ファクタリングのメリットは10種類！デメリットと合わせてそれぞれ解説
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで資金調達ができる方法です。
一般的に売掛金は売上が発生してから入金するまでにタイムラグがありますが、ファクタリングを利用するとこれが短くなるなどのメリットがあります。
ただ、同時に手数料が掛かってしまうなどのデメリットもあるため、今回はファクタリングのメリットやデメリットについてそれぞれ解説します。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングのメリットやデメリットについて理解する前に、ファクタリングとはどのような取引であるのか簡単に理解しておきましょう。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社の間だけで完結するファクタリングの方法です。
利用者が保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、その対価を支払ってもらいます。
ただ、売掛債権に対するリスクをファクタリング会社に背負ってもらうため、手数料の支払いが必要です。
また、売掛金が入金された後は利用者がファクタリング会社に入金しなければなりません。
ファクタリング会社としては「買い取ったが入金してくれる保証はない」という状態になってしまい、少々手数料が高くなってしまいます。
しかし、近年はオンラインで完結するファクタリングサービスが生まれていて、これを利用すれば手数料は比較的低く抑えられます。
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社に加えて、売掛先を含めるファクタリングの方法です。
利用者が保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらう流れは同じですが、これを売掛先に伝えておきます。
2社間ファクタリングとの違いは、ファクタリングの利用を伝えておき、売掛金を直接ファクタリング会社に入金してもらうことです。
2社間ファクタリングは利用者が入金しますが、3社間ファクタリングは利用者を経由しません。
ファクタリング会社は利用者ではなく売掛先から直接お金を回収できるようになるため、未回収のリスクが下がり、利用時の手数料も下がりやすくなります。
ファクタリングで資金を調達するメリット
ファクタリングで資金を調達するメリットは多数ありますが、それらの中で特に注目してもらいたいものは以下のとおりです。
自社の業績が影響しない
ファクタリングは売掛先の信用力を利用した資金調達です。
そのため、自社の業績が契約に影響しないというメリットがあります。
仮に自社の売上が毎月下がっていても、売掛先の業績が好調であれば問題なく利用できるでしょう。
金融機関からの融資はこのような状況で利用しにくいため、比較すると大きなメリットです。
ただ、言い換えると自社の業績がどんなに良くても売掛先に問題があればファクタリングは利用できません。
例えば、自社がうなぎ登りに成長していても、売掛先が倒産しそうならばファクタリングが利用できない可能性があるのです。
良い場合もあれば悪い場合もありますが、自社の業績が影響しないのがファクタリングのメリットと考えましょう。
最短即日で現金化できる
ファクタリング会社によっては最短即日で売掛債権を買い取ってくれます。
つまり、急いで資金調達したい場合に大きなメリットをもたらしてくれる仕組みです。
繰り返しですが、ファクタリングでは融資のような審査が行われるのではなく、売掛先の状況について把握するだけです。
融資と比較すると確認する内容が少なくて済むため、最短即日でスムーズに売掛金を回収できます。
また、ファクタリングは請求書など「売掛債権を保有している証拠」が存在する取引です。
完全な信用取引ではなく、担保となるようなものを利用しての取引となるため、この部分でも最短即日で現金化できるというメリットを生み出しています。
売掛先が倒産しても回収できる
ファクタリングを利用しておくと、売掛先が万が一、倒産しても売掛金を回収できます。
一般的に売掛先が倒産すると回収が難しくなってしまいますが、ファクタリングではその心配がありません。
取引先が倒産しても資金調達できる理由は「ファクタリングの取引が完了した時点ですでに入金されているから」です。
ファクタリングではファクタリング会社からお金が支払われるため、仮に売掛先が倒産しても「売掛金の回収」という観点では影響がありません。
ただ、償還請求権という考え方があり、売掛先が倒産してしまった場合に責任を負わなければならない契約も法律上は可能です。
とはいえ、大半のファクタリング会社は償還請求権を設定しておらず、万が一、売掛先が倒産しても手元にはしっかりと資金が残ります。
