建設業が注文書買取を利用するメリット・デメリットとは? 手数料率の相場や利用に適している会社の特徴などを解説
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注文書買取(注文書ファクタリング)は、受注時点の注文書を基に資金化できる資金調達方法として注目されています。
特に建設業は、工事の着手から完了、入金までの期間が長くなりやすく、資金繰りに課題を抱えやすい業種です。早期に資金を確保できる注文書買取は、建設業との相性が良い資金調達方法といえるでしょう。ただし、手数料や契約条件など、事前に把握しておくべき注意点もあります。
本記事では、注文書買取の概要や、建設業者が利用するメリット・デメリット、手数料の相場などについて解説します。資金繰りでお悩みの建設業の方は参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 注文書買取は、売掛先から受注した際に発行される注文書を基に、将来受け取る予定の売掛金を早期に資金化できるサービス
- 注文書買取を活用すると必要資金を早期に確保できるため、資金繰りの改善につながる
- 取引が確定していない段階で資金化を行う注文書買取は、未回収リスクが高いと判断されやすく、請求書買取よりも手数料率が高めに設定される傾向にある
目次
注文書買取(注文書ファクタリング)とは? 主な仕組みと資金化の流れ
ここからは、注文書買取(注文書ファクタリング)の基本的な仕組みや請求書買取との違い、入金までの流れとの違いについて紹介します。
注文書買取(注文書ファクタリング)の主な仕組み
注文書買取は、売掛先から受注した際に発行される注文書(発注書)を基に、将来受け取る予定の売掛金を早期に資金化するサービスです。請求書を売却する「請求書ファクタリング」に対して「注文書ファクタリング」と呼ばれることもあります。また請求書ファクタリングと同様、売掛先の入金を待たずに資金を調達可能です。
必要資金を前倒しで調達できるため、急な資金需要が生じた場合や、仕入れ費用や外注費を早期に確保したい場面に有効な資金調達手段として注目されています。
また注文書買取は、将来発生する売掛金をファクタリング会社に売却するため、審査では売掛先の信用力が重視されます。審査に通過した後は、手数料を差し引いた資金がファクタリング会社から入金される仕組みです。
注文書買取と請求書買取の違い
注文書買取と請求書買取の大きな違いの一つが、資金化できるタイミングです。注文書買取は受注後の注文書が売却対象のため、売掛先との取引が完了していない段階で、必要資金をすぐに確保することが可能です。一方、請求書買取は、取引が完了後に発生する売掛債権が売却対象となるため、注文書買取よりも資金化できるタイミングは遅くなります。
また資金化のタイミングが異なる分、入金サイクルの短縮期間にも差が出ます。請求書買取を利用する場合、一般的に30〜60日ほど現金化を早めることが可能です。一方で注文書買取を利用する場合、注文書を受け取ってから売掛金が入金されるまで、長ければ約6カ月分の資金を前倒しで調達できる場合もあります。状況に応じて使い分けることで、資金繰りの安定化や事業拡大のスピード向上につながるでしょう。
申し込みから入金までの一般的な流れ
注文書買取を利用する際の一般的な流れは、以下の通りです。
- ファクタリング会社へ申し込みを行う
- 注文書をはじめとした、必要書類を提出する
- 審査結果の通知、条件提示(手数料など)
- 契約締結後、ファクタリング会社から資金の入金が行われる
- 売掛先との取引が完了した後、回収した売掛金をファクタリング会社へ支払う
まず、利用者がファクタリング会社へ申し込みを行い、注文書や売掛先の情報、通帳コピーなどの必要書類を提出します。注文書買取では売掛先の信用力を重視した審査が行われるため、継続的な取引実績を客観的に示す資料や、契約内容が分かる発注書・契約書などを用意しておくとよいでしょう。ファクタリング会社によっても必要となる書類は異なるため、事前に確認しておくのがおすすめです。
