ファクタリングに悪徳業者は存在する!?―悪徳業者の騙しのテクニックと優良業者を見分けるコツを紹介
資金不足に悩む中小企業の経営者や個人事業主をターゲットにし、ファクタリングという言葉を使って彼らからお金を騙し取る悪徳業者が存在します。
もし、悪徳業者と契約すると不要なお金を支払うことになるので、資金繰りは改善されるどころか、逆に悪くなるでしょう。
したがって、ファクタリングでの資金調達を検討しているなら、悪徳業者を避け、優良業者とのみ契約する必要があります。
そこでこのコンテンツ記事では、ファクタリングという言葉を使って利用者を騙す悪徳業者のテクニック、優良業者を見分けるコツを紹介します。
目次
そもそもファクタリングとはどんな資金調達手段?
悪徳業者の騙しのテクニックを理解するには、正当なファクタリングサービスとはどのようなものかを知っておく必要があります。
ファクタリングとは、企業や個人事業主が保有する入金期日前の売掛債権をファクタリング業者に売却し、買取代金から手数料を差し引いたお金を受け取ることで資金調達できるサービスです。
売掛債権とは、掛取引で発生する代金を売掛先から回収する権利を指します。売掛債権は会社が保有する資産なので、それを担保にしてお金を借りる、売却してお金に換えるということが可能です。
ファクタリングは売掛債権を売ってお金に換える資金調達手段なので、融資やビジネスローンのようにお金を借りておこなう資金調達ではありません。
悪徳業者が使う騙しのテクニック
悪徳業者はファクタリングという言葉を使って、資金不足に悩んでいる経営者を勧誘し、利用者に不利な契約を結ばせることで、利用者からお金を騙し取ります。
悪徳業者が使う騙しのテクニックの代表的なものは以下の通りです。
法外な手数料を請求する
様々な理由を付けて手数料以外の費用を請求する
売掛債権を担保にした融資をおこなう
利用者に売却した債権の回収を委託し、回収できなければ債権を買い戻しさせる
法外な手数料を請求する
悪徳業者は、利用者がファクタリングの手数料相場について知識が少ないことを利用し、法外な手数料を請求します。
たとえば、悪徳業者は「即日審査・即日入金のファクタリング業者」という宣伝文句で利用者を集め、相手がすぐに資金が必要という弱みに付け込み、相場よりも高い手数料で契約させます。
こうした悪徳業者の手口に騙されないためには、ファクタリング手数料の相場を知っておくことが必要です。参考としてファクタリング手数料の相場を紹介します。
2社間ファクタリング(対面式):10%~20%
3社間ファクタリング(対面式):1%~9%
悪徳業者の中には高度なテクニックを使うところがあります。見積もりの際には相場の範囲内、もしくはそれより低い手数料を提示し、実際の契約の際には手数料を高くするという方法です。
納得できる説明なしに、相場よりも高い手数料で契約させようとする業者がいれば、悪徳業者の可能性があるので契約しないことをおすすめします。
様々な理由を付けて手数料以外の費用を請求する
悪徳業者が使う騙しの別のテクニックは、様々な理由を付けて手数料以外の費用を請求するというものです。
利用者の中には、ファクタリングを申込む際、どんな種類の費用や手数料が発生するのかよく知らないという方がおられます。悪徳業者はそこを狙って利用者を騙します。
一般的にファクタリング業者が手数料として請求するものには以下のものが含まれます。
買取手数料
印紙代
振込手数料
ファクタリング事業者が契約のために申込者のオフィスなどを訪れた際の交通費
ファクタリング事業者の利益になる部分
優良業者は、基本的に手数料以外の費用として追加でお金を請求することはしません。一方で悪徳業者は、以下のような追加の費用を利用者に請求することがあります。
見積もり費用
着手金
審査料
契約手数料
システム利用料など
優良業者は、基本的に顧客を獲得するために、見積もりサービスは無料で提供しています。さらに、着手金や審査料などの費用を請求することはありません。
契約する際に、通常のファクタリングでは請求されない費用が計上されているなら、その理由を説明するように求めてください。もし、業者からの説明が納得できるものでなければ、契約を続けない方が賢明な選択です。
