半金半手形にするとキャッシュフローに影響は?売り手買い手の目線から解説
日本の商取引では、代金の支払いを現金と手形に分ける「半金半手形」が広く利用されています。半金半手形は売り手・買い手の両者ともにメリット・デメリットがあるため、利用する際は正しい理解が必要です。
この記事では、半金半手形がキャッシュフローに与える影響を解説します。半金半手形を利用している方はもちろん、今後利用する予定がある方も参考にしてください。
目次
半金半手形とは?
まずは、半金半手形の概要を解説します。
そのうえで、半金半手形を利用するにあたり関係性の深い約束手形と為替手形についても説明しているため、理解を深めましょう。
半金半手形の概要
半金半手形とは取引代金の一部を現金で支払い、残りを手形で決済する方法です。例えば、100万円の商品を購入する場合は50万円を現金で支払い、残りの50万円を支払期日に約束手形で支払います。
買い手は支払いを分散できるため、即時の資金負担を抑えられることがメリットです。一方、売り手は代金の一部しか現金化できないため、資金繰りに影響する恐れがあります。
特に手形部分は未回収の売掛債権として残るため、万が一の不渡りリスクにも注意が必要です。
中小企業間の商取引では長く使われてきましたが、近年ではキャッシュフローの改善や業務効率化の観点から、利用を見直す動きが進んでいます。
約束手形と為替手形の違い
手形には「約束手形」と「為替手形」の2種類があります。
約束手形は、振出人(買い手)が「○月○日に○円を支払います」と自分で支払いを約束する形式です。
一方の為替手形は、振出人が第三者(通常は銀行)に支払いを委託する仕組みで、国際取引や大口の商取引で使われるケースが多い傾向があります。
半金半手形では約束手形が使用されるケースが一般的です。また企業間で支払いを猶予したり、資金繰りを調整したりする手段としても利用されています。
ただし、不渡りのリスクや事務処理の手間が発生する点は考慮する必要があります。
【買い手側】半金半手形がキャッシュフローに与える影響3つ
半金半手形がキャッシュフローに与える影響を、買い手側の視点から見ていきましょう。
- 支払いの分散による資金繰りの安定化
- 債務の積み上がりリスク
- 手形発行のコストや管理の負担
詳しく解説します。
1.支払いの分散による資金繰りの安定化
半金半手形を使用すると、取引代金の一部を現金で支払い、残りを後日に手形で決済できます。これにより、買い手は取引時点で現金を全額用意する必要がなくなるため、資金負担の軽減が可能です。
例えば、月末や決算前など出費が集中する時期でも資金流出を分散できるため、他の支払い業務とバランスを取りながら対応しやすくなります。
短期的な資金ショートを避ける手段としても有効で、日々のキャッシュフローに余裕を持たせる方法として現場で広く使われています。
2.債務の積み上がりリスク
半金半手形は当面の資金負担を軽くできる一方で、将来の支払義務が積み上がるリスクを伴います。満期日が重なると一時的に多額の資金が必要になり、資金繰りを圧迫する要因にもなりかねません。
複数の取引先と手形取引を行っている場合は特に、支払時期や金額の管理が複雑になりやすく、対応を誤ると資金不足に直結します。
表面上は資金に余裕があるように見えても、将来の支払いに備えた計画を立てていなければ、事業運営に支障をきたす可能性もあります。
3.手形発行のコストや管理の負担
半金半手形で使われる約束手形は、発行のたびに印紙税がかかります。例えば、支払金額が10万円を超えると400円、100万円を超えると2,000円以上の印紙代が必要です。
さらに手形の作成・送付・保管などの事務作業も発生し、経理担当者にとっては大きな負担になります。満期日を正確に管理して、資金を用意するスケジュール調整も欠かせません。
そのため、取引が増えるほど作業の手間も大きくなり、ミスや見落としがあれば信用問題や資金繰りの悪化につながる可能性もあります。手形で取引をおこなう際は、コストとリスクの両面を見極めたうえで慎重に運用しましょう。
【売り手側】半金半手形がキャッシュフローに与える影響4つ
続いて、売り手側から見た半金半手形がキャッシュフローに与える影響を見てみましょう。
- 現金回収の遅延
- 売掛債権の増加
- 不渡りリスク
- 資金繰りへの影響
ひとつずつ解説します。
1.現金回収の遅延
半金半手形では代金の一部を手形で受け取るため、売り手はその分の現金をすぐに得られません。現金化できるのは満期日以降となり、それまでは資金として使えない状態が続きます。
例えば、100万円の売上のうち50万円が手形払いの場合、残りの回収は数カ月先になる可能性があります。売上があっても現金が手元にない状況が続けば、仕入れや外注費の支払いに支障が出ることもあるでしょう。
特に資金に余裕がない企業では、日常の運転資金にも影響が及ぶ可能性があります。手形の回収時期によっては、資金ショートのリスクが高まる点に注意が必要です。
2.売掛債権の増加
半金半手形を導入すると売上代金の一部が手形による後払いとなるため、売掛債権として計上される金額が増えます。
例えば月間売上の半分が手形決済であれば、その分は現金化されるまで使えない資産となります。帳簿上では利益が出ていても、資金繰りが厳しくなることも考えられるでしょう。