審査結果とともに手数料や入金条件がファクタリング会社から提示され、契約締結となります。その後、最短で即日〜数日で資金が振り込まれるケースが多いです。手数料や入金条件は各社で異なるため、利用時は資金繰りや事業計画への影響も踏まえて慎重に検討することが大切です。
売掛先との取引が完了した後、売掛先から売掛金が入金されたタイミングで、あらかじめ受け取っていた資金の精算として、回収した売掛金をファクタリング会社へ入金する形で注文書買取の取引は完了します。
建設業者が注文書買取を利用するメリット7つ

建設業者が注文書買取を利用することでさまざまなメリットを得られます。ここからは以下に挙げる7つのメリットについて紹介します。
- 受注段階で資金を調達できる
- 最短即日から数日内での迅速な資金化が可能
- 担保や保証人が不要で利用しやすい
- 借り入れではないため財務バランスに影響しない
- 売掛先に知られずに資金調達ができる
- キャッシュフローの改善につながる
- 小規模事業者やフリーランスでも利用できる可能性がある
1. 受注段階で資金を調達できる
注文書買取を利用するメリットとして、受注段階で資金調達ができるため、入金までの期間に発生する資金負担を大きく軽減できることが挙げられます。
一般的に、建設業は回収サイトが長くなりがちです。つまり、納品・検収後の請求から入金までの日数が長く、入金までに発生した材料費や外注費、人件費を利用者が立て替えなければなりません。
注文書買取を利用すれば、案件の受注後すぐに運転資金を確保できるため、支払いと入金のタイミングのずれの解消に役立ちます。早期に材料費や外注費などを支払うための資金を確保でき、資金不足による工事遅延や仕入れの停滞といったリスクを抑えられるでしょう。
2. 最短即日から数日内での迅速な資金化が可能
一般的に、銀行融資の場合は審査や手続きに時間がかかりやすく、急ぎの資金ニーズには対応しにくいケースが大半です。
一方で注文書買取の審査は銀行融資に比べると比較的簡便で、担保や保証人を必要としないため、最短即日から数日内での迅速な資金化が可能です。急に現金が必要になった場合でも、注文書があれば柔軟に資金調達できる可能性があります。
3. 担保や保証人が不要で利用しやすい
注文書買取を利用する際は、主に利用者ではなく売掛先の信用力を基に審査が行われるため、原則、担保や保証人を用意する必要がありません。創業間もない会社や資産が少ない事業者であっても比較的利用しやすいでしょう。
銀行融資のように利用者の業績や実績を厳しく問われることがない点は、急な資金需要が発生しやすい建設業において大きなメリットといえます。
4. 借り入れではないため財務バランスに影響しない
注文書買取は融資とは異なり、将来受け取る予定の売掛金を早期に現金化する仕組みであるため、貸借対照表上の負債として計上されません。そのため財務状況に悪影響を及ぼすことなく、必要な資金を確保できます。
このように財務バランスを保ちながら資金繰りを改善できる点も、注文書買取を利用するメリットの一つといえるでしょう。利用者の信用力を維持しやすいため、将来的に銀行融資を検討している場合でも取り入れられます。融資審査に影響を及ぼすリスクを抑えながら、資金調達を進めることが可能です。
5. 売掛先に知られずに資金調達ができる
注文書買取の利用は、売掛先に資金調達の事実を知られたくない場合にも有効です。
注文書買取では、売掛先への通知や承諾が必要となる「3社間ファクタリング」ではなく、利用者とファクタリング会社の間で契約を交わす「2社間ファクタリング」が一般的です。そのため資金化の手続きを進める際に、基本的には売掛先へ通知したり承諾を得たりする必要がありません。
資金繰りの事情を売掛先に知られずに資金を確保できる点は、対外的な信用を守りながら取引関係を維持したい会社にとって大きなメリットといえるでしょう。
6. キャッシュフローの改善につながる