売掛債権を担保にした融資をおこなう
悪徳業者が騙しに使うテクニックで次のものは、ファクタリングという言葉で利用者を勧誘しながら、実際は売掛債権を担保にした融資をおこなうというものです。
すでに説明したように、ファクタリングは売掛債権を売却しておこなう資金調達です。しかし、資金不足に悩む経営者の中にはそれを十分理解していない方がおられます。悪徳業者はその弱みに付け込み、売掛債権を担保にして高金利の貸し付けをおこなうわけです。
ファクタリングを装って利用者を勧誘し、高金利の貸し付けをおこなう手口は「偽装ファクタリング」と呼ばれています。
偽装ファクタリングを疑う必要がある状況は以下の通りです。
契約が債権譲渡契約ではない
買取代金が売掛債権の額面よりかなり低い
ファクタリングで資金調達するには、保有している売掛債権を業者へ売却する必要があります。したがって、正当なファクタリングの契約は「債権譲渡契約」になります。偽装ファクタリングでは、利用者に内容を説明することなく貸付をおこなうのが手口なので、契約書には債権譲渡契約であることが記載されていません。
さらに、偽装ファクタリングでは買取依頼した売掛債権の額面より、かなり低い額しか受け取れないというケースがあります。
偽装ファクタリングに騙されると高額な利息を払う、支払いが遅れると悪質な取り立てに遭うことになります。ファクタリングの正しい知識を身に付けて、偽装ファクタリングに騙されないようにしてください。
利用者に売却した債権の回収を委託し、回収できなければ債権を買い戻しさせる
偽装ファクタリングの別の手口は、利用者に売却した債権回収を委託し、回収できなければ利用者に債権を買い戻しさせるというものです。
売掛債権を買取り、新たな債権者となった業者が利用者に対し、債権回収ができなければ買い戻し請求をするという行為は、利用者に対し、売掛先が債務不履行になった場合のリスクを負わせるものです。
これは売掛債権を担保とした金銭の貸付になる行為で、貸金業法第2条第1項にある「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付」に該当します。もし、業者が貸金業者の登録なしにこうしたことをおこなえば、それは貸金業法の無登録行為に該当する可能性が高いです。
基本的にファクタリングの契約はノンリコース契約です。したがって、万が一、売却した売掛債権の対象となっている売掛先が倒産などの理由で、売掛金を支払えなくなっても、その売掛債権を売った利用者側に返済義務は生じない契約となっています。
したがって、契約の段階で以下の点が分かれば注意が必要です。
買取代金入金後に売掛先が債務不履行になれば、利用者自身がその売掛債権を買い戻す契約になっている
買取代金入金後に売掛先が債務不履行になれば、ファクタリング事業者の損失を利用者自身の資金で埋め合わせしなければならない
ファクタリングの申込や契約を進める中で、契約の内容がファクタリングではなく、売掛債権を担保にした貸付ではないかと疑われる状況があれば、手続きを中断し、最寄りの警察署もしくは金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)などに相談することをおすすめします。
悪徳業者の特徴
ファクタリングという言葉で利用者を集め、不正な方法でお金を騙し取る悪徳業者の手口を紹介しました。悪徳業者の特徴は以下の通りです。
法外な手数料を請求する
債権譲渡契約であることをきちんと伝えない
買取金額が売掛債権の額よりかなり低い
代表者やその家族に保証人になることを求める
手続きのためと称して申込者の通帳・キャッシュカード・銀行印を預かる
買取代金の受け渡しが銀行振込ではなく手渡し
契約書の写し、領収書などがない
闇金業者がファクタリングを装い、高利での貸し付けをおこなうケースがあります。そうした業者は事業用の口座を開設できないので、代金の受け渡しが手渡しということがあります。
さらに、不当な契約であることが利用者にばれないようにするため、契約書の写しや領収書をあえて渡さないようにします。
こうした悪徳業者の特徴を知っておけば偽装ファクタリングに騙されることはないでしょう。
優良業者を見分けるためのコツ
