オンラインファクタリングでの詐欺行為には要注意!悪徳業者側・利用者側それぞれの詐欺の手口を紹介
オンラインファクタリングは申込から入金までをWeb完結できるサービスです。提出書類が少ない、時間や場所を問わずに申込できる、近くにファクタリング事業者の窓口がなくても利用可能といった理由から利用者が増え続けています。
オンラインファクタリングはファクタリング事業者の担当者と直接やり取りする対面式のファクタリングと比較するととても便利なサービスです。
一方で、一部の悪徳業者による詐欺的行為で余計にお金を支払った、悪質な取り立てで被害を被ったというケースがあるもの事実です。
また、利用者が事業者に対し詐欺を働き不当に資金を入手するという事件もありました。
そこでこの記事では、オンラインファクタリングを利用する際に注意が必要な悪徳業者の詐欺の手口、悪徳業者を見分けるためのポイント、利用者によるファクタリング事業者への詐欺の事例などを紹介します。
目次
オンラインファクタリングで悪徳業者が使う詐欺の手口
対面式・オンラインファクタリングのいずれを問わず、詐欺的行為で利用者を騙す悪徳事業者が一部存在するのは事実です。
悪徳業者が使う詐欺の手口の例には次のものがあります。
ファクタリングを偽装し債権を担保とした貸付をおこなう
利用者から法外な手数料を請求する
通常のファクタリングでは発生しない費用を請求する
利用者に債権回収を委託し、回収できなかった場合に利用者に債権の買い戻しを求める
ファクタリングを偽装し債権を担保とした貸付をおこなう
ファクタリングを装い利用者を勧誘し、債権を担保とした貸付をおこなう詐欺の手口は「偽装ファクタリング」と呼ばれています。
次のような状況であれば、偽装ファクタリングによる詐欺の可能性が高いです。
ファクタリングによる売掛債権の譲渡という話だが、契約書には「債権譲渡契約」であることが記載されていない
売掛債権の買取代金が、売掛債権の額面よりもかなり低額
こういった手口を使う事業者は、ファクタリングを装い貸付をおこなっている疑いがあるので注意してください
利用者から法外な手数料を請求する
資金繰りに困っている会社経営者の弱みに付け込み、「即日審査・即日入金」という謳い文句で利用者を集め、契約の際に相場よりもかなり高い手数料を請求するというのも悪徳業者が使う詐欺の手口です。
対面式・オンラインファクタリングのいずれであっても、ファクタリングを利用する際には、相場を大きく上回るものになっていないかどうか確認してください。
ちなみに、ファクタリング手数料の相場は以下の通りです。
2社間ファクタリング(対面式):10%~20%
3社間ファクタリング(対面式):1%~9%
オンラインファクタリング(2社間ファクタリング):2%~12%
悪徳業者は、見積もりでは低い手数料を提示し、契約の際に手数料を上げるという手口を使うことがあります。
法外な手数料を請求する事業者は悪徳業者である疑いがあるので、絶対に契約しないでください。
通常のファクタリングでは発生しない費用を請求する
悪徳業者が使う別の詐欺の手口は、利用者がファクタリングについての知識が不足している点に付け込んで、審査料や保証金、追加手付金などの名目で、通常のファクタリングでは発生しない費用を請求するというものです。
こうした詐欺の被害に遭わないために、契約を交わす前にはどんな名目でどれくらいの費用が計上されているのかきちんと確認してください。
説明のない費用が計上されているようならそれについて納得できる説明を求めることが必要です。
利用者に債権回収を委託し、回収できなかった場合に利用者に債権の買い戻しを求める
悪徳業者が使う別の詐欺の手口は、利用者に債権回収を委託し、回収できなかった場合に利用者に債権の買い戻しを求める、もしくは償還請求を求めるというものです。
ファクタリング事業者を名乗る業者が、こうした行為をおこなっていれば、それは結局のところ売掛債権を担保とした貸金業に該当するおそれがあります。
