ファクタリングの仕訳で使用する勘定科目は? 手数料・消費税の扱いと正しい仕訳方法

売掛金の損失をカバーできるファクタリングは、通常の取引とは異なる勘定科目で会計処理する必要があります。しかし、仕訳の流れや使用する勘定科目が分からず、会計処理に困っている経理担当者の方が多いのではないでしょうか。
正確な会計を帳簿に反映させるには、使用する勘定科目や使い分けのポイント、計上方法を正しく理解する必要があります。
本記事では、ファクタリングの仕訳で使用する勘定科目を7つ取り上げ、契約形態別の仕訳例から手数料、消費税の扱いまで分かりやすく解説します。
【この記事で分かること】
- ファクタリングでは、契約形態や取引の内容によって使用する勘定科目や仕訳方法が変わる
- 手数料の勘定科目は、買取型なら売上債権売却損、保証型なら支払手数料となる
- ファクタリングは非課税取引に該当するが、事務手数料や登記費用などは課税対象となる
目次
ファクタリングの仕訳で使用する勘定科目は7つ
ファクタリングの仕訳では、種類や契約形態に応じて、複数の勘定科目を使い分ける必要があります。計上方法を間違えると、帳簿の整合性に影響が出るため、あらかじめどの勘定科目を使用するのか理解しておきましょう。
ここでは、ファクタリングの仕訳で使用する主な勘定科目を7つ紹介します。
1. 売掛金|取引先から後日回収する予定の売上代金
売掛金は、商品・サービスの提供後、まだ入金されていない売上代金を管理するための勘定科目です。
例えば、月末締め・翌月末払いの取引で3月31日に納品した場合、売上代金の入金は4月30日です。3月31日の時点ではまだ入金されていないため、入金されるまでの期間は売掛金として帳簿に計上します。
2. 未収入金|本業以外の事業で未回収となっている金銭
未収入金は、本業以外の事業で発生した取引において、まだ回収できていない金銭がある際に使用する勘定科目です。買取型という種類のファクタリングの場合に使用される科目として押さえておきましょう。
買取型ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社へ売却する形で資金を確保します。契約締結時は、まだ買取代金が自社の口座に入金されていないため、帳簿上では借方を未収入金、貸方を売掛金として計上します。
3. 預り金|一時的に受け取ったが自社の利益ではない金銭
預り金は、一時的に受け取ったものの、自社の利益にはならない金銭を管理するための勘定科目です。従業員から預かった税金や社会保険料など、後から第三者に支払う必要がある金銭に使用されます。
自社とファクタリング会社の2社間でファクタリング契約を締結する場合、取引先から支払われる売上代金は、自社の口座に入金されます。入金された売上代金は、ファクタリング会社に支払う必要があるため、このときの入金額は自社の売上ではなく、一時的に預かった金銭(預り金)として処理が必要です。
4. 売上債権売却損|額面より低い金額で売掛金を売却した際の差額
売上債権売却損は、売掛金を額面より低い金額で売却した場合に生じる差額を計上する勘定科目です。買取型ファクタリングで使用される科目で、具体的にはファクタリング会社に支払った手数料を売上債権売却損として計上します。
例えば、手数料10%で100万円の売掛金を売却した場合、入金額は90万円となり、差額の10万円を売上債権売却損として計上します。
5. 支払手数料|取引で生じた手数料
支払手数料は、取引の過程で発生する各種手数料を計上するための勘定科目です。振込手数料や仲介手数料など、サービスの利用に伴って発生する費用に使用されます。
保証型という種類のファクタリングの場合、生じた手数料は、売上債権売却損ではなく支払手数料として計上するのが一般的です。
ただし、社内の会計ルールによっては、保証型であっても売上債権売却損として計上するケースもあります。判断に迷った場合は、税理士や税務署にどの科目を使用すべきかを相談しましょう。
6. 貸倒損失|回収できなくなった売掛金の損失分
貸倒損失とは、企業間取引で回収できなくなった売掛金の損失を計上するための勘定科目です。主に保証型ファクタリングで売掛金が回収不能となった際に使用されます。
保証型ファクタリングは、買取型のように売掛金を売却するのではなく、売掛金が回収不能となった場合に保証を受けられる仕組みです。売掛金は自社の資産として残るため、取引先の倒産などで回収できなくなった時点で損失が確定し、貸倒損失として計上されます。
7. 雑収入|売掛金回収不能時の保証金(臨時的な収入)
保証型ファクタリングで保証金を受け取った際は、雑収入として計上します。
雑収入は、本業以外で発生した臨時的な収入を計上する際に使用する勘定科目です。継続的に発生する売上とは異なり、突発的・例外的に発生した収入を計上するために使われます。