悪徳業者の騙しのテクニックを知っておくと同時に、優良業者を見分けるためのコツをつかんでおけば、安心してファクタリングで資金調達できます。
優良業者を見分けるコツは以下の通りです。
会社情報が正確
実績
業界団体への加盟
会社情報が正確
優良業者は公式サイトで会社情報を公開しています。一般的に公開されている情報は次の通りです。
会社名
所在地
代表者名
設立年月日
資本金
事業内容
従業員数
取引金融機関
電話番号
「国税庁 法人番号公表サイト」から法人の商号や名称、本店や主たる事務所の所在地、法人番号などを調べることができます。
ファクタリング業者が公表している情報と法人番号公表サイトの情報が一致すれば、安心して利用できる優良業者とみなせるでしょう。
実績
優良業者はこれまでの実績を公式ページで公表しています。実績として注目できるのは以下の点です。
創業年数
サービスの提供実績がある業界・業種
利用者の情報(年商・業種・事業内容など)
利用者がそのファクタリング業者を選んだ理由
資金調達額
資金調達までの日数
手数料
ファクタリングは他の資金調達手段と比較すると、登場からまだ日が浅いサービスです。したがって、創業年数が10年を超える会社であれば、ファクタリング業界では老舗といえるので優良業者とみなせます。
さらに、過去にサービスを提供した業界・業種・会社の情報にも注目できます。自社と同じ業界・業種の会社に資金調達サービスを提供した実績があるなら、資金繰りの相談などしやすいので安心して利用できるでしょう。
利用者がそのファクタリング業者を選んだ理由、資金調達額、資金調達までの日数などが公開されていれば、その情報を参考にして利用可能な業者かどうかを判断することも可能です。
手数料率の範囲を公表しているならその情報も参考にできます。手数料率が相場の範囲内であれば、法外な手数料が請求される心配はないでしょう。
業界団体への加盟
優良業者は業界団体に加盟しており、そのことを公式サイトなどで公開しています。ファクタリングの業界団体は、利用者がファクタリングを安全に利用できる環境を整備することを目的に活動しています。したがって、優良業者と契約したいのであれば、業界団体に加盟している業者を選ぶのがおすすめです。
ファクタリング業者が加盟している団体には以下のものがあります。
一般社団法人ファクタリング事業推進協会
一般社団法人オンライン型ファクタリング協会
一般社団法人ファクタリング事業推進協会は、ファクタリング業界の健全な発展を目的として活動している団体です。
一般社団法人オンライン型ファクタリング協会は、オンラインファクタリングが安全に利用できる環境を整えることを目的に活動しています。
ファクタリングの業界団体ではありませんが、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に所属しているファクタリング業者もあります。認定経営革新等支援機関は、中小企業支援についての専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国から認定された税理士・公認会計士・中小企業診断士・商工会・金融機関などが所属している団体です。
こうした団体に所属しているファクタリング事業者なら、法外な手数料を請求する、ファクタリングではなく売掛債権を担保にして貸付をおこなうという手口で利用者を騙すことはありません。
悪徳業者の騙しのテクニックについてのまとめ
この記事では、ファクタリングという言葉で資金不足に悩む経営者を勧誘し、不当な手口でお金を騙し取る悪徳業者のテクニックを紹介しました。
悪徳業者は利用者がすぐに資金を必要としている、ファクタリングについての知識が不足しているという弱みに付け込んで言葉巧みに勧誘し、法外な手数料を請求したり、高利でお金を貸し付けたりします。
優良業者を見つけるコツを知っていれば悪徳業者を避け、安全にファクタリングで資金調達することが可能です。ファクタリングで資金調達できれば、融資以外の資金調達手段が確保できるので資金繰りの悩み解消を期待できます。
この機会に安心・安全なサービスを提供するファクタリング業者を選んで、資金調達手段を増やしてください。