【五十音順】ファクタリング用語集
売掛金を買い取ってもらうことで資金調達ができる方法として、「ファクタリング」の利用を検討する方が近年増えてきています。しかし、はじめて利用する場合は、「難しい用語ばかりでよくわからない」と思ってしまう方も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、ファクタリングに関する用語についてまとめました。わかりやすいように五十音順で説明しているので、ファクタリングを難しく感じてしまっている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ファクタリングに関する用語【あ行】
「あ行」のファクタリングに関する用語を解説していきます。
一括ファクタリング(いっかつふぁくたりんぐ)
「一括ファクタリング」とは、利用者・売掛先・ファクタリングを扱う業者の3社間で契約を結んだ場合に、一括で決済をおこなう方法を指します。利用者とファクタリングをおこなう業者のみの契約だと、売掛先がファクタリングについて関与しないため、利用者が売掛金を回収しなければいけません。一方で、一括ファクタリングの取り引きにおいては、支払い期日になると売掛先がファクタリングをおこなう業者へ直接送金します。
また、従来の手形取引では発行事務や収入印紙代が発生していましたが、一括ファクタリングを選択することでこういった手間やコストを削減できます。
売上債権売却損(うりあげさいけんばいきゃくそん)
「売上債権売却損」とは、売上債権を売却する際に、発生した損失額を仕訳するための勘定科目です。ファクタリングにかかった手数料は、「売上債権売却損」として仕訳をおこないます。
売掛債権(うりかけさいけん)・売掛金(うりかけきん)
「売掛債権」とは、事業者が提供している商品・サービスの対価として、後払いで代金を受け取る権利です。売掛債権を保有しているということは、販売した商品・サービスの代金がまだ支払われていない状態を指します。この売掛債権を譲渡することによって資金を得るのが、ファクタリングの取り引きです。
オフバランス化
「オフバランス化」とは、取り引きなどについて貸借対照表に計上されない状態を目指すことです。具体的には、資産や負債が計上されないことで、貸借対照表のスリム化が実現します。これにより、財務状況の改善が見込めます。
オフバランス化によって得られるメリットは、以下のとおりです。
• 収益性の向上が期待できる
• 企業評価が良くなる
• 金融機関から資金調達しやすくなる
借り入れを利用すると負債として計上されるため、繰り返し利用してしまうと金融機関からの評価が悪くなりかねません。一方で、ファクタリングは自社が保有する売掛金を早期に現金化する方法のため、借り入れと違って負債として計上されずにすみます。そのため、ファクタリングを活用することで、オフバランス化を進めながら資金繰りの改善を図れます。
ファクタリングに関する用語【か行】
「か行」のファクタリングに関する用語を解説していきます。
買掛金(かいかけきん)
「買掛金」とは、商品・サービスを購入した際に発生した代金のうち、未払いのものを指します。ファクタリングに申し込んだ事業者からみた「売掛金」は、売掛先にとっての「買掛金」と捉えられます。
介護報酬ファクタリング(かいごほうしゅうふぁくたりんぐ)
「介護報酬ファクタリング」とは、介護事業者が受け取る報酬によって取り引きをおこなうファクタリングです。
介護報酬の90%ほどは介護保険料から支払われますが、実際に入金されるまでに1〜2か月かかってしまいます。このような場合に介護報酬ファクタリングを利用することで、支払い期日を待たずに介護報酬を受け取ることが可能です。そのため、介護報酬ファクタリングは、介護事業者の資金ショートを防ぐ手段としても有効といえます。
買取型ファクタリング(かいとりがたふぁくたりんぐ)
「買取型ファクタリング」とは、ファクタリングをおこなう業者に売掛債権を買い取ってもらうことで資金を得る方法を指します。
買取型ファクタリングのほかに「保証型ファクタリング」もありますが、単に「ファクタリング」とだけいわれた場合は、この買取型ファクタリングを指すことがほとんどです。
確定債権(かくていさいけん)
「確定債権」とは、売掛金の支払いについて確定している債権のことです。具体的には、商品・サービスの納品が完了し、支払い期日や金額が決まっている債権を指します。ファクタリングにおいては、確定債権で取り引きするのが原則です。
掛け目(かけめ)
「掛け目」とは、担保の価値を評価するための割合のことを指します。掛け目は、債権者が貸し倒れリスクに備えるための保証金のような役割を果たします。
たとえば、掛け目を80%として計算する場合、1,000万円の担保財産の評価額は800万円です。掛け目は、担保の条件が良いほど100%に近づき、担保の価値が高いと評価されます。
ファクタリングにおける掛け目は、売掛金に対して乗じます。貸し倒れリスクが少ない売掛金ほど掛け目が大きく設定され、売掛金に近い金額の資金を調達しやすいです。
貸倒損失(かしだおれそんしつ)
「貸倒損失」とは、売上債権が回収できなくなった場合に発生した損失額を仕訳するための勘定科目です。ファクタリングにおいては、売掛金が回収不能になった場合に用いられます。
