ファクタリングによる節税は可能!節税以外のメリットや仕訳方法を解説
安定的な経営を目指すのであれば、節税対策は必須であるといえます。
さまざまな節税方法が世の中にはありますが、ファクタリングで節税ができることをご存じでしょうか。
ファクタリングで資金調達をしつつ、節税をして健全な経営をしましょう。
この記事では、ファクタリングの節税について解説していきます。
また、ファクタリングの節税以外のメリットや仕訳方法も紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
ファクタリングで節税はできる
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却して、支払期日よりも前に現金を得る資金調達方法です。
冒頭でも述べたように、ファクタリングを利用すれば節税が可能です。
では、なぜファクタリングが節税につながるのでしょうか。
ここからはファクタリングの節税に関する内容として、下記の項目について解説していきます。
1. ファクタリングで節税する仕組み
2. ファクタリングで節税する際の仕訳方法
3. 節税目的としてファクタリングを利用するべきではない
1.ファクタリングで節税する仕組み
ファクタリングで節税する仕組みは、売掛債権の売却時に発生する手数料がカギとなります。
この手数料は売上債権売却損としての仕訳が可能です。
売上債権売却損は経費として計上できるため、結果的に節税となるのです。
2.ファクタリングで節税する際の仕訳方法
では、ファクタリングで節税する際の仕訳方法を見ていきましょう。
ここでは300万円の売上が発生して、手数料が10%かかると仮定します。
売上が発生した際の仕訳はこのようになります。
・借方勘定科目:売掛金
・金額:3,000,000
・貸方勘定科目:売上
・金額:3,000,000
続いて、ファクタリング会社と契約した際の仕訳はこちらです。
・借方勘定科目:未収入金
・金額:3,000,000
・貸方勘定科目:売掛金
・金額:3,000,000
ファクタリング契約時はまだ入金がありません。
そのため、未収入金として仕訳をします。
ファクタリング会社から、売掛債権の買取額が入金した際の仕訳はこちらです。
手数料は10%と仮定しました。
・借方勘定科目:普通預金、売上債権売却損
・金額:2,70,000、300,000
・貸方勘定科目:未収入金
・金額:3,000,000
手数料は30万円ほどかかりました。
この手数料である売上債権売却損が経費となるため、節税につながるのです。
3.節税目的としてファクタリングを利用するべきではない
ファクタリングは売上債権売却損を経費とすることで、節税効果が期待できます。
しかし、節税を目的としてファクタリングを利用することはおすすめできません。
そもそも、ファクタリングを利用しなければ、手数料を支払わずに済みます。
先述した例を見てみると、30万円を経費とできるのは節税効果として大きなものです。
ただ、手数料を支払ってしまえば終わりであり、資産にはなりません。
節税を目的とするのであれば、資産となるものの購入がおすすめです。
ファクタリングの節税以外のメリット8選
ファクタリングの手数料は経費となり、節税につながる点はメリットです。
さらに、ファクタリングには節税以外にもメリットがあります。
ここからは、ファクタリングの8つのメリットについて、順番に解説していきます。
1. 早いタイミングで資金を用意できる
2. 売掛金の未回収リスクを負わずに済む
3. 負債として計上されない
4. 売掛先に知られずに資金調達が可能
5. 保証人や担保は不要
6. 業績が悪くても利用できる
7. オンラインで簡単に手続きができる
8. 貸倒引当金の会計処理は不要
1.早いタイミングで資金を用意できる
ファクタリングはさまざまな資金調達方法と比較すると、申込から入金までの時間が短いです。
たとえば銀行の融資を利用する場合、入金までに数か月程度かかるケースがあります。
そのため、すぐに資金が必要な場面では適していません。
即日入金に対応しているファクタリング会社を選択すれば、申込した日に現金の受け取りが可能です。
資金を今すぐに用意したい事業者に、ファクタリングの利用をおすすめします。
2.売掛金の未回収リスクを負わずに済む
企業間取引では掛取引が一般的です。
掛取引とは、商品やサービスの代金を後払いで精算する取引方法であり、企業間の信頼関係で成り立っています。
しかし、いくら信頼関係が築かれていたとしても、売掛金を確実に回収できるとは限りません。
売掛先が倒産してしまった場合、売掛金を回収できなければ損失を被ってしまいます。
そこでファクタリングを利用すれば、売掛金の未回収リスクを負うのはファクタリング会社です。
ファクタリングをリスクヘッジのために利用してもよいでしょう。
3.負債として計上されない
ファクタリングは売掛債権の売買であり、融資や借入ではありません。
そのため、負債として計上されない特徴があります。
バランスシートのスリム化にもつながるので、将来的に銀行の融資の利用を検討している事業者も安心です。
4.売掛先に知られずに資金調達が可能
売掛先に、資金調達をした事実を知られたくないと考える事業者は少なくありません。
