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ファクタリングによる資金調達のシステム、必要書類、申込から資金調達完了までのフローを解説

ファクタリングはここ数年間で資金調達手段として広く浸透してきました。ファクタリングでの資金調達を検討している方の中にはファクタリングの資金調達システム、申込に必要な種類、申込から資金調達完了までのフローなどを解説して欲しいという方がいらっしゃいます。

そこでこのコンテンツではファクタリングについて以下の点を取り上げます。

 ファクタリグの資金調達システムの解説
 ファクタリングでよく使われる用語の解説
 ファクタリングの申込で必要な書類の解説
 ファクタリングの申込でいくつかの書類が必要な理由
 ファクタリングの申込・資金調達達成・売掛金回収までのフロー
 3社間方式・2社間方式それぞれの注意点についての解説

ファクタリングサービスについて解説する本記事をお読みいただければ、ファクタリングについて基本的な情報を理解することができます。

ファクタリングの資金調達システムの解説

ファクタリングは企業やフリーランスの方が保有する入金期日前の売掛債権を、ファクタリング事業者に譲渡することで、売掛債権を早期資金化するというシステムです。

ファクタリングの資金調達システムをより詳しく理解するには、ファクタリングでよく使われる言葉の定義を知っておく必要があります。

ファクタリングでよく使われる用語の解説

ファクタリングの資金調達システムを理解していただくためには、ファクタリングの説明でよく使われる言葉を解説しておく必要があります。

ファクタリングの話でよく使われる言葉は以下の通りです。

 売掛債権
 債権譲渡
 手数料
 掛け目

売掛債権

ファクタリングの話で出てくるのが「売掛債権」という言葉です。まずは売掛債権について解説しましょう。

売掛債権とは、営業行為などで会社が商品やサービスを取引先や顧客に販売・提供したものの、まだ商品やサービスの代金を受け取っていないときに、その代金を請求できる権利のことです。

売掛債権の種類についても解説しましょう。売掛債権に含まれる代表的なものは次の2つです。

 受取手形
 売掛金

売掛債権は会社の資産です。したがって資産を担保にする、もしくは売却するという方法で資金調達できます。

債権譲渡

ファクタリングの契約は債権譲渡契約です。したがって、債権譲渡についても解説しておく必要があります。

譲渡とは無償・有償を問わず財産や権利などを他人に移転させることです。譲渡に該当する行為において無償でおこなわれるものは「贈与」、有償でおこなわれるものは「売却」と呼ばれます。

ファクタリングは売掛債権をファクタリング事業者に譲渡しますが、必ずファクタリング事業者に支払う手数料がかかるので売却に該当する取引です。

手数料

ファクタリングで資金調達する際に利用者が気にするポイントが手数料です。ファクタリングで手数料が発生する理由についても解説しておきましょう。

次の2つの理由から、ファクタリングでは必ず手数料が発生します。

 ファクタリング事業者の収益のため
 ファクタリング事業者が売掛金未回収のリスクを負担するから

ファクタリング事業者として収益を上げなければ事業を継続できません。ファクタリング事業者はサービス提供に必要な収益を手数料に含めています。

ファクタリングは売掛債権売却による資金調達です。債権譲渡契約により債権者は申込企業からファクタリング事業者に移転します。

したがって、売掛先が倒産したなどの理由で売掛金が未回収となった場合、債権を回収する権利を持っているファクタリング事業者が損失を被ります。

ファクタリングのサービス提供には売掛金未回収のリスクが伴うので、ファクタリング事業者はそのリスクを負担する対価として手数料を請求するわけです。

ファクタリング事業者の多くが案件ごとの条件などを考慮し手数料率が変化する変動制を採用しています。
一部のファクタリング事業者のみ条件に関係なく手数料率が変わらない固定制を採用しています。

掛け目

ファクタリングで資金調達する際には掛け目についても知っておく必要があるので、掛け目の意味について解説します。

掛け目とは、ファクタリング事業者が売掛債権を買取する際に、売掛債権の額面にかける一定比率の買取率です。売掛金未回収のリスクが低いほど掛け目は高くなり、額面通りに近い金額での買取になります。

