支払いサイトとは何?基本的な考え方や短縮方法、資金繰りへの影響を解説

売上が入金されるまでの期間は、取引先によって異なります。この期間は支払いサイトと呼ばれ、企業の資金繰りや財務状況を見るために重要です。しかし、なかには支払いサイトについてよく理解し切れていない方もいるでしょう。
この記事では、支払いサイトの概要や考え方などを解説します。資金繰り改善のための短縮方法についても触れているため、経営を安定させるために参考にしてください。
目次
支払いサイトとは?

支払いサイトとは、取引の締め日から代金の支払期日までの期間のことです。いわば、支払いまでの猶予期間のようなものです。 例えば、売上が月末締めで翌月末に支払われる場合、支払いサイトは1カ月間となります。
サイトは英語で「sight」と表記し、由来は貿易で使われてきた手形取引の「at sight(一覧払い)」です。2025年現在で一般的な取引方法となっている「掛取引」や「約束手形」などの取引において、支払いサイトは重要な項目と言えます。
支払いサイトの主な種類

支払いサイトの主な種類は、以下の3つが挙げられます。
- 30日サイト
- 60日サイト
- 90〜120日サイト
それぞれ詳しく見ていきましょう。
30日サイト
30日サイトは、最も一般的な支払いサイトで「月末締め翌月払い」の形式を取ります。 1カ月ごとに売上高や債務を把握できるため、入出金管理がしやすいのが特徴です。建設業や小売業、サービス業など、多くの業種・企業で採用されています。
60日サイト
60日サイトは「月末締め翌々月払い」の形式で、支払いサイトに比較的余裕があるのが特徴です。
買い手としては支払いまでの期間が長いため、資金を用意しやすい点がメリットです。 一方、売り手側にとっては取引を締めた月を含めて3カ月間は売上が入金されないため、資金繰りに苦しむ可能性が考えられます。30日サイトよりも期間が長い分、買い手にとって有利な支払いサイトと言えます。
90〜120日サイト
手形取引の場合、通常の支払いサイトに加えて「手形サイト」も加わるため、支払いまでの期間が長くなる傾向にあります。そのため、現金が手元に入ってくるまで90〜120日程度かかります。
手形サイトとは、手形を作成して取引先へ渡す日である「振出日」から「支払期日」までの期間のことです。手形サイトの期間は30日・60日・90日で設定するのが一般的です。 例えば、月末締め翌月払い(30日サイト)の企業が、手形サイトを60日に設定した場合、最終的な支払いサイトは90日となります。
売り手・買い手それぞれの支払いサイトの考え方

支払いサイトの基本的な考え方は、以下のとおりです。
- 【売り手】短いほうがおすすめ
- 【買い手】長いほうがおすすめ
立場によって理想的な支払いサイトの考え方は変わります。売り手の場合と買い手の場合で、適切な支払いサイトを混同しないように注意しましょう。
【売り手】短いほうがおすすめ
売り手の立場であれば売上を早めに回収する観点から、支払いサイトが短いほうが望ましいです。 入金までが速いと資金繰りが苦しくなるリスクが低減し、健全な経営を実現しやすくなります。
ただし、支払いサイトをあまりにも短く設定しすぎると請求書の作成期間が短くなったり、取引先に代金の確認を急かしてしまったりする可能性もあります。入金までの期日と、自社の事務処理にかかる期間のバランスを考えて、支払いサイトを設定することが重要です。
【買い手】長いほうがおすすめ
売り手とは対照的に、買い手の立場であれば支払いサイトは長いほうが有利です。 支払いサイトが長ければ、支払期日までに余裕を持てるため、手元の資金を別の用途に利用しやすくなります。またキャッシュフローが安定し、資金繰りで苦しむことが少なくなる点もメリットです。
ただし、下請業者との取引で「下請代金支払遅延等防止法」が適用される場合は、支払いサイトを60日以内に設定しなければなりません。60日を下回るサイト設定にすると法令違反となり、行政指導の対象になる可能性があります。
支払いサイトの設定の仕方で注意したいポイント

支払いサイトを設定する際に注意すべきポイントは、以下の3つです。
- 企業の財務状況の把握に努める
- 下請代金の支払いサイトは60日以内に設定する
- 手形は2026年までに廃止が予定されている
支払いサイトは適切に設定しないと、企業の財務に深刻な影響を与えたり、法令違反となったりする場合があります。注意点を押さえて、トラブルなく取引を進めましょう。
企業の財務状況の把握に努める
支払いサイトは、企業の財務状況の安定性を判断する指標のひとつです。 財務状況の安定性を見るうえでは、以下の2つを確かめておきましょう。
指標 | 概要 | 算出式 |
---|---|---|
仕入債務回転期間 | ・仕入れから代金の支払いが完了するまでの期間を指す。 ・期間が長いほど、支払いサイトに余裕があることを示唆する。 | 以下のどちらかで計算 ・仕入債務÷売上原価÷365日 ・仕入債務÷売上原価÷12カ月 |
仕入債務回転率 | ・仕入れから代金の支払いが完了するまでの支払い効率を示す割合のこと。 ・割合が高いほど、支払いサイトが短く効率よく支払いが行われていることを表している。 | 売上原価÷仕入債務×100 |
支払いサイトが適切でない場合は資金繰りや従業員の事務に影響するため、改善が求められます。上記の指標や支払いサイトの長短から、自社の財務状況が適切であるかを確認し、健全な会社経営ができるように努めましょう。
下請代金の支払いサイトは60日以内に設定する
下請業者に支払う代金の支払いサイトは、60日以内に設定する必要があります。下請代金支払遅延等防止法(下請法)の第2条の2では、以下のように定められています。
下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
つまり、商品やサービスを受け取ってから60日以内に代金を支払わなければなりません。
上記のルールは、立場の弱い下請け業者が不利にならないように講じられた措置です。60日を超える支払いサイトの設定は法令違反となるため、必ず60日以内に代金を支払うようにしてください。
手形は2026年までに廃止が予定されている
企業間の決済で利用されている紙の約束手形や小切手は、2026年までに廃止される見込みです。政府と金融界、産業界の連携により、電子的な決済手段への完全移行を目指しています。
手形取引の支払いサイトは90〜120日と比較的長めな傾向があり、売り手側の資金繰りが苦しくなることに加え、売掛先が倒産した際に資金を回収できないリスクも抱えています。 決済が電子化されればスムーズにお金のやり取りが進み、支払いサイトの短縮が期待できるでしょう。
今のうちから電子決済に慣れ、有効に活用できるように準備を進めておくことが重要です。
支払いサイトを短縮する方法