注文書買取を利用すれば、本来は数カ月後に入金される予定の資金を前倒しで受け取ることができるため、資金繰りの負担が大幅に軽くなる可能性があります。このように手元資金を早期に確保できることで、キャッシュフローの改善につながる点も注文書買取を利用するメリットの一つです。
注文書買取では、納品予定が最大で6カ月先の注文書が審査対象となるため、回収サイトを大幅に短縮できることがあります。回収サイトが長く、資金繰りが不安定になりやすい建設業においては、資金不足による経営リスクの軽減や、次の案件への投資余力の確保にも役立つでしょう。
7. 小規模事業者やフリーランスでも利用できる可能性がある
注文書買取は、主に売掛先の信用力を基に審査が行われる仕組みのため、小規模事業者や個人事業主、フリーランスでも活用できる可能性があります。
一般的に、銀行融資では利用者の業歴や実績、財務状況が重視されるため、創業間もない会社は審査に通りにくいのが実情です。一方、注文書買取では売掛先の信用力が重視されるため、大手企業との取引があれば利用できる可能性が高まります。ただし小規模事業者や個人事業主の場合は、法人と比較すると審査が厳しくなる傾向にあるため、売掛先の信用力を具体的に示すことが大切です。
また個人事業主向けの注文書ファクタリングを提供する会社は限られているため、事前に対応可否や利用条件をしっかりと確認し、自身の状況に合ったサービスを選びましょう。
建設業者が注文書買取を利用するデメリット3つ
注文書買取を利用する際は、事前にリスクやコスト面での負担を把握しておくことが大切です。安易に利用すると資金調達コストが膨らみ、かえって経営を圧迫する可能性もゼロではありません。
注文書買取を利用する際の主なデメリットや注意点は、以下の通りです。
- 請求書買取に比べて手数料率が高く設定されている
- 審査基準が厳しく、利用可否が売掛先の信用力に左右される
- 注文書買取を取り扱っているファクタリング会社が少ない
1. 請求書買取に比べて手数料率が高く設定されている
注文書買取を利用する上でのデメリットとして、請求書買取に比べて手数料率が高く設定されていることが挙げられます。案件の取引が完了する前の段階で資金化する注文書買取は、未回収リスクが高く、ファクタリング会社側の負担が大きくなりやすいためです。
継続的に注文書買取を利用すると、その都度手数料が発生し、資金調達のコストがかさむことで結果的に利益を圧迫する要因にもなりかねません。注文書買取はあくまで短期的な資金繰り対策として活用し、必要に応じて低コストの融資や補助金制度などと併用するのがよいでしょう。
2. 審査基準が厳しく、利用可否が売掛先の信用力に左右される
注文書買取の申し込みや手続きをする時点では、当該の注文書の売り上げが確定していないため、ファクタリング会社は売掛金の未回収リスクを慎重に審査します。そのため、一般的な請求書買取に比べると、注文書買取の審査基準は厳しい傾向にある点を認識しておきましょう。
審査では、主に売掛先の信用力や過去の取引実績、支払遅延の有無などが調査されます。利用者の経営状況が良好であったとしても、売掛先の信用力が低ければ審査に落ちてしまうケースもあるでしょう。
スムーズに注文書買取を利用するためには、売掛先の信用力を示す情報や入金履歴などを正確に提示し、審査でプラスに働く材料をそろえることが重要です。
3. 注文書買取を取り扱っているファクタリング会社が少ない
受注段階で注文書を資金化できる注文書買取は、ファクタリングサービスの中でも比較的新しい手法として知られています。そのため、請求書ファクタリングに比べるとサービスを提供するファクタリング会社が少ないのが現状です。結果として、利用者の条件や取引内容に合ったサービスを見つけにくく、比較検討の幅が狭くなりがちな点もデメリットの一つといえるでしょう。
またファクタリング会社によっては、対応業種や案件内容を限定している場合もあります。そのため、全ての注文書が資金化の対象になるとは限りません。契約条件や手数料率もファクタリング会社ごとに異なるため、事前に利用条件や費用の詳細をしっかりと確認しておくことが大切です。
注文書買取を利用する際の手数料率は?