利用企業が最初に受け取ることができる資金の額は、掛け目と手数料率の影響を受けます。具体的な数字を使ってその点を解説しましょう。

たとえば、譲渡する売掛債権の額面が300万円、掛け目が90%、手数料率が10%というケースで、利用企業が最初に受け取ることができる金額は以下の手順で計算できます。

● 買取金額:売掛債権300万円×掛け目90%=270万円
● 手数料:買取金額270万円×手数料率10%=27万円
● 最初に受け取る金額:270万円-27万円=243万円

掛け目の役割は保証金のようなものです。したがって、売掛金が無事回収できれば掛け目で差し引かれた分は利用企業に返還されます。

最終的に利用企業の手元に入る金額は以下の通りです。

● 売掛金回収後の返還額:売掛債権300万円-買取金額270万円=30万円
● 最終的に入手できる金額の合計:最初に受け取った金額243万円+返還額30万円=273万円

このように、ファクタリングにおける買取限度額の上限は、売掛債権の額面と同額ではありません。売掛債権の額面に掛け目をかけ、そこから手数料を差し引いた分になる点に注意してください。

ファクタリングの申込に必要な書類の解説

ファクタリングの申込は大きく分けると次の2つの方法があります。

 ファクタリング事業者の担当者と直接面会して申込する対面式
 オンラインで申込や書類提出をする非対面式

それぞれの方法で申込にどのような書類がいるのかを解説します。

対面式の申込で必要な書類

対面式の申込では一般的に次の書類が必要です。

 売掛先との取引基本契約書
 請求書・見積書・発注書・請求書・納品確認書など
 決算書もしくは試算表
 通帳のコピー
 登記簿謄本(法人)もしくは開業届(個人事業主)
 本人確認書類
 印鑑証明書
 納税証明書

非対面式の申込で必要な書類

オンラインで申込・書類提出・審査・契約ができるファクタリングサービスの場合、申込には次の書類が必要です。

 請求書
 通帳のコピーもしくは売掛先担当者とのメール
 本人確認書類

ファクタリングの申込でいくつかの書類が必要な理由を解説

ファクタリングの資金調達システムは簡単に解説すると、売掛債権の売却です。売却の対象となる売掛債権は、小切手や商業手形のような紙の証書がありません。

ファクタリング事業者は審査において、売掛債権の存在、金額、入金期日、売掛先の信用力などの確認をするために、利用企業に請求書をベースにいくつかの書類の提出を求めるわけです。

しかし、対面式・非対面式のいずれのサービスでも、請求書のみでは申込ができません。その理由についても解説しましょう。

架空請求の被害を防ぐため

ファクタリングを利用した架空請求とは、偽装した架空の請求書をファクタリング事業者に持ち込んでそれを証拠に売掛債権の売却を依頼することです。

もし、ファクタリング事業者が請求書のみで売掛債権の買取に応じるなら、偽装された請求書を使った詐欺によりお金を騙し取られることになるでしょう。

ファクタリング事業者は架空請求による詐欺被害を避けるため、売掛債権が本当に存在することを確かめる必要があります。

こうした理由から、ファクタリング事業者は申し込みの際に、請求書、取引基本契約書、売掛金の入金履歴が記載されている通帳のコピー、売掛先担当者とのメールなどの提出を求めるわけです。

売掛先の信用力を審査するため

ファクタリングサービスで損害を回避し収益を確保するために必要なのが、売掛金未回収のリスクがどれくらいあるかの判断です。

売掛先に売掛金支払い能力が備わっているかどうかを判断するため、ファクタリング事業者は申込の際に、請求書に加えて通帳のコピーなどの書類提出を求めます。

なりすましや反社会勢力を排除するため

ファクタリングの申込に本人確認書類の提出が必要なのは、なりすましによる被害を避け、申込者が反社会的勢力との関わりがないことを確認するためです。

ファクタリング業界は、ファクタリングが健全で安全な資金調達手段として広く認識されるように、なりすましによる詐欺行為、反社会勢力の排除に取り組んでいます。

ファクタリングの申込・資金調達達成・売掛金回収までのフロー

ファクタリングの申込から資金調達達成までのフローについて解説します。ファクタリングの契約スタイルには3社間方式と2社間方式の2つがあるので、それぞれのフローについて解説しましょう。