支払いサイトが長くなるほど資金繰りが不安定になりやすくなります。そのため、資金繰りを安定させるために支払いサイトを短縮できないか、気になっている方もいるでしょう。
売り手側目線で、支払いサイトを短縮する主な方法は以下の4つです。
- 取引先と交渉する
- 手形取引から現金取引に移行する
- 手形割引を使う
- ファクタリングを使う
自社に合った方法で、資金繰りの改善を図りましょう。
取引先と交渉する
取引先と契約内容の変更について交渉すれば、支払いサイトを短くできる可能性があります。
一度締結した契約内容を変更するには、取引先に納得してもらわなければなりません。「支払いサイトを短くしてもらう代わりに、これまでよりも安価で製品・サービスを提供する」といったように、自社と取引先の双方にメリットがある条件を提示すると効果的です。
交渉の際は、自社の資金繰りが厳しいことを正直に伝えてしまうと、今後の取引に影響が出る可能性があります。資金繰りの悪化は理由にせず、取引先が納得できる条件提示をして交渉に臨むと良いでしょう。
手形取引から現金取引に移行する
手形取引から現金取引へ移行すれば、手形サイトがなくなるため、その分支払いサイトが短縮されます。 売上の支払方法が手形の場合は、取引先に交渉して現金での取引に切り替えてもらうよう、交渉を検討してみましょう。
取引先から難色を示された場合は「半分は現金払いにしてもらう」などの譲歩案を提示し、信用関係を損なわないように配慮しましょう。
手形割引を使う
手形割引を利用すれば、受け取った約束手形を支払期日前に現金化できます。 手形割引とは、支払期日が到来する前の約束手形を銀行や手形割引業者に買い取ってもらい、早期に現金を得る手法です。換金時には所定の手数料を支払う必要があるものの、まとまった資金を手に入れられるため、すぐに現金が必要な場合に適しています。
ただし、手形割引を利用すると、手形を割り引いた銀行や業者に「償還請求権」が発生する点には注意しなければなりません。 償還請求権とは、手形の振出人(債務者)が倒産などの理由で支払い不能となった場合に、銀行や手形割引業者が手形を持ち込んだ人に代金の返還を請求できる権利のことです。
万が一、手形が不渡りになると、換金した現金を割引業者に返還しなければなりません。こうなると結果的に売上を回収できなくなり、却って資金繰りが厳しくなるでしょう。
ファクタリングを使う
ファクタリングを使えば、比較的少ない負担で資金調達ができます。 ファクタリングとは、企業が持つ売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却して、支払期日前に資金を調達する手法です。
ファクタリングでは手数料が発生するものの、多くのサービスではオンラインで完結するため申込みの手間がかかりません。取引先との交渉が不要な形態もあるため、ご自身の好きなタイミングで利用できるでしょう。
支払いサイトの短縮にファクタリングがおすすめな理由

ファクタリングであれば簡単に、支払いサイトを実質的に短縮できます。ファクタリングの特徴は、以下の2点です。
- スピーディーに資金調達ができる
- 負債にならず財務状況に影響しない
資金繰りを改善するために、利用を検討してみましょう。
スピーディーに資金調達ができる
ファクタリングのメリットは、スピーディーな資金調達ができることです。申込から最短即日で資金調達できるサービスも多く、急な支払いが発生したときでも活用しやすいです。
オンラインで手続きが完結するサービスも多いため、わざわざ営業店舗に出向く必要がなく、職場にいながら資金調達を進められます。
負債にならず財務状況に影響しない
ファクタリングは金融機関からの借金ではないため、利用しても企業の負債は増えません。ファクタリングは「売掛債権」という、資産の売却・譲渡にあたります。 負債が増えない分、財務状況に影響をおよぼさずに資金繰りの改善が可能です。
ただし、指定された料率の手数料が発生し、請求書の額面から一定額を差し引かれた金額が入金されます。ファクタリング会社を選ぶ際は、できる限り手数料が安い所と契約すると良いでしょう。
資金繰りにお悩みの方はEasy Factorをご検討ください

支払いサイトを短縮して資金繰りの改善に努めるにあたり、ファクタリングは有効な手段です。なかでも「Easy Factor」は、申込から最短60分での振込に対応しています。手数料も業界最低水準の2〜8%と安く、少ない負担で資金調達が可能です。
手続きはすべてオンラインで完結するため、職場や外出先、自宅などどこにいても申込ができます。見積もりは最短10分でできるため、支払いサイトが長く資金繰りが苦しい人は、利用をご検討ください。
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