保証人や担保を必要としない
お金に関わる取引ではありますが、ファクタリングでは保証人や担保が必要ないというメリットがあります。
企業が金融機関から借り入れる場合は、代表者が保証人になったり担保を差し出したりしますが、ファクタリングではすべて不要です。
これは、ファクタリングが「売掛債権そのものを売買する取引」であることに起因します。
売掛金を回収する権利をファクタリング会社に譲渡するため、これが担保のような存在になるのです。
融資のようにお金を振り出す側が一方的にリスクを背負う取引ではないため、保証人や担保は必要ありません。
自社の信用状況が影響しない
ファクタリングは利用する側の信用情報が一切影響しません。
例えば、代表者の個人信用情報に何かしら問題があっても、ファクタリングでは何も関係がないのです。
これは、ファクタリングが貸金業ではないために、個人信用情報を参照していないことが背景にあります。
また、そもそもファクタリングは売掛債権を買い取るため、相手側の信用力が重要であり、自社の信用力はほぼ影響しないと考えておきましょう。
ただ、相手側の信用力が重要となるため、売掛先のキャッシュフローなどはファクタリングを利用できるかどうかに大きく影響します。
売掛先の信用情報が参照されているかなどは把握できませんが、少なくとも利用者の信用情報などは参照されないのです。
借入より審査が柔軟になる
金融機関からの借入よりも柔軟に審査してもらえるというメリットがあります。
基本的に借入は信用情報に基づいた審査になってしまいますが、ファクタリングは多角的な審査となるのです。
そもそも、上記で解説したとおり、ファクタリングでは自社の信用情報を利用しません。
また、売掛先に多少の問題がある場合は、交渉次第で柔軟な審査をしてもらえる可能性があります。
例えば、債権譲渡登記を採用したり手数料を変更することで、審査を見直してもらうようなことが考えられます。
審査の内容については企業秘密であり公開されませんが、借入よりも柔軟な審査に向けて交渉の余地がある点はメリットです。
借入より手間がかかりにくい
利用する金融機関とファクタリング会社に左右されますが、ファクタリングは比較すると取引の手間がかかりにくいメリットがあります。
金融機関からの借入には多くの時間と手間がかかるのに対して、ファクタリングはそうではないのです。
例えば、借入に際しては多くの書類を集めて提出する必要がありますが、ファクタリングならば数種類で完了することがあります。
もちろん、状況によって変化してしまう部分はありますが、基本的にファクタリングのほうが手間はかからないと考えて良いでしょう。
契約に時間を要してしまうと、資金調達までに時間がかかってしまいますが、ファクタリングは手間がかからず素早いというメリットもあります。
節税効果を生み出す
基本的にファクタリングではファクタリング会社に手数料を支払う必要があります。
この手数料は「割引料」などの損金として処理できるため、節税につなげることが可能です。
本来は割引手形を処理するための勘定科目ですが、ファクタリングの手数料においても利用できる点はメリットです。
割引料として手数料を計上すると、それだけ損金が増えて利益が下がります。
つまり、課税対象額が小さくなり節税というメリットにも繋がるのです。
もちろん、ファクタリングは急いで現金を調達したい場合にも利用するため「手数料が発生することはデメリットだ」と感じることもあるでしょう。
ただ、見方を変えてみると合法的に利益が下がる方法ともいえるのです。
取引先に知られにくい
取引先に知られにくい取引であり、相手側に影響を与えることなく資金調達できることがメリットです。
ファクタリングの中でも2社間ファクタリングを利用すると、売掛先を巻き込む必要がなくなり、何も知られないまま資金調達できます。
どうしてもファクタリングを利用すると知られると「資金面で健全な会社なのか」という不安を与えてしまいかねません。
また、売掛先の売掛債権をファクタリングすると「自社の信用力に不安があるためにファクタリングしている」と考えられてしまう可能性もあります。
しかし、2社間ファクタリングであれば相手側に知られることはなく、社内で完結して資金調達が可能です。
なお、取引先に知られにくいことがメリットですが、何かしらの理由で漏れてしまう可能性はあるため、情報管理には気をつける必要があります。
決算書に悪影響を与えない
ファクタリングは借入金とは異なるため、どれだけ利用しても決算書で借入金が増えることはありません。
金融機関からの借入は借入金となってしまうため、印象が大きく異なるという点でメリットです。
もちろん、会社を大きくするという観点で借入をすること自体は悪くありません。
しかし、金額が大きくなりすぎると印象が悪くなるため、ファクタリングで資金調達することでこのような状況を避けられます。