そして、その事業者が貸金業登録なしでそうした行為をおこなっていれば、貸金業法上の無登録行為に該当する可能性が高いです。
ファクタリングは売掛債権を事業者に譲渡するので、基本的には事業者が自ら売掛金を回収します。しかし、2社間ファクタリングの場合、ファクタリング事業者は利用者との間で売掛金回収の業務委託契約を結び、売掛金回収を利用者に委託します。
オンラインファクタリングでは2社間ファクタリングでの契約が大半です。したがって、通常オンラインファクタリングの利用者は、資金調達完了後、これまで通り売掛先から売掛金を回収しそれを事業者に渡します。
売掛金回収については、それが完了するまでの間に、売掛先が倒産するなどの理由で売掛金回収不能となるリスクがあります。
そのリスクについては、基本的にファクタリング事業者側が負うのがファクタリングにおけるルールです。
したがって、2社間ファクタリングの契約は償還請求権なしのノンリコース契約となっています。償還請求権なしの契約の場合、売掛先の都合で売掛金未回収となっても、事業者は利用者に対し代位弁済を求めることはありません。
しかし、悪徳業者は利用者を巧妙に騙し償還請求ありの契約を結ばせます。
償還請求権ありの契約なら、売掛金未回収となった場合、事業者が利用者に代位弁済、つまり支払いを肩代わりするよう求めることが可能です。
悪徳業者はこうした詐欺の手口で自分たちにとってリスクが低く、利用者にとってはリスクが高い契約を結ばせようとします。
ファクタリングを装った詐欺である可能性が高いケース
申込から契約までの手続きにおいて次のようなケースがあれば、ファクタリングを装った詐欺である可能性が高いです。
債権譲渡契約であることをはっきり定めていない
受け取る金額が債権額と比較するとかなり低額
申込者の通帳・銀行印・キャッシュカードを預かる
代表者やその家族に保証人になることを要求する
小切手や手形を担保として要求する
申込者の発行済み株式を譲渡担保にし、印鑑証明や役員変更についての登記委任状を提供するよう要求する
買取代金の受け渡しが銀行振込による送金ではなく手渡し
契約書の写し、領収書などの種類を渡さない
手数料が相場よりもかなり高い
ファクタリングは売掛債権という会社が保有している資産を売却することで資金調達します。契約は売掛債権譲渡契約です。
第三者からお金を借りて資金を調達するわけではないので、対面式・オンラインファクタリングのいずれの場合でも契約に際し担保や保証人を用意する必要はありません。
悪徳業者は、申込者が資金繰りに困っていることや、知識が不足している点に付け込んで、こうした点を曖昧にし、売掛債権譲渡契約ではなく金銭消費貸借契約を締結させようとしたり、担保や保証人を要求したりします。
ファクタリングでは必要ない担保や保証人などを要求された場合は、ファクタリングを装った詐欺である疑いがあります。不審に感じる点があれば下記の相談窓口に電話してください。
金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811(平日10:00~17:00)
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051051
警察:♯9110(各都道府県警察相談ダイヤル)
消費生活センターなどの消費生活相談窓口:188(消費者ホットライン)
個人で利用する給与ファクタリングにも要注意
対面式・オンラインファクタリングは企業や個人事業主が資金調達のために利用するものです。
給与ファクタリングは労働者である個人が使用者に対して有する賃金債権を買取してもらい、買取代金から手数料を差し引かれた額を受け取るサービスです。
買取代金を受け取った後は、利用者自身が使用者から給与を受け取り、それを事業者に渡します。
こうした行為は貸金業に該当し、貸金業登録を受けていない事業者が給与ファクタリングのサービスを提供すれば、それは貸金業法上の無登録行為に当たります。