売掛先と信頼関係が築けていれば、そこまで心配する必要はないかもしれません。
しかし、そうでなければ、今後の取引に悪影響を及ぼす可能性があります。
2社間ファクタリングなら、売掛先に知られずに資金調達ができます。
売掛先に知られない資金調達を希望するのであれば、2社間ファクタリングを選択しましょう。
5.保証人や担保は不要
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却するサービスです。
ファクタリング契約に保証人や担保は必要ありません。
6.業績が悪くても利用できる
ファクタリングで重視されるのは、売掛債権の信用度です。
売掛債権の信用度が高ければ、事業者の業績が悪くても利用できる可能性が高まります。
業績が悪い時期はファクタリング、良くなれば銀行の融資を利用する、といった使い方も有効です。
自社の業績が悪いからといって、資金調達を諦めるのはまだ早いです。
まずはファクタリング会社に相談してみるとよいでしょう。
7.オンラインで簡単に手続きができる
ファクタリング業界でもIT化が進んでいます。
近年ではオンラインで手続きができる、オンラインファクタリングが注目されています。
オンラインファクタリングを利用すれば、ファクタリング会社に訪問する必要はありません。
オンラインで審査や面談、契約などをおこなえるため、時間短縮につながります。
また、必要書類もアップロードで済むので、郵送する手間が省けます。
8.貸倒引当金の会計処理は不要
貸倒引当金とは、売掛金が回収できないケースに備えて、あらかじめ計上しておく金額のことです。
貸倒引当金の会計処理はむずかしく、損金として処理をする条件を知っておかなければなりません。
ファクタリングを利用すれば、貸倒引当金の会計処理をおこなう必要はありません。
ファクタリングのデメリット5選
ファクタリングには節税以外のメリットがいくつもあります。
しかし、ファクタリングのデメリットの内容も把握してから、利用を検討しましょう。
ファクタリングのデメリットには、下記の5つがあります。
1. 手数料が引かれた金額が入金される
2. 必ず利用できるわけではない
3. 3社間ファクタリングは売掛先の承諾が必要
4. 土日祝日は営業していないファクタリング会社が多い
5. 地方在住の事業者は利用しづらい
ひとつずつ解説していきます。
1.手数料が引かれた金額が入金される
ファクタリングで資金調達をする際は、必ず手数料がかかります。
この手数料が引かれた金額が入金されるので、負担に感じてしまうかもしれません。
ファクタリングの手数料の相場は2社間ファクタリングで10%から20%、3社間ファクタリングで2%から10%です。
手元資金を多く残すためにも、複数社に見積もりを依頼して手数料を比較することをおすすめします。
2.必ず利用できるわけではない
ファクタリングは総じて審査通過率が高い特徴がありますが、必ずしも審査に通るわけではありません。
審査通過率が90%以上と謳っているファクタリング会社もありますが、審査落ちしてしまえば利用できません。
審査に落ちてしまうケースも想定しておきましょう。
3.3社間ファクタリングは売掛先の承諾が必要
ファクタリングは売掛先に知られずに利用できる資金調達方法ですが、それは2社間ファクタリングを選択した場合です。
3社間ファクタリングは売掛先に承諾を得たうえで利用する仕組みなので、ファクタリングを利用する事実を隠せません。
ただ、3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも手数料が低く、コストをおさえやすい特徴があります。
それぞれの契約形態の特徴を理解してから、契約をするようにしましょう。
4.土日祝日は営業していないファクタリング会社が多い
ファクタリング会社は、平日を営業日としているケースがほとんどです。
土日祝日は営業しておらず、対応できないファクタリング会社は多くあります。
週末や祝日に資金が必要となった場合、すぐに対応できない可能性が高いです。
また、土日祝日に対応しているファクタリング会社であったとしても、振込は平日といったケースもあります。
ファクタリングで土日祝日に資金を用意するのはむずかしい、と覚えておきましょう。
5.地方在住の事業者は利用しづらい
ファクタリング会社は地方よりも都市部に多く所在しています。
たとえば、東京都や大阪府などに多いです。
そのため、地方で事業を営んでいる事業者は、ファクタリング会社に訪問しづらいといったデメリットがあります。
ただ、先述したようにオンラインに対応しているファクタリング会社を選択すれば、場所を問わずに資金調達が可能です。
地方在住の事業者は、全国に対応しているファクタリング会社を選ぶと、スムーズに手続きが進められます。
ファクタリングの節税に関するまとめ
ファクタリングを利用した節税は可能です。
ファクタリング利用時に支払う手数料を売上債権売却損として仕訳をすれば、節税につながります。
ただし、手数料は資産として残るものではないので、ファクタリングを節税目的として利用することはおすすめできません。
そのほかの節税方法と比較したうえで、ファクタリングの利用を検討するとよいでしょう。