ファクタリングで資金を調達するデメリット
ファクタリングで資金を調達することにはデメリットもあり、例えば以下のデメリットが存在しています。
売掛先の与信によっては利用できない
売掛先の与信を利用した取引であるため、相手側の与信によっては利用できないデメリットがあります。
例えば、取引先の業績が落ち込んでいて、売掛金の支払いができるか分からない状況では、ファクタリングできないかもしれません。
ファクタリング会社はある程度のリスクを背負ってくれますが、どのようなリスクでも背負ってくれるのかと問われると異なります。
引き受けられるリスクには限界があるため、売掛先の与信があまりに悪いとファクタリング会社が買い取りを拒否するのです。
なお、売掛先の評価はファクタリング会社が独自の基準によっておこなうため、ファクタリングを利用する側の感覚とはかけ離れている可能性があります。
手数料を支払う必要がある
冒頭でも解説したとおり、ファクタリングを利用するにあたっては手数料が発生することがデメリットです。
ファクタリング会社が売掛債権を買い取りしてくれますが、このときに手数料を支払わなければなりません。
ファクタリングを利用せずに売掛金が期日までに入金されると、売掛金は満額が手に入ります。
それに対して、ファクタリングでは少なくとも数パーセントは手数料として支払う必要があり、目減りしてしまうのです。
資金調達ができるという意味では大きなメリットがありますが、手数料によって調達できる資金が減ってしまう点はデメリットといわざるを得ません。
売掛金を上限とした資金調達しかできない
ファクタリングは売掛債権を買い取ってもらう取引であり、買取金額の上限は売掛金の額と一致します。
つまり、売掛金を超える資金をファクタリングでは調達できないことがデメリットです。
また、実際には上記でも触れたとおり手数料が必要となってしまうため、売掛金未満の資金調達しかできないデメリットがあると考えましょう。
ファクタリングではなく融資などを利用すると、日頃の売掛金を超える資金を調達できるケースが多々あります。
そのような資金調達と比較すると調達できる範囲に最初から制限が掛かってしまうことがデメリットなのです。
譲渡できない売掛債権がある
すべての売掛債権を自由にファクタリングできるのではなく、売掛債権の中には譲渡が禁止されているものがあります。
詳細は割愛しますが、債務者の権利を守るためにこのような特約が定められている場合があるのです。
ファクタリングは債権を売買（譲渡）する取引であるため、禁止されている債権については利用できません。
このような特約が定められているかどうかは、取引に際して交わした契約書を確認するようにしましょう。
特別な記載がなければ譲渡は禁止されていませんが、明示的に禁止されているならばファクタリング会社が引き受けてくれません。
また、仮にファクタリング会社へ依頼できたとしても、後から大きなトラブルになりかねないため避けるべきです。
債権譲渡登記が必要となる場合がある
ファクタリングを利用する際は債権譲渡登記が必要となる可能性があります。
これは「債権が譲渡され所有者が変更になった」ということを法的に証明する手続きです。
こちらの手続きを済ませることで、売掛金は法的にファクタリング会社のものとなり、安心感が増すメリットがあります。
ただ、こちらの手続きは「登記」であるため、登記税の支払いや士業へ手続きを依頼する費用などが発生してしまいます。
ファクタリングの手数料が下がるなどのメリットに繋がりやすいですが、経費がかかってしまう点がデメリットです。
悪徳業者が一定数は存在する
ファクタリングは貸金業には該当しないため、現時点ではどのサービスも免許や届出を必要としていません。
そのため、ファクタリング会社の中には一定数、悪徳業者が存在するというデメリットがあります。
「悪徳業者」の定義は一概には述べられないものの、例えば「手数料が極端に高い」「なかなか買い取ったお金を振り込まない」などがあるでしょう。
このようなファクタリング会社を利用してしまうと、資金調達するどころか資金繰りが悪化してしまう可能性があります。
また、ファクタリング会社とのやり取りに時間を取られてしまい、本業に影響が出てしまうかもしれません。
ファクタリングは便利なサービスですが、このような業者を避ける必要があることはデメリットです。
ファクタリングで資金調達するメリットやデメリットのまとめ
ファクタリングのメリットやデメリットについて解説しました。
売掛債権を期日よりも早く現金化できるため、資金調達に役立つなどのメリットがあります。
その反面で、利用の際には手数料がかかるなどいくつかデメリットもあります。
ただ、多少の手数料はかかりますが、売掛債権が短時間で現金化できることは大きなメリットです。
売掛先の倒産にも備えられる方法であるため、資金調達の方法としてファクタリングを検討すると良いでしょう。