給与ファクタリングにおける詐欺の手口
給与ファクタリングにおける詐欺の手口としては、「すぐにお金を入金する」という宣伝文句で勧誘し法外な手数料を請求するというものです。
こうした詐欺の被害事例としては次のものがあります。
年率換算すると数百%、数千%にあたる法外な手数料を請求される
家族や勤務先へのしつこい電話や大声での恫喝
高額な遅延損害金の請求
給与ファクタリングで高額な手数料を支払えば、本来の給与額よりも少ない金額しか受け取ることができません。その結果、生活破綻につながるおそれがあります。ファクタリング事業者を装ったヤミ金業者の詐欺には十分注意してください。
悪質な利用者によるファクタリング事業者への詐欺の事例
悪質な利用者がファクタリング事業者を騙し不当に資金を調達するという詐欺が実際に起こっています。
悪質な利用者がファクタリング事業者に詐欺を働く方法は次の2つです。
架空債権を利用した詐欺
二重譲渡による詐欺
架空債権を利用した詐欺
架空債権による詐欺とは、請求書や取引先とのやり取りを偽造することで、存在しない取引をあたかも存在するかのように装いファクタリング事業者を騙す行為です。
たとえば、2020年にはイベント企画会社代表がオンラインファクタリングを扱う事業者に対し架空債権を利用した詐欺を働いたことで逮捕されています。
逮捕された容疑者は、大手企業との取引が実際にあるように見せるため問い合わせ用のメールアドレスを事前に用意する、大手企業の社員のふりをして実際にファクタリング事業者とやり取りをするといったことをしていました。
容疑者が売却した架空債権は100件を超え、総額は約45億円と報道されています。
※参照:朝日新聞デジタル
2022年3月に報道された別の詐欺事件では、インターネットセキュリティー会社の社長がIT企業2社に対する架空債権をファクタリング事業者に買い取らせ約1億円を騙し取ったことで逮捕されています。
逮捕された人物は取引が実在することを偽装するために取引明細などを偽造していました。
※参照:朝日新聞デジタル
オンラインファクタリングは対面式のファクタリングよりも提出書類が少なく、申込から資金調達完了までの時間が短いことが長所です。
悪質な利用者はこうしたオンラインファクタリングの長所を利用し、巧みにファクタリング事業者を騙して不当にお金を得ようとします。
二重譲渡による詐欺
二重譲渡とはすでに売却済みの売掛債権を別のファクタリング事業者に売却する行為です。
二重譲渡は以下の条件が整えば、実行することができます。
売掛先が取引や契約に関係しない2社間ファクタリング
債権譲渡を受けたファクタリング事業者による債権譲渡登記が完了していない
こうした条件が整えば、悪意のある利用者はファクタリング事業者に二重譲渡・多重譲渡という詐欺行為で不当にお金を得ることが可能です。
しかし、対面式でもオンラインファクタリングでも、次のどれかのタイミングで二重譲渡は発覚します。
審査
債権譲渡登記の申請をしたとき
回収した売掛金をファクタリング事業者に渡すとき
二重譲渡は詐欺罪や横領罪が適用される可能性がある犯罪行為です。資金不足の悩みがあっても絶対にやってはいけません。
オンラインファクタリングにおける事業者側・利用者側の詐欺についてのまとめ
オンラインファクタリングは申込から入金までの手続きがWeb上で完結できる便利なサービスです。その利便性ゆえに利用者の数が増えてきました。
一方で、ごく一部の悪徳業者による詐欺行為の被害に遭う方がおられるのも事実です。さらに、サービスの盲点を突いて事業者から不当にお金を得る悪意のある利用者もいます。
ファクタリングについての基礎的な知識があれば、悪徳業者を避け良質な事業者を選んで契約することが可能です。
さらに、ファクタリングについての知識があれば、事業者を騙して不正に資金を得てもその結果は悲惨なものになることがわかるでしょう。
対面式・オンラインファクタリングのどちらでも良質な事業者を選んで契約し、資金繰りの悩みを解決してください。