売掛債権が積み上がるほど未回収のリスクも高まるため、定期的な管理と資金化の見通しが欠かせません。また債権残高が大きくなると、金融機関からの信用評価に影響を与える場合もあります。
キャッシュフローを安定させるには、債権を適切に管理して資金の回収状況を常に把握できる体制を整えることが重要です。
3.不渡りリスク
半金半手形では代金の一部を手形で受け取るため、買い手が期日に支払えなければ不渡りとなります。そのため、資金繰りの悪化や信用の失墜につながる可能性も高まります。
例えば500万円の手形が不渡りになった場合、その金額は損失となるため、予定していた仕入れや人件費の支払いにも影響が出かねません。さらに、不渡りの情報は金融機関や取引先にも共有されるため、自社の信用を大きく下げる可能性があります。
これらの事態を防ぐには、与信管理を徹底して相手先の信用状況を見極めたうえで取引する判断力が求められるでしょう。
4.資金繰りへの影響
半金半手形では売上代金の一部が手形となるため、現金の入金が遅れ、その間も仕入れや人件費などの支払いは発生します。そのため現金が不足し、資金繰りに悪影響を及ぼすケースも考えられます。
例えば月末の入金予定と手形の満期日がズレていると、必要な資金が間に合わずに一時的に資金ショートを起こす可能性も少なくありません。
特に資金繰りに余裕のない中小企業では、手形取引が資金計画全体に悪影響を与える要因となりえます。
半金半手形に利用される約束手形は2026年度末までに廃止の方向
紙の約束手形については経済産業省より、2026年度末を目安に廃止する方針を示しています。理由は商習慣のデジタル化を進めるのみでなく、長期の支払いサイトや不渡りリスクといった構造的な課題を解消する狙いもあります。
例えば120日後の支払いとなる手形を受け取ると、売上が発生しても資金化までに時間がかかり、キャッシュフローに悪影響を与えかねません。この課題を解決する手段として「電子記録債権(でんさい)」やファクタリングの活用が今後さらに広がると見られています。
企業側にも、この流れに対応するための準備が求められる時期に入っています。
約束手形廃止後にキャッシュフローを改善するポイント3つ
約束手形の廃止後は、代替手段が必要になります。参考までに以下の方法を検討してください。
- 電子記録債権(でんさい)の活用
- ファクタリングでの現金化
- 取引条件の再交渉と与信管理
上記3点について詳しく解説します。
1.電子記録債権(でんさい)の活用
約束手形の代替手段として注目されているのが電子記録債権、通称「でんさい」です。
これは紙の手形と異なり、電子上で発行・譲渡・消滅を管理できる仕組みで、印紙代や郵送などの手間がかからない点が特徴です。
でんさいは手形と同様に支払期日を設定しながら金融機関のシステム上でやり取りできるため、事務作業の効率化とリスクの軽減を両立できます。さらに分割して譲渡もできるため、資金化の自由度も高くなるでしょう。
近年では導入企業も増加しており、信頼性の高い決済手段として定着しつつあります。キャッシュフローを改善したい企業にとって、有効な選択肢のひとつといえます。
2.ファクタリングでの現金化
ファクタリングとは売掛債権を専門業者に売却し、早めに現金化できる資金調達の手段です。銀行融資とは違い借入ではないため、決算書に負債として計上されません。
例えば支払いサイトが60日ある請求書でも、ファクタリングを使えば即日で資金化できるため、資金繰りの安定に大きく貢献します。
なかでも「Easy Factor」は、請求書を送るのみで最短10分で見積もりを提示し、最短60分で現金化が完了するスピード対応が可能です。手形廃止が進むなか、新たな選択肢として注目されているファクタリングは、急な支払いへの対応やキャッシュフロー改善策として導入する企業が増えています。
信用力に不安のある企業でも利用しやすいため、幅広い事業者にとって心強い手段といえるでしょう。
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約束手形の廃止を見据えた支払い条件の見直しは避けて通れません。
取引先と話し合いながら支払いサイトの短縮や一部前金制の導入など、現金回収のスピードを高める工夫が求められます。例えば従来120日だった支払いサイトを60日に見直すのみでも、キャッシュフローに与える影響は小さくありません。
加えて重要になるのが与信管理です。取引先の財務状況や支払い実績を定期的に確認し、回収不能のリスクを事前に防ぐ体制を整える必要があります。
こうした条件交渉と信用管理の両面から取引を見直すことで、健全な資金の流れを保ちやすくなるでしょう。
まとめ
半金半手形は買い手にとっては支払いを分散できるため、資金繰りの安定につながります。
一方の売り手にとっては、現金回収の遅れや不渡りリスクといった課題を抱える取引形態です。特に、中小企業ではこうした影響がキャッシュフロー全体に直結しやすく、慎重に判断したうえで導入する必要があります。
さらに2026年度末には約束手形の廃止が予定されているため、これまでの商習慣に頼り続けるのは現実的ではありません。例えば、電子記録債権(でんさい)やファクタリングの活用、取引条件の見直しを進めることで、より安定した資金繰りの仕組みを整えられます。
将来を見据えた資金戦略こそが、事業の持続と成長を支えるカギとなるでしょう。
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