申込から資金調達達成までのフロー【3社間方式】

3社間方式は、利用企業・ファクタリング事業者・売掛先の3つが契約や取引に関係します。その申込から資金調達達成、売掛金回収までの流れは以下の通りです。

1. ファクタリングサービスへの申込
2. 必要書類の提出
3. 審査
4. 買取額や手数料率などの条件提示
5. 契約
6. 利用企業から売掛先への債権譲渡通知と承諾
7. ファクタリング事業者から利用企業への入金(資金調達完了)
8. 売掛先がファクタリング事業者の口座へ売掛金を入金

申込から資金調達達成までのフロー【2社間方式】

2社間方式は、利用企業とファクタリング事業者だけが契約や取引に関係します。2社間方式における申込から資金調達達成、売掛金回収までの流れは以下の通りです。

1. ファクタリングサービスへの申込
2. 必要書類の提出
3. 審査
4. 買取額や手数料率などの条件提示
5. 契約
6. ファクタリング事業者から利用企業への入金(資金調達完了)
7. 利用企業が売掛先から売掛金を回収
8. 回収した売掛金をファクタリング事業者へ引き渡す

3社間方式・2社間方式それぞれの注意点について解説

ファクタリングで資金調達を希望する会社経営者や個人事業主は、3社間方式か2社間方式のどちらかを選ぶ必要があります。

そこで、参考情報として3社間方式・2社間方式それぞれの注意点を解説しましょう。注意点は以下の通りです。

 売掛先にファクタリングでの資金調達が知られる【3社間方式】
 申込から資金調達達成までに数日かかる【3社間方式】
 売掛金回収の業務が委託される【2社間方式】

売掛先にファクタリングでの資金調達が知られる【3社間方式】

3社間方式ではフローの部分ですでに解説したように、手続きに売掛先への債権譲渡通知が含まれます。

したがって、ファクタリングでの資金調達が売掛先に伝わります。ファクタリングでの資金調達が売掛先に伝われば、「資金繰りが悪化している」「業績が悪い」といった悪い噂が広まるかもしれません。

売掛先にファクタリングでの資金調達を知られたくない場合は、債権譲渡通知がない2社間方式を選択してください。

申込から資金調達達成までに数日かかる【3社間方式】

3社間方式では、売掛先への債権譲渡通知と売掛先の振込先がファクタリング事業者に変更になることへの承諾が必要です。

この手続きに数日かかる場合があるので、3社間方式を選択すれば、資金調達達成は申込してから数日~1週間程かかります。

一方2社間方式の場合、売掛先への債権譲渡通知や承諾がないので、最短で申込日、遅くても翌々日の資金調達が可能です。

今日明日中に資金が必要というケースでは、2社間方式を選択してください。

売掛金回収の業務が委託される【2社間方式】

債権譲渡契約により、売掛金を回収する権利は利用企業からファクタリング事業者に移転します。したがってファクタリング事業者が直接売掛先から売掛金を回収することが可能です。

しかし、2社間方式は売掛先への債権譲渡通知がありません。売掛金の振込先をファクタリング事業者の口座に変更するようお願いすることもないです。

それで、2社間方式では契約の際に、売掛金回収の業務委託契約を利用企業とファクタリング事業者で結びます。この契約によりファクタリング事業者は利用企業に売掛金の回収を委託するわけです。

したがって、利用企業は資金調達達成後、売掛金の入金期日までにそれを売掛先から回収し、後日ファクタリング事業者にそれを引き渡す責任があります。

ファクタリングの資金調達のシステム、用語の解説についてのまとめ

ファクタリングの資金調達システム、ファクタリングで使われる用語を解説しました。

ファクタリングは売掛債権という保有資産をファクタリング事業者に売却することで資金を獲得するものです。

ファクタリング事業者は、売掛債権の存在、金額、入金期日、売掛先の信用力などは請求書をベースに、取引基本契約書や通帳のコピー、取引先とのメールなどの書類から判断します。

すでに解説したように、ファクタリングの契約には3社間方式・2社間方式がありました。自社の資金繰りの悩みやニーズに合わせてふさわしい契約スタイルを選択してください。