保証金は売上ではなく、損失を補填するために受け取る金銭のため、通常の売上とは分けて処理する必要があります。
【種類別】ファクタリングの勘定科目と基本的な仕訳の流れ

ファクタリングの仕訳を正しく行うには、使用する勘定科目の内容だけでなく、仕訳の流れをチェックすることが大切です。
ここでは、買取型ファクタリング・保証型ファクタリングの2種類に分けて、使用する勘定科目を紹介します。自社の取引内容と照合しながら、会計処理を正確に進めていきましょう。
買取型ファクタリング|売掛金・未収入金・売上債権売却損
買取型ファクタリングでは、主に以下の3つの勘定科目を使用します。
- 売掛金
- 未収入金
- 売上債権売却損
取引先に商品やサービスを提供したら、まずはその売上代金を「売掛金」として計上します。その後、ファクタリング会社と契約を締結した時点で売掛金を「未収入金」に振り替え、資金が入金されたタイミングで手数料を「売上債権売却損」として計上し、消込処理を行うのが基本的な流れです。
なお、買取型ファクタリングの仕訳は、契約形態が「2社間ファクタリング」か「3社間ファクタリング」かによって、預り金を使用するかどうかなどのお金の流れが変わります。具体的な仕訳例は後述します。
保証型ファクタリング|売掛金・支払手数料・貸倒損失・雑収入
保証型ファクタリングは、売掛金が回収できなくなった場合に、損失分の保証金が支払われるサービスです。主に使用される勘定科目は、以下の4つです。
- 売掛金
- 支払手数料
- 貸倒損失(売掛金が回収できなくなった場合)
- 雑収入(保証金が支払われた場合)
まずは、買取型と同じように売掛金を計上します。200万円の売掛金が発生した場合の仕訳例は、以下の通りです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 売掛金 | 2,000,000円 | 売上 | 2,000,000円 |
次の仕訳は、ファクタリング契約を締結し、手数料を支払った際に行います。保証型ファクタリングでは、売掛金は引き続き自社の資産として管理されるため、買取型のように売掛金の振替処理は行いません。
例えば手数料を2万円支払った場合、借方は支払手数料、貸方は普通預金に設定し、以下のように仕訳します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 支払手数料 | 20,000円 | 普通預金 | 20,000円 |
売掛金が回収不能となった場合は「貸倒損失」で計上する
保証型ファクタリングを利用した場合、売掛金を回収できなかったときには、貸倒損失という勘定科目を使います。
例えば売掛金50万円を回収できなかった場合、以下のように仕訳します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒損失 | 500,000円 | 売掛金 | 500,000円 |
なお、売掛金を回収できた場合は、貸倒損失を計上する必要はありません。未回収時と混同しないように注意しましょう。
ファクタリング会社からの保証金は「雑収入」で計上する
保証型ファクタリングでは、売掛金が回収不能となった場合に保証金が支払われます。保証金は、売上ではなく雑収入として計上するため、仕訳は以下のようになります。
| 借方 | 貸方 | ||
| 普通預金 | 500,000円 | 雑収入 | 500,000円 |
ファクタリングの2つの契約形態と仕訳例
買取型ファクタリングは、主に2社間で行われる契約形態と、取引先を含めた3社間で行われる契約形態に分かれます。
ここでは、それぞれ仕組みと仕訳例をステップ式で紹介します。
2社間ファクタリングの仕組みと仕訳例(買取型)
2社間ファクタリングとは、自社とファクタリング会社の2社で取引が進む契約形態です。取引先に資金繰りの悪化を懸念される心配がないため、資金確保の事実を取引先に通知せず穏便に進めたい場合に向いています。
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2社間ファクタリングの仕訳は3社間ファクタリングよりも工数が多いため、特に計上ミスに注意する必要があります。以下で、具体的な仕訳方法をシーン別で解説します。
売掛金が発生したとき
売掛金が発生したら、借方を売掛金、貸方を売上に設定して計上しましょう。例えば、100万円の売掛金が発生した場合の仕訳は、以下の通りです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 売掛金 | 1,000,000円 | 売上 | 1,000,000円 |
契約を締結したとき