給与ファクタリング(きゅうよふぁくたりんぐ)
「給与ファクタリング」とは、まだ受け取っていない給与を債権として売却することで、給与日の前に資金を得る労働者向けのサービスです。勤務先に知られることなく利用できますが、手数料が高めに設定されているほか違法業者が少なくありません。そのため、申し込む際は細心の注意が必要です。
国際ファクタリング(こくさいふぁくたりんぐ)
「国際ファクタリング」とは、海外の取り引きを対象とするものを指し、「輸出ファクタリング」とも呼ばれます。具体的には、輸出をおこなう企業がファクタリングを申し込み、海外の取り引きで発生した売掛金の支払いについて保証してもらう仕組みです。国際ファクタリングを活用することで、よりスムーズに売掛金を回収できます。
ファクタリングに関する用語【さ行】
「さ行」のファクタリングに関する用語を解説していきます。
債権(さいけん)
「債権」とは、特定の人に対して何らかの行為を請求する権利を指します。
たとえば、ファクタリングの取り引きにおいては「売掛債権」を用いて契約がおこなわれますが、これはファクタリングに申し込んだ事業者が、売掛先に対して提供した商品・サービスの代金を請求できる権利です。
債権譲渡通知(さいけんじょうとつうち)
「債権譲渡通知」とは、債権が譲渡された事実について通知されることを指します。通知に関しては、確定日付が記載された証書(郵便)を用いるのが一般的です。
ファクタリングにおいては、ファクタリングをおこなう業者に保有している売掛債権を譲渡した際に、売掛先に対して債権譲渡通知がおこなわれます。そのため、ファクタリングを活用するにあたって売掛先に知られたくない場合は、契約前に確認しておくのがおすすめです。
債権譲渡登記(さいけんじょうととうき)
「債権譲渡登記」とは、債権を譲渡した事実について登記をおこなうことを指します。登記をおこなうことによって、債権の譲渡について第三者に証明することが可能です。
ファクタリングにおける債権譲渡登記は、売掛債権がいつ・だれに譲渡されたかを証明するためにおこなわれ、二重譲渡(後述)などのトラブルを未然に防げます。ただし、登記にかかる費用はファクタリングに申し込んだ側が負担するのが一般的なので、注意しましょう。
債務不履行(さいむふりこう)
「債務不履行」とは、契約によって発生した義務を果たさない状態を指します。
ファクタリングにおいては、利用者が売掛先から受け取った売掛金を、期日までにファクタリングをおこなう業者に支払えなかったり支払いをおこなわなかったりした場合、債務不履行にあたります。
3社間ファクタリング(さんしゃかんふぁくたりんぐ)
「3社間ファクタリング」とは、利用者・売掛先・ファクタリングをおこなう業者の3社間で契約を結ぶファクタリングのことです。
3社間ファクタリングには、以下の特徴があります。
• 手数料が安い
• 審査に通過しやすい
• 2社間よりも資金調達に時間がかかる
3社間ファクタリングに申し込むには、売掛先の承諾が必要です。
資金繰り(しきんぐり)
「資金繰り」とは、資金の流れの管理を指します。会社経営などにおいて、事業を円滑におこなえるように、資金の過不足を調整することです。
資金調達(しきんちょうたつ)
「資金調達」とは、事業の運営のために外部から必要資金を得ることを指します。資金調達の手段としては、ファクタリングのほか融資やビジネスローンなどが一般的です。
支払いサイト(しはらいさいと)
「支払いサイト」とは、取り引き完了から支払いがおこなわれるまでの期間を指します。ファクタリングにおいて、支払いサイトの長い売掛金に関しては、ファクタリングをおこなう業者から買い取りを断られる場合があります。
償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)
「償還請求権」とは、債務者から支払われない債権について、さかのぼって直接請求できる権利です。
ファクタリングにおける償還請求権は、売掛先から資金回収できなかった場合に、ファクタリングをおこなう業者が利用者に対して売掛金の買い戻しを要求する権利を指します。ただし、償還請求権が認められるのは貸金にあたる場合なので、ファクタリングの契約は「償還請求権なし」が原則です。
将来債権(しょうらいさいけん)
「将来債権」とは、継続的な取り引きによって将来も発生することが見込める債権を指します。注文書ファクタリング(後述)の取り引きにおいては、将来債権が用いられます。
信用情報(しんようじょうほう)
「信用情報」とは、過去に行ったローンなどの取り引きについての記録のことです。信用情報機関が管理しており、ローンやクレジットカードの契約の際に確認されます。借金などをすることにより信用情報にその履歴が記録されますが、ファクタリングを利用しても信用情報に影響はありません。
診療報酬ファクタリング(しんりょうほうしゅうふぁくたりんぐ)
「診療報酬ファクタリング」とは、医療機関が診療の対価として受け取る報酬によって取り引きをおこなうファクタリングです。
介護報酬と同様に、診療報酬の大部分は保険料から支払われるため、診療してから報酬を受け取るまでに1〜2か月ほどかかります。しかし、診療報酬ファクタリングに申し込めば、支払い期日の前に診療報酬が受け取れます。
