ファクタリングと補助金はどう違う?概要や特徴と知っておきたい関係性を解説
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、早期に現金化する取引です。
対して、補助金や助成金は公的機関が金銭的な負担を軽減するために用意している制度です。
そのため、これらには特に関係性がないと思われるでしょう。
確かに、直接的には関係がないものですが、ファクタリングの活用が補助金の受給に役立つこともあります。
今回は、ファクタリングと補助金について、これらの違いから、なぜファクタリングが役立つのかまで解説します。
目次
ファクタリングと補助金とは
冒頭で大まかに解説しましたが、まずはファクタリングと助成金について、その概要を理解しておきましょう。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、保有する売掛債権を譲渡することで、現金化する取引です。
一般的に、ファクタリング会社などへ売掛債権を譲渡し、その対価として現金を受け取ります。
譲渡に対する対価を得られることで、売掛債権を現金化できる仕組みです。
本来、売掛債権は支払い期日まで入金されませんが、ファクタリングすることで素早く現金化できます。
ただ、ファクタリングを利用する際は、ファクタリング会社へ手数料を支払わなければなりません。
そのため、手元に残る金額は、売掛債権の額面よりも少なくなってしまいます。
補助金とは
補助金は、国や地方自治体が提供する制度であり、特定の条件を満たすことで金銭的な支援を受けられるものです。
例えば、従業員の賃金を上げることによって、補助金が支給される場合があります。
また、新しい設備の導入にあたって、補助金を申請することも可能です。
事前に、自己資金で賃金を上げたり設備を導入したりする必要はありますが、制度が適用されれば後から入金されます。
ただ、重要なポイントとして、補助金は基本的に審査があるため必ず支給されるとは限りません。
補助金を得ることを前提にしていると、思うように資金を調達できなくなり、キャッシュフローに問題が生じる可能性はあります。
その点には最大限留意して、資金計画を考えなければなりません。
ファクタリングによって資金調達する際の特徴
まず、ファクタリングにはどのような特徴があるのか、良い点もわるい点もまとめると以下のとおりです。
早期に現金化が可能
ファクタリングを利用することで、売掛債権を早期に現金化が可能です。
キャッシュフローの改善に役に立つことが、ファクタリング最大のメリットだと考えましょう。
本来の入金期日と比較すると、少なくとも1ヶ月程度は短縮できます。
また、契約するファクタリング会社によっては、最短即日で現金化が可能です。
融資など、比較的短時間で現金を調達する方法はありますが、それらと比較しても素早く調達できます。
気軽に申し込みできる
ファクタリング会社は多く、幅広い債権を受け付けているため、気軽に利用できます。
フリーランス向けのファクタリング会社から大口債権向けのファクタリング会社まであり、適切なものをすぐ選択できるのです。
必要な時に必要な会社に申し込みできることは、ファクタリングだからこそのメリットといえます。
また、それぞれのファクタリング会社に特徴があり、求めるサービスを提供してもらえることも魅力でしょう。
手数料が発生する
ファクタリングを契約する際は、手数料を支払わなければなりません。
契約するファクタリング会社によって手数料は変化するものの、必ず支払う必要があるものです。
手数料が発生するため、手元に残るお金が額面よりも少なくなることに注意しなければなりません。
契約内容や契約先によって変化しますが、5%から15%程度は減ってしまうと考えておきましょう。
補助金によって資金調達する際の特徴
続いては、補助金にはどのような特徴があるのか、良い点もわるい点もまとめると以下のとおりです。
返済の必要がない
補助金は金銭的な負担を軽減するもので、返済の必要がありません。
金融機関から融資してもらうと、返済の義務が発生しますが、補助金はその点を考慮する必要がありません。
支給の対象となったならば、その金額は全て手元に残るのです。
返済する必要があると、未来に負担を残すことになりますが、補助金では意識しなくて済みます。
支給の実績がつく
一度、補助金が支給されると「過去に補助金が支給された企業」との実績を得られます。
一般的に、補助金は健全な営業をしていないと受給できないため、補助金が支給された事実は重要です。
対外的にも、補助金を受給できる企業であるとアピールできます。
大々的にアピールすることではありませんが、何か問われた際に、アピールできるようになるのです。
申し込みのハードルが高い
補助金は申し込みできるタイミングが限られ、必要な書類が多くあります。
申し込みのハードルが高い点は、補助金のデメリットと言わざるを得ません。
中には専門的な書類が含まれ、専門家に依頼して作成してもらうことがあるぐらいです。
また、自分たちで作成した書類を、金融機関などに確認してもらう手続きなども含まれます。
採用されるとは限らず、なおかつ申し込みのハードルが高いため、無駄にコストが生じて終わることもあるのです。
ファクタリングと補助金はどちらかだけ利用するものではない
ファクタリングと補助金の特徴を比較すると、どちらが良いというものではないと考えましょう。
根本的に性質が異なるため、必要に応じて選択することが重要です。
例えば、短期間で現金を調達する必要があるならば、ファクタリングを選ばなければなりません。
また、設備投資など中長期的な計画があるならば、補助金を活用した方が良いでしょう。
加えて、性質が大きく異なるため、誤って利用するとキャッシュフローに影響を与える可能性があります。
そのような意味でも、それぞれの性質を正しく理解し、使い分けできなければなりません。
ファクタリングの利用で補助金の受給につなげる
解説している通り、ファクタリングと補助金は大きく性質が異なるものです。
ただ、実はファクタリングを利用することで、受給しやすくなる可能性があり、その理由について解説します。
自己資金を確保できる
助成金は、ファクタリングのように申し込みしてすぐ手に入るものではありません。
事前に、備品の購入や賃金の支払いなど支出が発生し、それを後からカバーしてくれるものです。
つまり、助成金を利用するためには支出するための自己資金が必要となり、これの確保にファクタリングは役立ちます。
事前に、ファクタリングで自己資金を確保することで投資できるようになり、補助金の申請要件を満たせるのです。
バランスシートのスリム化につながる
補助金を申請する際には、バランスシートなどを提出しなければなりません。
そのため、可能な限りバランスシートをスリム化して、財務体質の良さをアピールすることが重要です。
基準は明確に公開されませんが、財務体質が悪化していると、補助金の審査には通過しづらいと考えられます。
そこでファクタリングを利用すると、売掛金などが減るためバランスシートをスリム化できます。
現金を調達しようとしても、融資の利用はバランスシートをスリム化できないため意味がありません。
ファクタリングであるからこそ、補助金の申請に向けて、財務体質を改善できるのです。
税金や社会保険などの支払いに充てられる
補助金を申請する際には、税金や社会保険などを納めていなければなりません。
申請条件とされていることが多く、支払いしていなかったり遅延があったりすると、そもそも申し込みできない仕組みです。
もし、これらの支払いができていないならば、ファクタリングで現金を確保することで、支払いに充てられます。
ファクタリングによって問題を解決することで、補助金へ申し込みできるようになるのです。
なお、補助金への申し込みを考えているならば、できるだけ早くファクタリングを活用し、滞納などを解消しなければなりません。
ファクタリングが助成金の申請にも役立つことのまとめ
ファクタリングと助成金は性質が大きく異なるため、一見すると関係がないように感じます。
基本的には、認識の通りであり、大きく違う目的を持って利用するものです。
ただ、ファクタリングによって売掛金を現金化することで、補助金へ申請しやすくなる場合があります。
どちらかだけではなく、両方適切に利用することで、キャッシュフローの改善につながると考えましょう。