ファクタリング会社と契約を結んだら、借方を未収入金にし、貸方を売掛金に設定して計上します。例えば、100万円の売掛金を売却する場合、仕訳は以下のようになります。
| 借方 | 貸方 | ||
| 未収入金 | 1,000,000円 | 売掛金 | 1,000,000円 |
ファクタリング会社から入金されたとき
ファクタリング会社から資金が入金されたら、実際に入金された額を普通預金へ、ファクタリング会社に支払った手数料を売上債権売却損へ計上します。
例えば、売掛金100万円を売却し、そのうちの10%をファクタリング会社に支払った場合、仕訳は以下のようになります。
| 借方 | 貸方 | ||
| 普通預金 | 900,000円 | 未収入金 | 1,000,000円 |
| 売上債権売却損 | 100,000円 | ||
なお、契約日と同時に資金の入金があった場合は、貸方を未収入金ではなく、売掛金に設定します。
取引先から売掛金が入金されたとき
2社間ファクタリングは、取引先に通知をせずに資金を調達する方法のため、取引先から自社の口座へ売上代金が入金されます。
この入金は自社の売上ではなく、後にファクタリング会社へ支払う金銭のため、貸方を預り金として計上します。仕訳は以下の通りです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 普通預金 | 1,000,000円 | 預り金 | 1,000,000円 |
ファクタリング会社に売掛金を入金するとき
取引先から入金された売上代金は、そのまま自社の収益とせず、ファクタリング会社に送金(入金)する必要があります。この際は、事前に計上していた預り金を取り崩し、ファクタリング会社へ支払いを行うという流れです。従って、貸方に普通預金を計上し、自社の口座残高を減少させる仕訳を行います。
| 借方 | 貸方 | ||
| 預り金 | 1,000,000円 | 普通預金 | 1,000,000円 |
3社間ファクタリングの仕組みと仕訳例(買取型)
3社間ファクタリングは、自社・ファクタリング会社・取引先の3社間で手続きが進められます。取引先を含めて契約を締結するため、資金繰りの悪化を懸念される場合がありますが、2社間の契約よりも手数料を抑えやすい特徴があります。
正しく計上するためにも、以下で具体的な仕訳の流れを見ていきましょう。
売掛金が発生したとき
3社間ファクタリングの場合も、2社間の契約と同様、最初に売掛金を計上します。借方を売掛金、貸方を売上にし、正しく会計管理を進めましょう。
例えば、売掛金が50万円だった場合、以下の仕訳になります。
| 借方 | 貸方 | ||
| 売掛金 | 500,000円 | 売上 | 500,000円 |
契約を締結したとき
ファクタリング会社と契約を締結したら、売掛金を未収入金へ振り替えます。仕訳例は、以下の通りです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 未収入金 | 500,000円 | 売掛金 | 500,000円 |
売上は既に計上済みのため、このタイミングで再度計上する必要はありません。
ファクタリング会社から入金されたとき
ファクタリング会社から自社の口座に入金されたら、手数料を売上債権売却損、入金額を普通預金に計上します。
例えば、50万円の売掛金を売却し、手数料が10%だった場合の仕訳は以下の通りです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 普通預金 | 450,000円 | 未収入金 | 500,000円 |
| 売上債権売却損 | 50,000円 | ||
契約日と同時に資金の入金があった場合は、2社間取引と同様、貸方を未収入金ではなく、売掛金に設定します。
3社間の取引では、最後に取引先からファクタリング会社への送金が行われます。そのため、2社間のように預り金を使用した処理は発生しません。
ファクタリングは非課税取引のため消費税は基本的にかからない
ファクタリングを利用する際、消費税がかかって税負担が大きくなるのではないかと不安に思う方も多いのではないでしょうか。
結論として、ファクタリングは非課税取引に該当するため消費税は発生しません。ファクタリングには大きく分けて「買取型」と「保証型」がありますが、消費税法上、買取型で行われる「金銭債権の譲渡」も、保証型で行われる「信用保証」も、どちらも非課税取引として定められています(※)。
そのため、買取型のファクタリング会社に支払う手数料や、保証型のファクタリング会社に支払う保証料についても、基本的には非課税となります。
※参考:国税庁.「No.6201 非課税となる取引」.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm ,(参照2026-03-25).