ファクタリングに関する用語【た行】
「た行」のファクタリングに関する用語を解説していきます。
注文書ファクタリング(ちゅうもんしょふぁくたりんぐ)
「注文書ファクタリング」とは、将来発生する売掛債権によって取り引きするファクタリングサービスです。
通常のファクタリングの取り引きにおいては、請求書などを用いて売掛債権の譲渡をおこないますが、注文書ファクタリングの取り引きにおいては注文書や発注書を買い取ってもらうことで資金を得ます。
手数料(てすうりょう)
ファクタリングの取り引きにおける「手数料」は、売掛債権の譲渡をおこなう際に利用者からファクタリングを扱う業者に支払う費用を指します。ファクタリングにかかる手数料は契約方式などによって異なりますが、2〜20%が一般的です。
電子記録債権(でんしきろくさいけん)
「電子記録債権」とは、電子化した手形や売掛債権を指し、「でんさい」とも呼ばれます。中小企業が円滑に資金調達できるように創設された金銭債権です。
電子記録債権を利用する場合、まずは売掛先が発生記録をおこない、ファクタリングに申し込んだ事業者に対して発生通知されます。そして支払い期日になると、売掛先からファクタリングをおこなう業者に対して売掛金が支払われ、そのことが記録されます。
電子記録債権はコスト面・リスク面に優れた決済手段ですが、売掛先・利用者間で「でんさいネット」の利用が必要です。
ファクタリングに関する用語【な行】
「な行」のファクタリングに関する用語を解説していきます。
2社間ファクタリング(にしゃかんふぁくたりんぐ)
「2社間ファクタリング」とは、利用者・ファクタリングをおこなう業者の2社間で契約を結ぶファクタリングのことです。
2社間ファクタリングには、以下の特徴があります。
• 資金調達のスピードがはやい
• 債権譲渡について売掛先に通知されない
• 3社間よりも手数料が高め
2社間ファクタリングは売掛先に知られずに利用できますが、債権譲渡登記を求められるケースが少なくありません。
二重譲渡(にじゅうじょうと)
「二重譲渡」とは、一つのものを複数者に対して譲渡する違法行為です。ファクタリングにおいては、債権譲渡登記をおこなうことで二重譲渡の対策をします。
ノンリコース
「ノンリコース」とは、償還請求権のない契約のことです。ノンリコースの場合、債務者から資金回収ができない場合において、元の債権者に遡って請求することができません。ファクタリングは、原則としてノンリコースで取り引きをおこなうため、ファクタリングに申し込んだ事業者が売掛金の回収不能リスクを負わずにすみます。
ファクタリングに関する用語【は行】
「は行」のファクタリングに関する用語を解説していきます。
ファクター
「ファクター」は、ファクタリングサービスを取り扱う業者を指します。主に売掛債権の買い取りなどをおこないます。
不良債権(ふりょうさいけん)
「不良債権」とは、支払い期日がすぎた売掛債権などを指します。ファクタリングの取り引きにおいて、不良債権を買い取ってもらうことはできません。
保証型ファクタリング(ほしょうがたふぁくたりんぐ)
「保証型ファクタリング」とは、保証料を支払ってファクタリングをおこなう業者に取り引きを保証してもらう仕組みです。仮に売掛金が回収できなくなったとしても、ファクタリングをおこなう業者に保証してもらえます。
ファクタリングに関する用語【ま行】
「ま行」のファクタリングに関する用語を解説していきます。
未回収リスク(みかいしゅうりすく)
「未回収リスク」とは、売掛先の倒産などによって売掛金が回収不能になるリスクを指します。ファクタリングの契約は基本的に償還請求権がないため、主に未回収リスクを負うのはファクタリングをおこなう業者です。
未確定債権(みかくていさいけん)
「未確定債権」とは、支払いが確定していない売掛債権を指します。基本的に注文書ファクタリング以外では、買い取ってもらうことができません。
未収入金(みしゅうにゅうきん)
「未収入金」とは、営業活動以外の取り引きによって得られた未回収の資金を仕訳するための勘定科目です。ファクタリングをおこなう業者に売掛債権を買い取ってもらった際、未回収の金額は「未収入金」として仕訳をおこないます。
ファクタリングに関する用語【や行・ら行・わ行】
「や行」「ら行」「わ行」のファクタリングに関する用語を解説していきます。
輸出債権(ゆしゅつさいけん)
「輸出債権」とは、輸出業において発生した売掛金などを指します。ファクタリングにおける輸出債権は、国際ファクタリングの取り引きなどで用いられます。
割引率(わりびきりつ)
ファクタリングにおける「割引率」とは、売掛金額などから差し引かれる手数料率を指します。ファクタリングをおこなう業者が売掛債権を買い取った際、額面金額から割引率を考慮した手数料を差し引いた金額が利用者に対して支払われるのが一般的な流れです。
このように割引率を設定することにより、ファクタリングをおこなう業者は取り引きによる収益を得ています。
ファクタリング用語集のまとめ
この記事では、ファクタリングに関する用語について五十音順に紹介しました。
ファクタリングは専門用語も多いので、はじめて利用される方は難しく感じてしまうかもしれません。わからない用語が出てきたら、ぜひ本記事を見返してみてください。