンラインファクタリング
注文書ファクタリング
建設・建築業特化型のファクタリング
オンラインファクタリング
建築業を営む会社におすすめのサービスがオンラインファクタリングです。オンラインファクタリングは申込・書類提出・審査・契約といったファクタリングにまつわる手続きがオンラインのみで完結できます。
オンラインファクタリングの特徴は以下の通りです。
提出書類が少ない
即日審査・即日入金に対応している
時間・場所を問わずに申込できる
オンラインファクタリングは申込や審査を対面式でおこなうファクタリングより提出書類が少ないです。基本的には以下の書類を提出すれば申込ができます。
請求書
売掛金の入金履歴がわかる通帳のコピーもしくは売掛先とのメール
本人確認書類
オンラインファクタリングのサービス提供事業者の中には申込日に即日審査、審査結果の即日通知、即日入金に対応しているところがあります。今日明日中に資金が必要という場合は、オンラインファクタリングで即日審査・即日入金対応の事業者を選べます。
オンラインファクタリングは、ネット環境とパソコンやスマホがあればいつでも、どこからでも申込ができるのが特徴です。さらにサービス対応エリアを日本全国にしているので、自社の近くに対面式で申込する事業者がないという方も申込できます。
オンラインファクタリングは、自分も現場で働くことが多い建築業者の経営者にとって、時間と手間をかけずに申込ができるのでとても便利なサービスです。
注文書ファクタリング
建築業を営む会社におすすめする別のサービスは注文書ファクタリングです。
注文書ファクタリングは、ファクタリング事業者に注文書を基本的な証拠として将来債権(将来発生する売掛金)の買取を依頼しそれを現金化するサービスです。
通常のファクタリングと注文書ファクタリングの違いは以下の通りです。
通常のファクタリング:商品やサービスの納品後に発行する請求書を基本的な証拠として売掛債権の買取依頼をする
注文書ファクタリング:商品やサービスの納品前に発行される注文書を基本的な証拠として将来債権の買取依頼をする
この違いからわかるように、建築業者が注文書ファクタリングを導入すれば次の効果が得られます。
工事を受注した後に資金調達が完了する
通常のファクタリングを導入した場合よりもさらに工事代金の入金サイトが短縮できる
通常のファクタリングは工事が完成し請求書を発行してからでなければ申込できません。一方、発注書ファクタリングは発注書を受け取った段階で申込が可能です。
注文書ファクタリングは、通常のファクタリングを利用した場合より大幅に工事代金の入金サイトを短縮できます。これにより受注した工事に必要な先払いの分を注文書ファクタリングで得た資金で賄うことが可能です。
さらに、手元資金に余裕が生まれるので、その資金を次の案件を受注するための資金として確保することができます。
ただし、注文書ファクタリングは通常のファクタリングより手数料が高い、審査が厳しいという点に注意してください。
建設・建築業特化型のファクタリング
建築業を営む会社におすすめのサービスが建設・建築業特化型のファクタリングです。ファクタリング事業者は基本的に業界・業種を問わず申込を受け付けています。しかし、一部の事業者においては特定の業界・業種に特化してファクタリングサービスを提供しているところがあります。
建設・建築業特化型の事業者の多くが、スタッフに建設・建築業経験者を採用しています。
そうしたスタッフがいる事業者なら業界独自の資金繰りの悩みについて理解しているので、自社の資金繰りについて最適な提案をしてもらえるといったサポートが期待できます。
建築業者がファクタリングを導入する際の注意事項
ファクタリングを利用する際の注意事項は、2社間ファクタリングで契約した場合、利用者は資金調達完了後に、売掛先から売掛金を回収しそれをファクタリング事業者に渡す責任があるという点です。
この点に注意せずファクタリングで資金調達すれば、会社の経営状況がさらに悪化する可能性があります。
その点を示す実例を紹介しましょう。
ある建設会社は、受注した工事の完成に必要な資材や人材を集めるための資金を調達するためオンラインファクタリングで1,000万円の売掛債権を譲渡する契約をしました。
ファクタリングで手数料を引いた800万円を調達できそのお金で急場をしのぐことができましたが、2社間ファクタリングによる契約なので、売掛先から売掛金を自社で回収し1,000万円を事業者に支払う必要があります。
この建設会社は、ファクタリング事業者への支払いなどに充てる資金が不足しているということで、別のオンラインファクタリング事業者を探し最初のファクタリング事業者よりも高い手数料で契約をします。
このような形でファクタリングを使った資金調達を繰り返した結果、資金繰りが以前よりも悪化し経営に生き詰まりました。
この例からわかるように、オンラインファクタリングは手軽に申込ができる反面、手数料や売掛金の回収のことを考えずに何度も利用してしまうと資金繰りの悪化を招く危険性があります。
ファクタリングはつなぎ資金が必要になったときにのみ使うもので、短期間に何度も使う資金調達手段ではありません。
建築業を営む会社にファクタリングをおすすめする理由についてのまとめ
建築業を営む会社は工事代金入金まで長く待つ、工事請負後の先行支出が多い、融資を受けにくいなどの理由で資金繰りの悩みを抱えることがあります。
そうした悩みを解消する方法の1つがファクタリングでした。ファクタリングは売掛債権をファクタリング事業者に買取してもらうことで売掛債権を入金期日より前に資金化するサービスです。
ファクタリングを導入すれば、工事代金の入金サイトが短縮できます。入金サイトが短縮できれば手元にあるお金に余裕が生まれるので先行支出の支払いに充てるお金の心配が軽減されます。手元にある資金に余裕があれば次の案件受注も容易です。
建築業を営む会社で資金不足の悩みがあるならファクタリングでの資金調達をお考え下さい。