【例外】事務手数料・債権譲渡登記費用は課税対象となる
ファクタリングにかかる費用は、全ての内容が非課税となるわけではありません。契約時に発生する事務手数料や債権譲渡登記費用は、消費税の課税対象です。
事務手数料は、取引に必要な審査や契約手続きなどにかかる手数料です。金銭債権の譲渡には該当しないサービスに対する対価であるため、消費税が課税されます。事務手数料とファクタリングの手数料は混同しやすいため、両者の定義をしっかり押さえましょう。
債権譲渡登記とは、法人が売掛金などの債権が第三者に譲渡された事実を法務局に登録し、その債権の所有権を公的に証明するための制度です。登記を行うことで、ファクタリング会社は「この売掛金は自社が買い取ったものである」と第三者に対して正当に主張できます(※)。
債権譲渡登記は、司法書士に依頼して手続きを進めるのが一般的です。司法書士への報酬は、登記手続きなどの専門的な業務の依頼に対して支払う費用のため、課税対象です。
※参考:法務省.「債権譲渡登記制度の概要」.https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00172.html ,(参照2026-03-25).
ファクタリングの勘定科目を間違えないためのポイント

最後に、ファクタリングの勘定科目を間違えないためのポイントを3つ紹介します。社内の経理業務フローを見直す際の参考にしてみてください。
1. 契約書類は一式にしてまとめておく
ファクタリングの契約に関する書類は、一式にしてまとめて管理しましょう。紙・デジタルいずれの管理方法であっても、関連書類を一つに集約しておけば、必要な情報をすぐに確認できます。
契約書類だけでなく、対象となった取引の請求書や納品書、入金記録などもまとめておくと、お金の流れを把握しやすくなります。トラブルが生じた際も、取引の経緯をすぐに確認できれば原因の特定がしやすいでしょう。
仕訳ミスを減らすためには、必要に応じて会計ソフトの活用も検討しましょう。
2. 会計マニュアルを作成し、社内の認識を統一する
会計マニュアルを作成し、社内の認識を統一することで、誤って別の勘定科目に計上するといったトラブルを防げます。
特に経理業務を複数人で進めている場合、勘定科目の理解が統一されていなければ会計ミスが起こりやすくなります。例えば、人によって「売上債権売却損」と「支払手数料」を混同するようなミスが発生しかねません。
このようなミスを防止するためには、会計処理に関するマニュアルを整備し、使用する勘定科目や仕訳方法を具体的に示すことが重要です。
3. 判断に迷う場合は税理士や税務署に確認する
ファクタリングの会計処理は、取引内容や契約形態によって使用する勘定科目や仕訳方法が異なります。自己判断で処理を進めると、帳簿の整合性が取れなくなったり、税務調査で誤りを指摘されたりするリスクがあります。
処理方法に少しでも不安がある場合は、迷わず顧問税理士や最寄りの税務署に確認しましょう。専門家に相談すれば、取引の実態に合った適切な処理方法を把握でき、会計ミスや税務上のトラブルを防ぎやすくなります。
ファクタリングの勘定科目は取引の実態に合わせて判断するのがポイント
ファクタリングの勘定科目は、種類や契約形態によって使い分ける必要があります。売掛金や未収入金、支払手数料などそれぞれの科目の役割を理解し、取引の流れに沿って適切に処理することが重要です。
またファクタリングは基本的に非課税取引ですが、事務手数料や登記手続きで発生する司法書士への報酬は、課税対象になる点に注意しましょう。
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