注文書買取を利用する際は手数料がかかるため、場合によってはかえって資金繰りを圧迫してしまう可能性もゼロではありません。
ここでは注文書買取を利用する際の手数料率の相場や、手数料を抑えるためのポイントなどを紹介します。
注文書ファクタリングにおける手数料率の相場
注文書ファクタリングでは、業務の着手や納品が完了していない段階の注文書(将来債権)が売却対象となるため、手数料率も高めに設定されているのが一般的です。
請求書ファクタリングの手数料率の相場は2社間ファクタリングで8〜20%、3社間ファクタリングで1〜9%とされています。これに対して、注文書ファクタリングの手数料率の相場は10〜30%とされています。ただし、契約形態や案件ごとのリスク、売掛先の信用力によって手数料率は変動する可能性があるため、利用前に契約条件や費用面でのコストを確認することが大切です。
手数料が高くなるケースと低くなるケース
注文書買取を利用する際の手数料は、取引条件や売掛先の信用状況によって上下します。手数料が高くなるケースとしては、売掛先の信用力が低い場合や、取引実績が少ない小規模事業者である場合などが挙げられます。また工期が長く、入金までに時間がかかる場合も未回収リスクが高いと判断され、手数料が高くなりがちです。
一方で上場企業・大手企業からの発注である場合や、継続的な取引実績がある場合は未回収リスクが低いと見なされやすく、手数料を抑えられる傾向があります。
手数料を抑えるためのポイント
注文書買取の手数料を抑えるためには、未回収リスクを軽減する工夫が大切です。
審査の際には、売掛先の信頼性を客観的に示す資料を用意しておくとよいでしょう。例えば、過去の取引実績や入金履歴、契約書などを提示することでリスク評価が下がり、手数料率や支払条件に関する契約条件が改善される可能性があります。
また過去に利用したことのあるファクタリング会社を選ぶと、これまでの取引実績が考慮され、より有利な条件で契約しやすくなるケースもあります。
注文書買取の利用がおすすめな会社の特徴とは?

資金調達の方法は多様化しており、その仕組みや審査基準はそれぞれ異なります。資金繰りにおける課題は会社によって異なるため、利用者の状況やニーズに適した資金調達方法を選択することが大切です。
ここでは、さまざまな資金調達方法の中でも、注文書買取の利用が適している会社の特徴を見ていきましょう。
1. 回収サイトが長く、資金繰りが不安定になりやすい
注文書買取の利用が適している会社の特徴として、回収サイトが長く資金繰りが不安定になりやすい業種であることが挙げられます。例えば、建設業や製造業などは、納品から入金までに数カ月かかるケースが多く、その間の資材費や外注費の支払いが先行しやすい傾向にあります。
このように入金までの期間が長い場合、必要経費の支払いが先に発生する一方で、手元資金が不足しやすくなるため、一時的な資金負担が重くなりがちです。特に大型案件では初期コストも大きく「受注はあるものの資金不足で着手できない」という状況に陥ってしまうこともあるでしょう。注文書買取を利用すれば、納品の完了や請求書の発行を待たずに資金化できるため、資金繰りの改善や事業の安定化につながりやすいです。
2. 売掛先との関係悪化を避けたい
注文書買取は、資金繰りの改善が必要な場面において、売掛先との関係悪化を避けたい会社にとって有効な手段の一つといえます。
先述の通り、注文書買取は利用者とファクタリング会社の間で取引を行う2社間契約で行われるのが一般的です。そのため、資金繰り悪化の事実を売掛先に知られることなく資金調達を行うことが可能です。
3. 銀行融資の利用が難しい
銀行からの借り入れが難しい会社にとっても、注文書買取は有効な資金調達手段の一つです。注文書買取の審査ではあくまで売掛先の信用力が重視されるため、信用実績が不足している会社や、赤字決算・債務超過により銀行融資の審査に通らない会社でも利用できる可能性があります。
また先述した通り、注文書買取は融資ではないので、利用しても負債にはなりません。そのため、既に借り入れが多くこれ以上負債を増やしたくない場合や、担保・保証人を用意できない場合でも、比較的取り入れやすい資金調達方法といえます。将来的に銀行融資の利用を検討している会社にとっても、財務状況への影響を抑えながら資金調達できる点はメリットといえるでしょう。
まとめ:資金繰りにお悩みの建設業者は注文書買取をはじめとしたファクタリングの利用を検討しましょう
注文書を早期に資金化できる注文書買取は、急な資金需要が生じた場合や、資金繰りに余裕を持たせたい場面に適した資金調達方法の一つです。特に回収サイトが長くなりがちな建設業者にとっては、大型案件の着手前に発生しやすい一時的な資金不足への対応や、外注費・資材費の支払いに備える手段として役立つでしょう。
また注文書買取と請求書買取では同じファクタリングでも、資金化できるタイミングや手数料率、必要な書類などが異なります。資金化できるタイミングをなるべく早めたい場合は注文書買取、手数料率を抑えたい場合は請求書買取を検討するのも一つの方法です。
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